アリピプラゾール(エビリファイ)の効能・作用・副作用

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アリピプラゾール(エビリファイ)についての基本情報

アリピプラゾールの効能・作用……効能は『統合失調症・双極性障害の躁常態,うつ病・うつ状態(既存の治療法で十分な効果が認められない場合に限る)・小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性など』です。

アリピプラゾールは大塚製薬が開発した『非定型抗精神病薬』の一つで、2002年7月にメキシコで製造承認された。その後は世界各地の国と地域で承認されており、比較的安全性の高い抗精神病薬である。日本では2006年1月に商品名エビリファイとして厚生労働省に承認され、同年6月に薬価基準に収載されている。

統合失調症は脳内の神経伝達物質であるドーパミン(D)が過剰になることで幻覚・妄想などの『陽性症状』が発症したり、逆にドーパミンやセロトニンの分泌が減少・不足することで感情鈍麻・無為・ひきこもりなどの『陰性症状』が起こったりする精神病である。アリピプラゾールは脳内のドーパミン濃度を調整する薬理学的作用によって、統合失調症や双極性障害の躁病、うつ病などの症状を緩和することができるとされている。

アリピプラゾールの薬理作用は、ドーパミンD2受容体のパーシャル・アゴニスト作用に依拠しており、ドーパミン神経系の伝達が過剰になっていて陽性症状が出ている時には『D2受容体アンタゴニスト(ドーパミンの分泌を抑制する性質を持つ物質)』として作用するが、反対にドーパミン神経系の伝達が低下していて陰性症状が出ている時には『D2受容体アゴニスト(ドーパミンの分泌を促進する性質を持つ物質)』として作用すると推測されている。

アリピプラゾールはD2受容体との親和性が非常に高く、ドーパミンが過剰でも不足していてもどちらの環境でもドーパミン系のシステムを安定化させることから、『ドーパミン・システム・スタビライザー(DSS)』として分類されることもある。

統合失調症の陽性症状・陰性症状のどちらにも効果が期待できる薬剤だが、不安感や緊張感、興奮・錯乱、うつ状態などさまざまな精神症状に対して医師の判断で処方されることがある。その臨床的な有効性はハロペリドールやリスペリドンとほぼ同じで、錐体外路症状をはじめとする副作用は比較的少ないとされるが、即効性は弱く、『アカシジア(じっとできずにそわそわする)・高血糖』の副作用が有意に多くなっている。

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アリピプラゾールの商品名……エビリファイ(大塚製薬)

平均的な用法・用量……統合失調症に対する処方では、成人は1日6~12mg(1~2回に分けて服用)から開始して、1日6~24mg(1~2回に分けて服用)まで増量して維持する。1日の最大量は30mgを超えないようにすること。アリピプラゾールは、血液中で定常状態に達するまでに約2週間かかるため、2週間以内に増量しないことが望ましいとされる。

双極性障害の躁状態に対する処方では、12~24mgを1日1回経口服用する。初期の用量は24mgにして、年齢・症状により適宜増減していく。1日の最大量は30mgを超えないようにすること。

うつ病・うつ状態(他の治療法で十分な効果がない場合)に対する処方では、3mgを1日1回経口服用する。年齢・症状により適宜増減するが、増量幅は1日量で3mgまでとする。1日の最大量は15mgを超えないようにすること。

アリピプラゾールは選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)などの抗うつ薬と併用することが望ましい。うつ病・うつ状態に対しては、本剤単独の服用での治療効果の有効性が統計的に確認されていないからである。

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対する処方では、1日1mgから開始して、1日1~15mgを維持容量とする。1日1回の経口服用で、年齢・症状により適宜増減するが、増量幅は1日量で3mgまでとする。1日の最大量は15mgを超えないようにすること。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……そわそわ感やじっとできないというアカシジア、手足のふるえ、こわばり、不眠・眠気・傾眠、不安感、頭痛、めまい、吐き気、便秘、体重増加など。錐体外路症状(手足のふるえ・体のこわばりやつっぱり、ひきつけ、無表情、よだれ、目の動きの異常、舌のもつれ、そわそわなど)

高血糖の副作用によって体重増加が見られることもあるが、本剤の副作用と元々の健康状態が合わさって糖尿病を発症しているケースもあるので注意が必要である。女性はプロラクチンというホルモンが減少することで、生理に遅れや異常が見られることもある。

血糖値の上昇・低下の変動による昏睡・意識障害が起こったケースもある。高血糖になると、喉が異常に渇く(喉の渇き・多飲)、多尿、頻尿などの症状がでる。高血糖からの反動が起こって低血糖になると、脱力感、倦怠感(だるさ)、冷や汗、ふるえ、眠気などの症状がでる。元々、糖尿病があったり血糖値が高かったり、肥満ぎみの人は、定期的に血糖値の測定検査を受けるべきである。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin,身体が動かなくなり高熱がでて死亡リスクもある)、高血糖・糖尿病性昏睡、低血糖、遅発性ジスキネジア(まばたき増加・口が不随意運動でもぐもぐ・舌が出やすいなど)、麻痺性イレウス(ひどい便秘・吐き気・腹痛など)、けいれん、横紋筋融解症、無顆粒球症・白血球減少(風邪のような発熱・咳や痰など)、静脈血栓症・肺塞栓症(手足の痛みやむくれ・息切れや呼吸のしづらさ・視力低下や目の痛みなど)、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)など。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、脳の器質障害、心臓疾患、低血圧、てんかん、高齢者(寝たきりや脱水状態にある人)、希死念慮のある人、妊婦(胎児への悪影響の考慮)など。

糖尿病やその既往歴がある人、糖尿病の家族歴、高血糖、肥満などで糖尿病発症リスクが高い人。

他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。

『処方してはいけない禁忌』は、重症の糖尿病の人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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