強迫性障害・身体症状関連障害(DSM-5の診断基準)

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DSM-5の強迫関連障害の診断基準と疾病分類の変更点


DSM-5の身体症状関連障害の考え方と診断基準


DSM-5の強迫関連障害の診断基準と疾病分類の変更点

DSM-5は『強迫関連障害(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)』『不安障害(anxiety disorders)』と区別して独立させている。DSM-Ⅳまでは強迫性障害は不安障害の一種に分類されていたが、DSM-5では不安障害とは異なる独立の精神疾患単位となった。DSM-Ⅳで採用されていた『洗浄強迫(潔癖症)・確認行為・儀式的行為・対称性のこだわり』といった強迫性障害における個別症状のディメンション(強迫行為のテーマの次元)は、DSM-5では採用されていない。

DSM-5では『自分自身の強迫観念及び強迫行為に対する洞察の水準』を判定するようになっており、強迫行為を引き起こす観念や信念に対する自己洞察を『適正な洞察→乏しい洞察→洞察欠如及び妄想的確信』に分類してその水準を評価していく仕組みになっている。強迫性障害は、不随意性の運動機能・発声機能の障害である『チック障害』とオーバーラップ(重複)しやすく、強迫性障害患者のチック障害の生涯有病率は約30%であることから、『チックの有無(意識的ではない身体・表情の発作的な動きや想定外の奇妙な発声)を判断するための特定子』を採用している。

DSM-5の『強迫関連障害(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)』に含まれる精神疾患には以下のようなものがある。

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DSM-5の『強迫性障害』の診断基準は以下のようになっている。

強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)のDSM-5の診断基準

A.強迫観念または強迫行為のどちらか、または両方が見られる:1と2によって定義される強迫観念。

1.反復的で持続的な思考・衝動、または心像であり、それは症状のある期間の一時期には、侵入的で望まないものとして体験されており、多くの人に強い不安や苦痛を引き起こすことがある。

2.その人は、この思考・衝動、または心像を無視したり、または何か他の思考または行為(強迫行為)によって中和したりしようと試みる。

1と2によって定義される強迫行為。

1.反復行動(例:手を洗う・確認する・順番に並べる)または心の中の行為(例:祈る・数を数える・心の中で言葉を繰り返す)であり、その人は強迫観念に反応して、または厳密に適用しなくてはならない規則に従って、それを行うように駆り立てられていると感じる。

2.その行動や心の中の行為は、不安または苦痛を予防したり緩和したり、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかし、この行動や心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしている事とは現実的関連を持っていないし、または明らかに過剰である。注意:幼児・児童はこれらの行動や心の中の行為について十分な言語化による説明ができないことがある。

B.強迫観念または強迫行為は、時間を浪費させる(1日1時間以上かかる)、または臨床的に著明な苦痛を生じさせたり、社会的・職業的あるいはその他の重要な局面での機能を障害したりする。

C.強迫症状は、物質(例:乱用薬物・薬物)または他の身体疾患の生理学的作用によるものではない。

D.その症状は、他の精神障害の症状では上手く説明できない。

自己洞察のレベルの特定子

適正な洞察があるもの:その人は強迫性障害による信念を明確に認識しており、またはその信念が正しくないと認識している。あるいはその信念が正しいかもしれないし、正しくないかもしれないと認識している。

洞察に乏しいもの:その人は強迫性障害による信念を恐らく正しいと考えている。

洞察欠如・妄想的確信:その人は強迫性障害による信念を完全に正しいものであると確信している。

チック関連:その人は現在または過去にチック症の既往がある。

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DSM-5の身体症状関連障害の考え方と診断基準

DSM-5では『身体症状関連障害(Somatic Symptom and Related Disorders)』という新しい精神疾患のカテゴリーが新設されて、DSM-Ⅳの『身体表現性障害』の分類と内容が大きく改変されることになった。身体症状関連障害とは『精神的原因による身体症状』によって個人に苦痛や日常生活・職業活動の支障を引き起こす疾患である。精神科・心療内科よりも内科をはじめとする身体を診察する診療科で遭遇することの多い心身症的な精神疾患であるため、精神科医以外の医師も診断がしやすいようにシンプルな2つの疾患単位に分類されることになった。

