柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)の効能・適応の証・副作用

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柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)についての基本情報

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)の効能・作用……効能は『比較的体力があり、心悸亢進、不眠、いらだち等の精神症状のあるものの次の諸症:高血圧症・動脈硬化症・慢性腎臓病・神経衰弱症・神経性心悸亢進症・更年期障害・てんかん・ヒステリー・小児の夜泣き・陰萎』です。『ツムラの12番』と呼ばれることもあります。

適応する証(体質)は、『陽証(活動性が高い)・実証か中間証(虚弱ではない)・熱証(熱感がある)・気うつ(気分の落ち込み)・気逆(のぼせ・興奮)』になります。

高ぶった精神状態を鎮めてくれる精神安定作用のある漢方薬で、『不安感・緊張感・パニック・動悸・睡眠障害・不定愁訴』などの症状がある人に対して処方されます。柴胡加竜骨牡蛎湯は心身を共に穏やかにしてくれる精神安定作用を持っていますが、比較的体力がある人に向いている漢方薬で、虚弱体質の人には処方されません。向精神作用のある漢方薬の中では、比較的効果が強いものに分類されています。

柴胡加竜骨牡蛎湯に含まれる生薬の中で、特に重要な役割を果たしているのが『柴胡(セリ科ミシマサイコの根)』『竜骨(大型哺乳類の化石化した骨)』『牡蠣(カキの貝殻)』です。柴胡を中心とした漢方製剤を『柴胡剤』と呼びますが、柴胡剤には身体を冷まして痛みを和らげる優れた解熱鎮痛作用があります。

炭酸カルシウムを主成分とする竜骨・牡蠣は、神経の興奮・高揚を抑えてくれる効果があり、乱れた気分やパニックのような状態が落ち着きやすくなります。柴胡と黄ゴンには解熱鎮痛作用があり、更年期障害などに多いほてりやのぼせ、身体の炎症を改善してくれる効果が期待できます。

柴胡加竜骨牡蠣湯は、グルココルチコイド受容体(副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドが結合する部分)に作用して、抗ストレス能力を高めてくれると考えられており、更にセロトニンやドーパミンなどの安定した意欲的な精神状態に関係する神経伝達物質を増やしてくれる可能性が指摘されています。

漢方薬は西洋薬よりも効果が出るまでに時間がかかることが多く、個人差がありますが経過を見ながら(漢方医の診察・指導を受けながら)2週間以上は飲み続ける必要があります。

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柴胡加竜骨牡蠣湯の生薬の組成

漢方薬は自然の草・木・動物から抽出された『生薬』の組み合わせで作られています。

柴胡(サイコ)……解熱・消炎・鎮痛・鎮静・抗ストレス作用

竜骨(リュウコツ)……鎮静・血管収縮作用

牡蠣(ボレイ)……鎮静・制酸作用

黄ゴン(オウゴン)……解熱・消炎作用

大黄(ダイオウ)……下剤・利胆(胆汁排出促進)・健胃作用

半夏(ハンゲ)……制吐・健胃作用

人参(ニンジン)……強壮・抗ストレス・賦活・補気作用

茯苓(ブクリョウ)……利尿・鎮静・健胃・抗めまい

生姜(ショウキョウ)……発汗・健胃・制吐・鎮咳

桂皮(ケイヒ)……発汗・解熱・鎮静・健胃・理気作用

大棗(タイソウ)……健胃・強壮・利尿・鎮静作用

平均的な用法・用量……成人は1日7.5gを2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)に服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……食欲不振、胃部不快感、悪心、腹痛、下痢など。

漢方薬は一般に副作用は少なくなっていますが、その人の証(体質・状態)に合っていなければ『誤治(その人に適応していない漢方薬の処方)・アレルギー反応』などの副作用が出ることがあります。

体が虚弱体質で胃腸も弱く、体力が衰えていて下痢を起こしやすい人に対しては、柴胡加竜骨牡蛎湯は慎重に処方する必要があります。柴胡加竜骨牡蛎湯に含まれる大黄は下剤の効果があり、腹痛・下痢を起こす可能性があるからです。胃腸が弱くて軟便・下痢が多い人が用いる場合、大黄を含まないツムラの製品を服用するほうが安心でしょう。

重大な副作用(発症頻度は低い)……間質性肺炎、肝機能障害、黄疸。

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