酸棗仁湯(さんそうにんとう)の効能・適応の証・副作用

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酸棗仁湯(さんそうにんとう)についての基本情報

酸棗仁湯(さんそうにんとう)の効能・作用……効能は『心身が疲れ弱って眠れないもの』です。『ツムラの103番』と呼ばれることもあります。

適応する証(体質)は、『陰証(活動性が低い)・虚証(虚弱である)・熱証(熱感がある)・気虚(心身疲労)』になります。

『加齢(老化)・ストレス・過労』などによって心身が疲れきってしまい、身体のエネルギーが減少して眠れなくなったり抑うつ感が出たりしている人に向いている漢方薬です。漢方医学(東洋医学)では、心身のエネルギーである気の流れが弱くなった状態を『気虚(ききょ)』といいますが、酸棗仁湯は気虚で体力がなくて眠れない人(特に高齢者・慢性疾患患者)や自律神経失調症のような身体症状・神経過敏が出ている人に効果があります。

酸棗仁湯は、鎮痙・催眠作用のある『酸棗仁(さんそうにん)』を主な生薬の成分としており、更に鎮静効果のある『茯苓(ぶくりょう)』や『川弓(せんきゅう)』などを組み合わせて神経をリラックスさせて睡眠を取りやすいようにしています。酸棗仁湯は睡眠障害の中でも特にはじめに眠りにくい『入眠障害』を改善していく漢方薬とされており、『中途覚醒・熟眠障害』には効果が弱い面があります。

酸棗仁(さんそうにん)とは、酸っぱくて果肉の少ないナツメの実で、疲労を和らげて精神状態を安定させ、神経の興奮・緊張を改善することで眠りやすくする作用が期待できます。漢方薬では代表的な鎮静・睡眠導入剤の材料として用いられています。

知母(ちも)というのはユリ科ハスナゲの根茎で、身体の熱を冷ます作用、精神安定作用、鎮咳・去痰作用を持つとされており、咳の出る型の肺の炎症を抑えてくれることが期待できます。酸棗仁湯は、身体の熱を冷まして、水分・血液のバランスを調整し、神経・筋肉の興奮・緊張を和らげてくれます。緊張や興奮を和らげ、鎮静・催眠作用を強めることで、(ベンゾジアゼピン系の睡眠薬のような即効性はありませんが飲み続けることで徐々に)良い眠りに導いてくれるような漢方薬なのです。

漢方薬は西洋薬よりも効果が出るまでに時間がかかることが多く、個人差がありますが経過を見ながら(漢方医の診察・指導を受けながら)2週間以上は飲み続ける必要があります。

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酸棗仁湯(さんそうにんとう)の生薬の組成

漢方薬は自然の草・木・動物から抽出された『生薬』の組み合わせで作られています。

酸棗仁(サンソウニン)……鎮静・催眠作用

知母(チモ)……解熱・去痰・鎮咳・利尿作用

茯苓(ブクリョウ)……利尿・鎮静・健胃・抗めまい作用

川弓(センキュウ)……補血・駆血・月経調整・鎮痛作用

甘草(カンゾウ)……鎮痛・抗痙攣・鎮咳作用

平均的な用法・用量……成人は1日7.5gを2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)に服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……食欲不振、胃部不快感、悪心、腹痛、下痢など。

漢方薬は一般に副作用は少なくなっていますが、その人の証(体質・状態)に合っていなければ『誤治(その人に適応していない漢方薬の処方)・アレルギー反応』などの副作用が出ることがあります。

重大な副作用(発症頻度は低い)……偽アルドステロン症(高血圧・むくみ・低カリウム血症)、低カリウム血症、間質性肺炎、ミオパシー(筋肉のけいれん・麻痺)。

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