温情主義(おんじょうしゅぎ)

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温情主義
(おんじょうしゅぎ)

[意味]

目下の人や下位の人に対して、思いやりのある優しい態度で臨もうとする考え方や行動方針。温かくて寛大な心で接しようとする考え方や方針。

「温情主義」は英語では「パターナリズム(paternalism)」といいます。

温情主義の「温情」というのは「温かい感情・相手を思う情け・思いやり」を意味していて、「主義」というのは「一貫した考え方・一つの信念に根ざした方針」を意味しています。

[思想的な温情主義の意味]

マルクス主義的な「温情主義」の意味は、支配者(権力者)が被支配者(従属者)に自主的に恩恵的・温情的な処遇をすることで、被支配者の不満・怒りを弱めて懐柔する「階級対立を無効化しようとする考え方・思想的方法論」のことになります。

企業経営の家族主義的な経営方針にも「温情主義」が含まれていて、従業員へ温情・恩恵を施すことによって経営者・会社への不満を抑制して、雇用関係を安定して維持していこうとする考え方・経営方針を意味しています。

[温情の類義語]

「温情」の類義語には、「恩情・厚意・気配り・思いやり・恵み・慈悲・懇切・仁恕(じんじょ)・哀れみ・憐憫の情(れんびんのじょう)・斟酌(しんしゃく)・お目こぼし・哀憐の心(あいれんのこころ)」などがあります。

[温情の対義語]

「温情」の対義語には、「冷血(れいけつ)・薄情(はくじょう)・冷酷(れいこく)・酷薄(こくはく)」などがあります。

[用例]

彼は後輩の気持ちに寄り添う「温情主義」で行動していたので、いつも会社の後輩から尊敬されて慕われていました。

「温情主義」はパターナリズム(保護主義・国親思想)とも呼ばれるように、上位者が下位者に温情的な恩恵・利益を無理やりにでも押し付けることで、下位者を懐柔して抵抗できないような心理状態にするという作用もあります。

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参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)

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