フルラゼパム・塩酸フルラゼパムの効能・作用・副作用

フルラゼパム・塩酸フルラゼパムについての基本情報

フルラゼパムの効能・作用……効能は『睡眠障害(不眠症・中途覚醒・早朝覚醒)・麻酔前の処置』です。中枢神経系(脳)の大脳辺縁系や視床下部、小脳に作用し、脳の過剰な興奮・覚醒を抑制して、マイルドな効き目で自然に近い睡眠へと誘導してくれます。

ベンゾジアゼピン系(BDZ系)の比較的安全な睡眠薬ですが、鎮静・催眠の効果が非常に長く続く『長時間作用型』なので、使用する場合には翌朝以降のスケジュールや体調管理に十分に配慮する必要があります。フルラゼパムは大脳辺縁系や大脳皮質、小脳などにあるGABA受容体と結合して『催眠・鎮静・抗けいれん(筋弛緩)』などの効果を発現します。

フルラゼパムはω1受容体とω2受容体の両方に作用するので、『健忘・筋弛緩』と関係する副作用が出やすくなります。服薬して体内に入った後は、肝臓で水酸化・グルクロン酸抱合によって不活化されますが、その代謝過程でより長期間の血中半減期(消失半減期)を持つデスアルキルフルラゼパムへと変換されるので、薬の効き目が非常に長くなる(眠気・ふらつきが翌朝以降にも残る)のです。

フルラゼパムは作用時間がもっとも長い『長時間型の睡眠薬(血中半減期は約65時間)』に分類されています。鎮静・催眠だけではなく筋弛緩・精神運動抑制(思考力・集中力の低下)といった副作用が翌朝以降にも残りやすいので、使い方に注意が必要になります。

フルラゼパムの適応になるのは、中途覚醒・早朝覚醒を伴う重度の睡眠障害であり、眠れないことに対して過剰な不安・緊張・イライラを募らせているような患者にも効果があります。入眠潜時が短縮されて眠りやすくなり、総睡眠時間も長時間化する作用がありますが、夢を見やすい『REM睡眠』の時間が減少するという副作用もあります。

フルラゼパムの商品名……ダルメート(共和薬工)、ベノジール(協和発酵)、ネルガート(鶴原)

平均的な用法・用量……1回10~30mgを就寝前に1回服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。

副作用……眠気(昼間の眠気)、めまい、ふらつき、健忘、倦怠感、口渇、頭痛・頭重、不安、吐き気、不快感など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。

薬の影響である眠気やふらつき、思考力低下(集中困難・反射神経の低下)が、翌朝以降にまで持ち越されることがあるので注意してください。アルコールとの併用は禁忌です。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症、離脱症状(急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある)、呼吸抑制(炭酸ガスナルコーシス)、錯乱・興奮など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、本剤で過敏症を起こしたことがある人。イトラコナゾールやフルコナゾール、抗HIV剤(リトナビル,インジナビル,エファビレンツ)を服用している人。

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