リーのラブスタイル類型論と日本の学生に多い恋愛の側面

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ジョン・アラン・リー(J.A.Lee)のラブスタイル類型論と色相環のアイデア


日本の大学生の恋愛の側面(要素)についての研究


ジョン・アラン・リー(J.A.Lee)のラブスタイル類型論と色相環のアイデア

デイビスとクリテリが研究した恋愛の側面を説明しましたが、カナダの心理学者ジョン・アラン・リー(J.A.Lee)は、色彩理論の色相環を前提とした論文『the colors of love(1973)』で恋愛態度(ラブスタイル)を以下の6つの類型に分けています。

リーが分類した恋愛態度の6類型は、人間が恋愛に対して取ることのある典型的な態度や価値感を、小説・文学など様々な文献を参考にして抽出したものです。リーの恋愛の6類型を測定する心理測定尺度として『LAS(Love Attitude Scale)』『LETS-2(Lee's Love Type scale 2nd version)』があります。

リーの6つの恋愛類型を調べる心理測定尺度を大学生の男女に実施したところ、統計的には、女性に『実利・結婚・家族・子供の将来』を意識したプラグマの傾向が強い結果が出ています。楽しみ・遊びを求めるルーダスは、日本では意外なことに若い時には女性のほうが強いという調査結果がありますが、一般的には妊娠リスクのない男性のほうがルーダスを求めやすいとも言われます。恋愛の別離において男性のほうが彼女に対するマニアの嫉妬・憎悪にとらわれやすいですが、女性は『プラグマ・ストロゲー・マニア』の点数が高くなっています。アメリカでは、男性のほうがルーダスの傾向が強くなっていて恋愛態度の文化差も想定されます。

1990年代までの現代の若者の恋愛では、独占欲・嫉妬・執着といった要素が強く見られるマニアが優勢でしたが、2000年代以降は恋人がいない、恋愛に積極的ではない若者の比率が増えて『若者の恋愛離れ・恋愛格差・異性や自分の容姿に対する劣等コンプレックス』が指摘される機会も増えています。リーの恋愛の類型論の内容や質問紙的な項目については以下の記事も参考にしてください。

J.A.リー『恋愛の6類型論』とそれぞれの恋愛タイプの特徴

対人魅力(interpersonal attraction)の心理学:『好意・愛情』の心理測定尺度の研究の歴史

恋(エロス)と愛(ラブ)と博愛(アガペー)の違い

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J.A.リーは恋愛態度を6つの類型のパターンに分けて分類しましたが、これらの類型を色彩理論の『色相環(しきそうかん)』のように環状に並べて、ある類型とその他の類型の相性や類型に当てはまる程度(グラデーション)が分かるようにしていました。『エロス・ルーダス・ストロゲー・プラグマ・マニア・アガペー』という恋愛態度の類型は色相環における『原色』に相当しますが、現実の恋愛は原色そのものではなく幾つかの類型が混合していたり、ある類型の程度が強かったり弱かったりします。

色相環をモデルにしたリーのラブスタイル類型論は、『恋愛の色彩理論』と呼ばれることがあります。恋愛の色彩理論では各類型の位置関係が『相性』を示しており、お互いに向かい合う位置にある『アガペーとルーダス』『エロスとプラグマ』『マニアとストロゲー』は相手の恋愛の価値観や目的を理解(同意)できないとされています。

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日本の大学生の恋愛の側面(要素)についての研究

日本の恋愛研究では、橋本(1992)が193人の大学生を対象として48項目の質問紙に答えてもらうという『恋愛態度の研究(日本の大学生の恋愛の側面についての研究)』を行っています。

橋本の分類した日本の大学生の恋愛の側面(要素)

橋本のいう会いたいとか独占したいとかの『密着性』は、リーの恋愛態度理論の『マニア(狂気的な愛)』に相当するもので、相手を自分だけのものにしたいという独占欲、常に自分だけを愛してほしい他の人に目を向けて欲しくないという嫉妬心などと関係しています。

恋愛を特定のパートナーにこだわらずに快楽的に楽しみたい、軽いノリで色々なタイプの異性とおしゃべりしたり関係を持ちたいという『快楽志向』は、リーの恋愛態度理論では『ルーダス(遊びの愛)』に相当します。人間として好きな相手とギブアンドテイクで助け合っていく『友愛』は、リーの理論では『ストロゲー(友愛・きょうだい愛)』になるでしょう。

恋人だけを見つめて見返りを求めずに奉仕する『盲目的愛』は、リーの理論では『アガペー(無償の利他的な愛)』に相当することになります。

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リーの恋愛態度を測定する心理テスト『LETS-2(Lee's Love Type scale 2nd version)』を用いた恋愛心理学の研究では、現代日本の青年でもっとも強い恋愛態度は『マニア(狂気的・嫉妬的な愛)』であることが分かっています。狂気的というとオーバーな表現になりますが、典型的な日本人の青少年が抱いているマニアの恋愛態度というのは『恋人ができたら独占欲が強くなり他の同性と仲良くしていたら嫉妬しやすい・恋愛をすると喜びも多くなるがそれと同等に振られたり浮気されたり嫉妬したりする苦しみも多くなる』ということなのです。

女性は男性と比較すると『プラグマ・ストロゲー・マニア』が強くなっていますが、ストロゲーとマニアの両方が強いというのは、各類型の相性を示す恋愛の色彩理論からすると矛盾していることになります。この矛盾に注目してリーのラブスタイル理論(恋愛の色彩理論)を批判的に研究したのが日本の松井豊(1993)で、6つの恋愛類型の位置関係を再精査して『エロス・マニア・アガペーは統合して一つになり、ルーダス・プラグマ・ストロゲーが独立している』と主張しました。

リーの6つの類型を否定して『エロス+マニア+アガペー、ルーダス、プラグマ、ストロゲー』の四角形かいずれかを頂点とする三角錐のモデルを想定することができますが、松井は『エロス+マニア+アガペー』こそがほとんどの青年の恋愛態度に当てはまる一般的な恋愛の態度・類型であり、それ以外のルーダス・プラグマ・ストロゲーは実際には多く見られないやや特殊な類型であると主張しました。

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