『枕草子』の現代語訳:91

清少納言(康保3年頃(966年頃)~万寿2年頃(1025年頃))が平安時代中期に書いた『枕草子(まくらのそうし)』の古文と現代語訳(意訳)を掲載していきます。『枕草子』は中宮定子に仕えていた女房・清少納言が書いたとされる日本最古の女流随筆文学(エッセイ文学)で、清少納言の自然や生活、人間関係、文化様式に対する繊細で鋭い観察眼・発想力が反映された作品になっています。

このウェブページでは、『枕草子』の『えせ者の所得るをり 正月の大根。~』の部分の原文・現代語訳を紹介します。

参考文献
石田穣二『枕草子 上・下巻』(角川ソフィア文庫),『枕草子』(角川ソフィア文庫・ビギナーズクラシック),上坂信男,神作光一など『枕草子 上・中・下巻』(講談社学術文庫)

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[古文・原文]

151段

えせ者の所得るをり

正月の大根(おおね)。行幸のをりの、姫大夫。御即位の御門司(みかどつかさ)。六月、十二月のつごもりの節折(よをり)の蔵人。季の御読経(みどきょう)の威儀師(いぎし)。赤袈裟着て、僧の名どもを読み上げたる、いときらきらし。

季の御読経、御仏名(おぶつみょう)などの御装束の所の衆。春日の祭の近衛舎人(このえどねり)ども。元三(がんざん)の薬子(くすりこ)。卯杖(うづえ)の法師。御前の試みの夜の御髪上(みぐしあげ)。節会(せちえ)の御まかなひの采女(うねめ)。

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[現代語訳]

151段

つまらない者が幅を効かせる時

正月の大根(おおね)。行幸(ぎょうこう)の時の姫大夫。御即位の御門司(みかどつかさ)。六月、十二月の月末の節折(よをり)の蔵人。季の御読経(みどきょう)の威儀師(いぎし)。赤袈裟を着て、僧の名前を読み上げたところは、非常に輝かしくて立派である。

季の御読経や御仏名(おぶつみょう)などの御殿の設備と、飾り付けをする蔵人所の衆。春日の祭の勅使に随従する近衛舎人(このえどねり)たち。正月元日の薬子(くすりこ)。卯杖(うづえ)の法師。五節の御前の試みの夜の御髪上(みぐしあげ)。節会(せちえ)の時、帝の御膳のお給仕をする采女(うねめ)。

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[古文・原文]

152段

苦しげなるもの

夜泣きといふわざするちごの乳母(めのと)。思ふ人二人持ちて、こなたかなたに恨みふすべらるる男。こはき物怪(もののけ)にあづかりたる験者(げんじゃ)。験(げん)だにいちはやからば、よかるべきを、さしもあらず、さすがに人笑はれならじと念ずる、いと苦しげなり。わりなく物疑ひする男に、いみじう思はれたる女。一の所などに時めく人も、え安くはあらねど、そは、よかめり。心いられしたる人。

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[現代語訳]

152段

つらそうなもの。

夜泣きという事をする赤ん坊の乳母。愛人を二人持って、両方から嫉妬されている男。頑固な物怪(もののけ)を受け持った験者(げんじゃ)。せめて法力の効き目があれば良いのだが、そうでもなく、さすがに人の笑い物にはなるまいと頑張っているのは、とても苦しそうである。むやみに疑ってくるような男に、強く惚れられてしまった女。摂政・関白などの邸宅で勢いに乗っている家来も、安心してばかりはいられないけれども、それは良いだろう。心がイライラと焦っている人。

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