抑肝散(よくかんさん)の効能・適応の証・副作用

スポンサーリンク

抑肝散(よくかんさん)についての基本情報

抑肝散(よくかんさん)の効能・作用……効能は『虚弱な体質で神経が高ぶるものの次の症状:神経症・不眠症・小児夜泣き・小児疳症(しょうにかんしょう)』です。『ツムラの54番』と呼ばれることもあります。

適応する証(体質)は、『中間証(活動性は中くらい)・虚証~中間証(やや虚弱である)・中間証(熱感は中くらい)・気血水(血虚・気逆)』になります。

『抑肝(よくかん)』とは肝気が高ぶっていて興奮している時の症状を抑えるという意味で、抑肝散は『興奮・焦燥・イライラ・易怒性・不安・睡眠障害』などに効果があります。基本的には神経の高ぶりを抑えて、筋肉のこわばりやつっぱりを和らげてくれるお薬で、心身のバランスをマイルドに整えて改善してくれます。

鎮静と抗痙攣の作用もあるので、手足の振るえ、けいれん、子供の夜泣き、ひきつけなどに対しても処方することができ、子供の『疳(癇)の虫』にも抑制効果を期待することができます。腹直筋が緊張しているような筋肉の緊張状態があって、興奮しやすかったり焦燥感に駆られやすかったり、手足が振るえたりするような人に適応します。

漢方薬の中でも非常に安全性の高い方剤で、『赤ちゃん・子供・高齢者』に対して処方することが可能で、高齢者の認知症の精神・行動障害(BPSD)に対しても有効性が確認されています。その他にも緊張・興奮・不安・振るえを和らげてくれる作用があることから、神経症、睡眠障害、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、てんかん、パーキンソン病などにも処方されることがあります。

抑肝散はラットやマウスの動物実験でも有効性が確認されており、漢方薬の中では比較的、科学的根拠がしっかりしているものに分類されます。グルタミン酸の放出抑制作用、グルタミン酸の取り込みの改善作用、セロトニン2受容体のダウンレギュレーション作用、セロトニン1A受容体の刺激作用などが動物実験から報告されており、精神状態をマイルドに整えて興奮・攻撃性を抑制することが期待できます。

生薬の成分の効き目では、釣藤鈎(ちょうとうこう,アカネ科カギカズラの鈎刺のある茎枝)の作用でセロトニンが増加することによって、穏やかな気分になると考えられています。紫胡(サイコ)や甘草(カンゾウ)にも精神を安定させる鎮静作用があり、川弓・当帰は血流を改善してくれるのです。

漢方薬は西洋薬よりも効果が出るまでに時間がかかることが多く、個人差がありますが経過を見ながら(漢方医の診察・指導を受けながら)2週間以上は飲み続ける必要があります。

スポンサーリンク

抑肝散(よくかんさん)の生薬の組成

漢方薬は自然の草・木・動物から抽出された『生薬』の組み合わせで作られています。

柴胡(サイコ)……解熱・消炎・鎮痛・鎮静・抗ストレス作用

釣藤鈎(チョウトウコウ)……鎮静・抗痙攣・解熱作用

蒼朮(ソウジュツ)あるいは白朮(ビャクジュツ)……健胃・利尿・発汗作用

茯苓(ブクリョウ)……利尿・鎮静・健胃・抗めまい作用

当帰(トウキ)……補血・駆血・月経調整・潤腸作用

川弓(センキュウ)……補血・駆血・月経調整・鎮痛作用

甘草(カンゾウ)……鎮痛・抗痙攣・鎮咳作用

平均的な用法・用量……成人は1日7.5gを2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)に服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

楽天AD

副作用……食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など。

漢方薬は一般に副作用は少なくなっていますが、その人の証(体質・状態)に合っていなければ『誤治(その人に適応していない漢方薬の処方)・アレルギー反応』などの副作用が出ることがあります。

重大な副作用(発症頻度は低い)……甘草のグリチルリチン酸のカリウム排泄促進作用によって、血清カリウム値の低下、ミオパシー(筋肉のけいれん・麻痺)が生じることがある。間質性肺炎、偽アルドステロン症(浮腫・だるさ・血圧上昇・低カリウム血症)、肝機能障害、黄疸。

楽天AD
スポンサーリンク
Copyright(C) 2017- Es Discovery All Rights Reserved