ブロナンセリン(ロナセン)の効能・作用・副作用

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ブロナンセリン(ロナセン)についての基本情報

ブロナンセリンの効能・作用……効能は『統合失調症』です。

ブロナンセリンは日本で開発された抗精神病薬で、2008年1月に錠剤・散財が承認された比較的新しい薬である。ブロナンセリンは脳内のドーパミン2(D2)受容体を強く遮断して、ドーパミン神経系の過剰興奮によって起こる『陽性症状』を改善する働きがある。セロトニン2(5-HT2A)の受容体も遮断するが、ドーパミン遮断作用よりかは弱い。セロトニン受容体の遮断によって、陰性症状が改善しやすくなる。

これらの作用メカニズムから、ブロナンセリンは『ドーパミン・セロトニン拮抗薬(DSA:Dopamine-Serotonin Antagonist)』『5-HT2/D2拮抗薬』と呼ばれている。一般的な呼称は『セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)』なのだが、ブロナンセリンは抗セロトニン作用よりも抗ドーパミン作用のほうが強いので、語順を入れ替えて『ドーパミン・セロトニン拮抗薬(DSA:Dopamine-Serotonin Antagonist)』と呼んでいるのである。

統合失調症は脳内の神経伝達物質であるドーパミン(D)が過剰になることで幻覚・妄想などの『陽性症状』が発症したり、逆にドーパミンやセロトニンの分泌が減少・不足することで感情鈍麻・無為・ひきこもり(自閉)などの『陰性症状』が起こったりする精神病である。

ブロナンセリンの持つドーパミン2(D2)受容体の遮断作用は、リスペリドンよりも強いとされる。ドーパミンとセロトニン以外のヒスタミン(H1)、アドレナリン(α1)、ムスカリン性アセチルコリン(M1)の受容体を遮断して再取り込みを阻害する作用はかなり弱く、これらの化学物質の遮断によって起こる副作用である『眠気・過鎮静・食欲増加・低血圧・口渇・便秘・記憶障害』などの発生頻度は少ない。特にヒスタミン(H1)の遮断作用は、非定型抗精神病薬の中で最も弱いとされる。

ブロナンセリンは『非鎮静系抗精神病薬』に分類されており、過鎮静の弊害が少なくなっているが、陽性症状(妄想・幻覚)に対してもハロペリドールやリスペリドンと同程度の効果があることが示されている。

陰性症状の改善効果ではハロペリドールよりも優れているが、非鎮静系であるため、リスペリドンやオランザピンよりも急性期での鎮静効果が弱いという欠点もある。興奮・錯乱が強い患者に使う場合には、気分安定薬や他の抗精神病薬を併せて用いる必要がある。鎮静以外の副作用も少なめとなっており、抗精神病薬としては長期服用しやすいというメリットがあるとされる。

抗精神病薬(メジャートランキライザー)は一般的に、脳内のドーパミン(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の過剰興奮で発症する『陽性症状』を抑制することができる。セロトニン(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きが活性化されて『陰性症状』を改善することができる。

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ブロナンセリンの商品名……ロナセン(大日本住友)

平均的な用法・用量……成人は1回4mg(1日2回)から開始して、徐々に増量する。維持量は1日8~16mg、2回に分けて経口服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……めまい、立ちくらみ、口渇、こわばり、手の振るえ、眠気、不安感、吐き気、動悸、便秘、尿がでにくい、目のかすみ、体重増加、依存性など。錐体外路症状として『パーキンソン症状・ジストニア・アカシジア』がでることがある。錐体外路症状の具体的な現れとしては、手足のふるえ、体のこわばりやつっぱり、ひきつけ、無表情、よだれ、目の動きの異常、舌のもつれ、そわそわなどがある。高プロラクチン血症(生理不順・乳汁分泌・女性化乳房・性機能障害)。血糖値上昇にも注意が必要である。

長期服用・大量服用で『遅発性ジスキネジア』の副作用が起こることがある。遅発性ジスキネジアというのは、口周辺のもごもごする異常運動や舌が出たり振るえたりが続く副作用の症状で、一般に難治性である。指が震えたり腕がこわばるなどのパーキンソン病様症状が出ることもある。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin,身体が動かなくなり高熱がでて死亡リスクもある)、遅発性ジスキネジア(まばたき増加・口が不随意運動でもぐもぐ・舌が出やすいなど)、静脈血栓症・肺塞栓症(手足の痛みやむくれ・息切れや呼吸のしづらさ・視力低下や目の痛みなど)、無顆粒球症・白血球減少(免疫低下による発熱やのどの痛みなど)、重い不整脈、麻痺性イレウス(食欲不振・吐き気・腹部膨満感)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH,倦怠感・口渇・頭痛・吐き気・けいれん・意識障害など)、重い肝臓の症状、横紋筋融解症(手足のしびれ・けいれん・筋肉痛)など。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業や車の運転もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、心臓疾患、腎臓疾患、肝機能障害、脳の器質障害、てんかん、糖尿病・血糖値の高い人(肥満の人)、脱水状態の人、寝たきり、高齢者(寝たきりや脱水状態にある人)、妊婦(胎児への悪影響の考慮)、認知症の人など。

他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。アドレナリン(ボスミン)とは併用しないでください。水虫治療薬のアゾール系抗真菌(イトリゾール、ブイフェンド、フロリード、ジフルカン等)、HIVプロテアーゼ阻害薬(ノービア、カレトラ等)、コビシスタット(スタリビルド)、テラプレビル(テラビック)との併用もしないでください。

他の安定剤、パーキンソン病の薬(抗コリン薬・レボドパ製剤など)、吐き気止め(ドンペリドン、メトクロプラミド)、マクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス、クラリシッド等)、シクロスポリン(ネオーラル等)、ジルチアゼム(ヘルベッサー等)、抗てんかん薬(テグレトール等)、リファンピシン(リファジン)、グレープフルーツジュースなどとの併用にも注意が必要です。その他にも飲み合わせの悪い薬があるので、必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

『処方してはいけない禁忌』は、昏睡状態の人、重症の心疾患のある人、エピネフリン投与中の人、バルビツール酸誘導体などの中枢神経抑制剤の強い影響下にある人。医師が状態・状況から不適と判断した人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

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