DSM-Ⅳにあった『身体化障害・鑑別不能型身体表現性障害・疼痛性障害・心気症』が削除されて、新たに『身体症状性障害(Somatic Symptom Disorder)』『疾病不安障害(Illness Anxiety Disorder)』の2つの精神疾患のカテゴリーに統合されることになったのである。診断名が2つだけに絞り込まれたことで、従来の身体表現性障害の診断基準の問題としてあった『複数の類似疾患の重複と診断の迷い』がなくなるメリットが生まれた。

虚偽の身体症状を意識的に訴える『虚偽性障害』『身体疾患に影響を与える心理的要因』も、身体症状に関連する精神疾患の一部とされて、身体症状関連障害のカテゴリーに移されている。DSM‐Ⅳでは身体表現性障害の一種とされていた『身体醜形障害』は、自身の外見に対する強迫的なこだわりが主要な症状と見なされたことで『強迫関連障害』のカテゴリーに移されている。『転換性障害(Conversion Disorder)』は心理的原因の存在がDSM-Ⅳほどには重要視されなくなっているが、身体症状関連障害の一種として分類されている。転換性障害の神経症状では、『神経学的・生理的な病態生理』では説明ができない特異な神経症状であるという特徴が指摘されている。

DSM-5の身体症状性障害では、『医学的に説明のできる症状であるか否か』は重要視されておらず(その後の医学の進歩によって原因が解明される可能性もあると考えており)、『身体症状に関連する過剰な考え・心配・感情・行動』が主要な症状を形成する要因として捉えられている。

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DSM-5の『身体症状性障害』の診断基準は以下のようになっている。

身体症状性障害(Somatic Symptom Disorder)のDSM-5の診断基準

A.苦しいあるいは日常生活の著しい妨げとなっている一つまたはそれ以上の身体症状。

B.次の少なくとも一つによって明らかにされる身体症状または健康上の関心に関連する過剰な考え・感情あるいは行動。

1.症状の重症度に関する不適切で持続的な考え。

2.健康や症状に関する持続的な強度の不安。

3.過度の時間と労力をこのような症状や健康上の関心に費やす。

C.どの身体症状も連続性に存在するわけではないが、身体症状がでる状況は持続性である。(典型的には6ヶ月以上)

疼痛の特定子

顕著な痛みを伴うもの(かつての疼痛性障害)

持続性の特定子

持続性:重度の症状で障害が著しく、経過が長い(6ヶ月以上)

重症度の特定子

軽度:基準Bが1つ。

中等度:基準Bが2つ以上。

重度:基準Bが2つ以上で、それに加えて、多様な身体的愁訴(あるいは重度の身体症状が1つ)。

DSM-5の『疾病不安障害』の診断基準は以下のようになっている。

疾病不安障害(Illness Anxiety Disorder)のDSM-5の診断基準

A.ある重い病気に罹患している、あるいは罹患するという先入観。

B.身体症状はないか、あったとしても、症状の強さはごく軽度である。もし別のことで治療が必要となる状況が現れても、あるいは治療を要する状況に至る高い危険性があるとしても(例えば重症疾患の家族歴)、その先入観は明らかに行き過ぎているかまたは偏っている。

C.健康への高水準の不安があり、自身の健康状態について容易に怯える。

D.過剰な健康関連行動を取ったり(病気の兆候を繰り返しチェックする)、あるいは不適切な回避行動(診察を受けようとしない)を取る。

E.病気に関係する思い込みは少なくとも6ヶ月の間認められるが、その間に恐怖の対象となる具体的な病気は変化し得る。

F.病気に関係する先入観は、身体症状性障害、パニック障害、全般性不安障害、身体醜形障害、強迫性障害、妄想性障害の身体型など、他の精神疾患ではよく説明できない。

特定子

支援探索型……医療機関の受診・検査・処置を頻繁に受けたり、自分が納得できるような新たな別の医師の意見を求めてドクターショッピングを繰り返したりする。

支援拒否型……医療を受けず専門医の診断を受けようともしない。

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