恋愛をしている人の心理プロセスと嫉妬心

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恋愛をしている人の6つの心的プロセスの変化

思春期・青年期の恋愛感情の特徴と嫉妬心


恋愛をしている人の6つの心的プロセスの変化

美人のネガティブなステレオタイプについて説明しましたが、ここでは一般的な恋愛の心理プロセスについて説明していきます。恋愛をしている人の心理状態とその変化のプロセスについての日本人を対象にした調査研究には、詫摩武俊(たくまたけとし)の青年心理学(思春期心理学)の分野における恋愛心理プロセスの研究(1973年)があります。

詫摩武俊は人の恋愛に伴う心的プロセスの変化を、以下の6つのポイントで整理しています。

“1”の『恋愛対象(恋人)の美化・理想化』は、特に片思いの段階や恋愛関係の初期において見られやすい心理状態で、自己の内面で作り上げた『異性の美的な特徴・理想的なイメージ』を好きな相手に投影してしまいやすくなるということです。外見(容姿)にしても性格にしても価値観や生き方にしても、『相手の欠点・短所・問題点』には注意が向かわなくなり、『相手の美点・長所・素晴らしさ』にばかり注意や想像力が向かって、どんどんと『実際のその人以上の理想像・偶像』が作り上げられていくわけです。

詫摩武俊は、ドイツのザルツブルグにある岩塩の炭鉱に枯れ枝を入れておくと、その枯れ枝に水晶が結晶を作っていって、あたかもその枯れ枝がキラキラした水晶そのものに見えるという『スタンダールの恋愛論』からの連想で、『好きな異性をどんどん美化・理想化していく心理作用』のことを“結晶化”と呼びました。

日本語の諺(ことわざ)にも、好きな人を贔屓目で見ればあばたもえくぼに見える『痘痕も靨(あばたもえくぼ)』といったものがありますが、この好きな異性の美化・理想化の心的プロセスは『好意を持てる同性・友達』に対しても働くことが多いものです。

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“2”の『恋愛対象への同調作用』は、好きな恋人と一緒にいる時間が長くなれば、その恋人からの心理的影響を受けて『恋人と似た話し方・行動』をすることが増えてくるということであり、恋人や親友、家族との間ではこの同調作用が働きやすくなります。恋人の話し方やイントネーションの癖が自然にうつってきたり、酒・タバコを飲まなかった人が飲むようになったり(逆に酒・タバコを段階的にやめていったり)といった同調作用が恋愛関係では起こりやすいのです。

“3”の『恋愛対象への執着・憑執(ひょうしゅう)作用』は、恋人への執着心・独占欲に基づく心理で、簡単に言えば『いつも寝ても覚めてもその恋人(好きな人)のことばかり考えているという心理状態』のことを指しています。好きな人ができるといつもその人の顔や姿を想像で思い浮かべてしまったり、過去に一緒に何かをした体験の記憶や会話の内容を飽きることなく何度も思い出したりしやすくなるわけです。

恋愛感情がピークに達しているいわゆるラブラブな時には、この憑執作用が強くなるので、その恋人のことを話していない時でも唐突にその恋人の名前や話題を会話に出してきたりもします。誰かに自分の恋人に対する強い好意・憧れ・愛情を聞いてもらいたくなり、誰かに自分の恋人がいかに魅力的で素晴らしい人なのかを認めてもらいたくなるのです。

“4”の『内閉的世界観と共存感情』は、恋愛関係は第三者を介入させない『二人だけの内側に閉じた世界観』を作り上げる作用があり、その閉じた世界観の中で『私たちで色々な経験を楽しむ・私たちで助け合って生きていく』といった共存感情を抱くことになるのです。

恋愛関係は他者が入れない内閉的世界観を作りやすいという意味では『排他的・自己中心的な特徴』を持っています。そのため、大勢の人がいるグループ内での活動やパブリックな場所・会合では『排他的な恋人関係の強調(他者が話しかけにくい雰囲気の醸成)』をやりすぎると、周囲から浮いて『非協調的・非適応的』に見られてしまうリスクもあります。

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思春期・青年期の恋愛感情の特徴と嫉妬心

恋愛関係の経験は『思春期・青年期』の人間的成長や感情の制御、精神的成熟に役立つと言われています。恋愛をしている人の心的プロセスとして起こる“5”の『安定的信頼感の形成(疑惑・不信の克服)』というのも、恋愛関係を通した精神的成熟作用の現れの一つとして考えることができます。

恋愛の中で感じることのある恋人(他者)が誰かと浮気をしているのではないか、自分に冷めてきているのではないかという疑惑(不信)を克服していくことによって、安定的な信頼感やパートナーシップを維持していく心理構造(人間性)の土台が形成されやすくなる面があります。長期間の継続的な人間関係を維持していくというのは、その間に起こる『対立や喧嘩・価値観の相違・突発的なトラブル・離別の危機』などを二人で乗り越えていくきっかけにもなりやすいので、人間的成長につながることもあるわけです。

“6”の『人間的成長・精神的成熟』というのは、上記した継続的な人間関係(パートナーシップ)に伴う様々な体験と変化への適応を通して実現されていくものですが、思春期の恋愛では特に『今までよりも自分の世界観・価値観が広がる』『他人の立場に立って物事を考えようとするきっかけになる』『社会的な活動やイベントにおいてより積極的になる』といった精神的成熟の実感が感じられやすくなります。

