フェニトインの効能・作用・副作用

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フェニトインについての基本情報

フェニトインの効能・作用……効能は『各種てんかん(強直間代発作(大発作・全般けいれん発作)・焦点発作(ジャクソン型発作含む)・自律神経発作・精神運動発作)』および『注射剤はてんかん発作重積症(てんかん様けいれん発作が長時間引き続いて起こる場合) 』です。

ただし、全般発作の中で『欠神発作(短時間、意識がなくなる発作)』と『脱力発作(力が入らなくなって転倒する発作)』には効果がないとされる。

フェニトインはヒダントイン誘導体に属する古典的な抗てんかん薬で、特に『けいれん発作』に対して選択的に使われることが多いが、一般に副作用がかなり強いという問題点を抱えている。血中濃度のコントロールが比較的難しい薬なので、こまめに血液検査をして症状の経過を見ながら血中濃度を管理・調整していく必要がある。

フェニトインの血中濃度の特徴は『非線形薬物動態』を示すということであり、投与量と血中濃度は必ずしも直線的・比例的な経過を示さず、ある時点で急速に血中濃度が高まるリスクがあり、血中濃度の時間経過による変化の個人差が大きい薬である。

化学的な作用機序は、脳内でてんかん発作を誘発する『電位依存性ナトリウムチャネル(Naチャネル)』を阻害して、神経細胞(ニューロン)の興奮伝達を抑制する。ニューロンの過剰な興奮を抑制し、神経膜を安定化させることで『抗けいれん作用』を発揮するが、けいれん発作の閾値を上昇させる薬ではなく、発作焦点からの発作の波の拡大を抑制する作用があると考えられている。

てんかんは脳内の神経細胞(ニューロン)の電気信号が過剰に興奮することによって発症する脳疾患で、代表的な症状としては『意識障害』『けいれん発作』があります。てんかんのけいれん発作には、脳の一部から興奮が始まる『部分発作』と脳の全体が興奮して起こる『全般発作』の2つがあります。

てんかんの全般発作は、『強直間代発作(ごうちょくかんだいほっさ, 大発作)・欠伸発作(けっしんほっさ, 小発作)・部分発作』の3種類に大きく分類することができます。強直間代発作(大発作)は、『けいれん症状』と『意識消失症状』の2つを伴う激しい発作です。欠伸発作(小発作)は『意識消失症状』だけが見られる発作です。部分発作は、部分的あるいは一時的な『けいれん症状』と『意識障害・異常行動』の見られる発作です。

部分発作は『単純部分発作』と『複雑部分発作』の2つに分類されます。

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フェニトインの商品名……アレビアチン(大日本住友)、 ヒダントール(第一三共)

平均的な用法・用量……成人は1日150~300mgを2~3回に分けて経口分服する。

400~1200mgを1日2~3回に分けて経口服用する。ただし、年齢・症状・薬剤耐性に応じて適宜増減する。

児童は100~300mg、幼児は50~200mg、乳児20~100mgを1日3回に分けて経口服用する。

小児は医師の指示・指導に従った用量用法を守って服用する。

副作用……眠気やめまい、ふらつき、注意力の低下、倦怠感、脱力感、胃腸障害、食用増加(体重増加)、食欲減退(体重減少)、吐き気、眼振、複視(物が二重に見える)、高アンモニア血症、発疹、脱毛などの副作用が出ることがあります。

フェニトインの女性に多い副作用として、『体毛が濃くなる・歯肉の増殖(歯茎が腫れる)』があり、美容上の問題・悩みになることもあるので、長期服用の際にはバルプロ酸ナトリウムへの切り替えも考慮する。副作用の予防に、ビタミンBや葉酸と併用することもある。

てんかんの薬を自己判断で急に中止すると、その副作用(離脱症状)で重いてんかん発作を起こす恐れがあります。抗てんかん薬は用法用量を守って規則正しく飲まなければならず、中止する時には医師の指示・指導を受けながら段階的に用量を減らしていきます。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス-ジョンソン症候群)、意識障害、悪性症候群、小脳萎縮、遅発性の薬剤過敏症、錯乱・興奮、脳神経系の異常による認知機能障害、肝機能障害、腎不全、横紋筋融解症、間質性肺炎(好酸球性肺炎)、SLE様症状、胎児への催奇形性など。眠気やふらつき、注意力・集中力の低下といった副作用があるので、車の運転や危険を伴う作業などはしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝疾患(肝機能障害)、甲状腺機能低下症、血液障害、糖尿病、心臓疾患、高齢者、妊婦(胎児への悪影響の考慮)など。中枢神経抑制の相乗効果によって副作用が強まる恐れがあるので、アルコールとの併用は避けて下さい。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症、重い肝臓病、尿素サイクル異常症、妊婦(医師の慎重な判断によって処方するケースもあるが、特に妊娠初期に催奇形性・自閉症スペクトラムのリスクが指摘される)、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

高血圧症治療薬のタダラフィル(アドシルカ)、マシテンタン(オプスミット)、抗エイズウイルス薬のリルピビリン(エジュラント、コムプレラ)、C型肝炎治療薬のアスナプレビル(スンベプラ)、ダクラタスビル(ダクルインザ)、バニプレビル(バニヘップ)、ソホスブビル(ソバルディ、ハーボニー)などは、フェニトインの血中濃度を下げる恐れがある。

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョンズ・ワート)を含む健康食品も、フェニトインの効き目を弱める恐れがある。

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