恋愛関係は恋人と一緒に上手く付き合い続けるために『自分だけが楽しければいいという自己中心的な価値観からの転換』を促す側面もあり、『相手(恋人)の立場に立って何をすれば喜ばれるかを考えてみるという利他性・協調性・想像力』を強める可能性も指摘されます。思春期・青年期の恋愛では、恋人に対する激しい感情・欲求に翻弄されながらも、『その恋人と長く付き合っていくためには自分は何を頑張って何を変えていけばいいのか?』を真剣に考え直す契機にもなるのです。

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『思春期・青年期の恋愛感情の特徴』として上げられる代表的な感情には、以下のようなものがあります。

若い思春期・青年期の頃の恋愛感情の特徴として、好きな異性(恋人)を自分だけのものにしたいという『独占欲』があります。恋愛関係における相手への不満として『私はあなたに勝手に所有されている物じゃない』という言い分もありますが、思春期・青年期の恋愛では『俺の彼女・私の彼氏』という言葉にも示されるように『自分だけが所有している大切な相手・他の人に触れられたくないもの(他人に親しく話しかけられるだけでも嫌なもの)』としての側面が強く出てきやすくなります。

若い時期の恋愛では、『恋人が自分以外の異性の話をするだけでも不快・異性の友人とちょっとおしゃべりしているだけでも浮気を疑う・異性の知人と食事や外出などするのはもう裏切り行為と同じである』といった過度の独占欲や嫉妬心をむき出しにして、相手を自分だけの所有物のように独占しようとする人も少なくありません。しかし、大人の恋愛や夫婦関係にもこの独占欲は残り続けており、恋愛関係や男女関係には半ば不可避な特徴として『独占欲・排他性・嫉妬心』がついてまわると言えるでしょう。

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恋愛をする世代になると、それまで同性間でわいわい騒いでいるだけだった男子や女子が、『異性からのまなざし・異性からの自分の印象の評価』を敏感に気にするようになってきて、『繊細さ(他者の評価を気にする)と羞恥心』の特徴が現れやすくなってきます。好きな異性から自分の外見・印象についてちょっとした意見を言われただけでも敏感に反応しやすくなります。

女性の場合であれば『女性らしさのジェンダー』に適応する側面が増えてきて、それ以前の男子とあまり変わらなかった乱暴な態度・物言い・行動も顕著に減少してきて、女性らしくない振る舞いや性的要素のある言動・恰好に『羞恥心(性的道徳観念の影響)』を感じやすくなるのです。

恋愛感情はそれ以外の感情と比較すると一般的に激しくて、セルフコントロール(自己制御)の難しいものであり、思い出したくなくても好きなその人のことを思い出してしまうという強迫観念(執着心)めいた要素も伴っています。恋愛感情の特徴としてある『激情性・強迫性と執着心』は、時に自分の思い通りにならない相手に対する怒り・暴力(DV)・ストーキングなどに発展してしまうこともある要素なのですが、それと同時に『恋愛の高揚感・陶酔感の源泉』にもなっているのです。

恋愛は明るくて楽しくて心地よい側面ばかりではなくて、思い通りにならない相手・関係で落ち込んだり気持ちを傷つけられたり、切なくて苦しい思いに耐えたりといった側面もあります。好きな相手に何とかして自分を愛してもらいたい、好きな相手と絶対に別れたくない(他の人から好きな人を取られたくない)と思う『恋愛』は、時に思春期・青年期の人を感傷的(センチメンタル)にして深く苦しませたり悩ませたりもするものですが、そういった他の経験ではなかなか得られない『感傷性(センチメンタル)と憂愁・切なさ』という恋愛感情の特徴も人間的成長を促す一つの要因になっているのです。

恋愛関係における『嫉妬心の研究』も大学生・高校生などを対象にして行われています。『恋愛で感じる嫉妬心(異性の独占欲に根ざした嫉妬心)』は、『それ以外の関係・活動で感じる嫉妬心(学校・仕事・友人等との関係で生じる嫉妬心)』と比べて強度が強くて持続しやすく、『代償行動・気晴らしによる嫉妬心の軽減』も期待しづらいという傾向を持っています。

嫉妬心が強い人は一般に『独占欲・自他(自分と恋人)の融合感』が強くて、恋人・夫婦の関係になった異性の『自分だけの世界観(プライベートな世界観や活動領域)』をほとんど認めないという特徴があります。

恋人・夫婦であれば『相手のことを何でもすべて知っているのが当たり前である』『恋人(夫婦)はいつも一緒に行動すべきで相手の知らない自分ひとりだけの世界・活動を持つのは好ましくない』といった価値観を持っており、いったん恋愛関係(夫婦生活)が始まると自分自身も『自分だけの世界・趣味・人間関係(恋人・配偶者と関わらない自分だけの時間)』を楽しめなくなる傾向が顕著にあります。

嫉妬心は男女のジェンダーの影響を受けることもあることが分かっています。男性は嫉妬心を感じた時に『相手との接触を増やそうとする・今まで以上のサービス精神を発揮する・恋人の魅力を更に強く認識しようとする(何とかして別れなくて良いように執着する)』という積極的・競争的な行動パターンが増えるのに対して、女性が嫉妬心を感じた時には『相手との接触を減らそうとする・相手を冷静に観察して恋人の欠点を探す・恋人の魅力を今までよりも低いものとして認識しようとする(別れた場合の傷つきを軽減しようとする)』という消極的・回避的な行動パターンが増えやすいのです。

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