目標達成に効果的なコミュニケーションTips!

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効果的なコミュニケーションに役立つ10のTips!

ここでは、対人コミュニケーションの目的として『信頼関係の構築・問題状況の解決・目標達成の実現・恋愛関係の発展』を考え、それらの目的の実現に役立つ効果的なコミュニケーションのTips(技術)を紹介していきます。ここで紹介するコミュニケーションTipsは、『家庭・職場・学校・恋愛の人間関係』など立場や状況を越えて使える一般的な技術であり心がけなので、人間関係が上手くいかなくて悩んでいる人やコミュニケーションの停滞で目的が達成できない人は参考にしてみて下さい。

1.あなたが相手にしてもらいたいように、相手にして上げましょう。

『人にしてもらいたいことを、何でも人にしてあげなさい』という文言がキリスト教の新約聖書(マタイ福音書)にありますが、この利他的な奉仕の心に類似したものとして、日本では『情けは人のためならず』という諺(ことわざ)があります。無償の隣人愛(博愛)を説くキリスト教では、『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』という教えを人類に普遍的に通用する黄金律(ゴールデン・ルール)としています。善きサマリア人の寓話(ルカ福音書)では、『追いはぎに半殺しの目に遭わされたユダヤ人を救助するサマリア人』が讃えられていますが、これは、ユダヤ人に対して民族的な差別感情をもっていたサマリア人の隣人愛を称賛したものです。

『自分と同じように他人を愛する』という隣人愛と『自分のしてもらいたいことを他人にして上げる』という黄金律は、良好な人間関係を維持する最も基本的な原則であり、相手からの自発的な好意や協力を引き出すのに役立ちます。無論、宗教的な無償の博愛という形で隣人愛を他人に注ぐことは現実的ではありませんが、『困っている相手の立場にたってみて、自分ならどのようにして貰いたいか?』を考えてみると、その状況(場面)における効果的なコミュニケーションの方法が分かってきます。

黄金律(ゴールデン・ルール)を実践する場合に気をつけることは、『自分の能力・体力・気力の限界を越えてまで相手に尽くし過ぎないこと』『自分の価値判断を絶対視し過ぎて善意の押し売りをしないこと』です。人間関係は基本的にギブ&テイクですから、自分の心身の健康を害したり自分の人生を犠牲にしてまで一方的に相手に尽くしている場合には、少し立ち止まって『本当にこの相手は自分にとって必要なのだろうか?相手は自分を大切にしてくれているのだろうか?』と冷静に考え直してみることも必要です。自分のしてもらいたいことを相手にして上げるといっても、自分の価値観を絶対視して相手の気持ちを無視すれば、余計なお節介や善意の押し売りになってしまいます。独善的に一人よがりの好意や愛情を表現するのではなく、相手の気持ちや状況に合わせて協力や援助をしていくことが大切です。

2.相手の欲求(気持ち)に合わせて、相手が望むことをして上げましょう。

上記した黄金律(ゴールデン・ルール)『自分がしてもらいたいことを、相手にして上げる』という原則でしたが、この『相手の欲求(気持ち)に合わせて、相手が望むことをして上げる』という原則は、黄金律よりも正確に相手の喜びや満足を引き出すことが出来るので白金律(プラチナ・ルール)と呼ばれることがあります。『相手がしてもらいたいことを、相手にして上げる』というのは、他者理解がある程度正確に出来ていれば、ほぼ確実に相手を喜ばせ自分に対する評価や好感度を高めることができます。

黄金律(ゴールデン・ルール)は『自分が何を求めているのか?』という自己理解を応用して他者を理解した上で他者の喜びや満足を引き出そうとするアプローチですが、白金律(プラチナ・ルール)は『相手が何を求めているのか?』という直接的な他者理解を元にして他者の喜びや満足を確実に引き出せるアプローチです。白金律をより効果的に活用する為には、『相手の心理的欲求(承認欲求・親和欲求・愛着欲求)』『相手の物理的欲求(金銭・モノ・サービスに対する欲求)』を正確に見極めて、自分の能力や価値観、適性に合わせたコミュニケーションを心がけると良いでしょう。

白金律は、夫婦関係や恋愛関係などのプライベートなコミュニケーションにも応用できますが、契約事項の交渉や顧客のマーケティング、新サービス(新商品)開発のための市場調査というようなビジネス領域のコミュニケーションでも有効です。相手の価値観(気持ち)と自分の価値観(気持ち)をよく把握してから、お互いの欲求を充足できるコミュニケーションをすることで、自分のストレスを軽減し相手のフラストレーション(欲求不満)を解消することができます。また、黄金律や白金律を全く使わない相手とのコミュニケーション(人間関係)では、『自分だけが一方的に利用されて損している』という不快感や理不尽を感じることがあります。逆に言えば、この二つの原則が通用する相手と親交を深めていくようにすれば、充実したコミュニケーションを楽しむことが出来ます。

3.自分のして欲しくないことを、相手にもしないようにしよう。

相手から嫌悪されたり否定されたりする人の性格行動パターンの特徴として、『人の嫌がることや不快に思うことを繰り返しする』ということがあります。儒教の始祖である孔子とその弟子の言行を記録した『論語』の衛霊公篇には、恕(思いやり)の徳の内容を説いたものとして『それ恕(じょ)か。おのれの欲せざるところ、人に施すことなかれ』という文章があります。相手の嫌がることや不快に思うことを意識的・無意識的にしてしまう人は、相手の人格を尊重したコミュニケーションができない未熟な人格と見なされやすいので、『自分がして欲しくないこと』を内省してそれを相手にも適用することは効果的なコミュニケーションにつながります。

相手の積極的な協力や率直な好意を引き出すためには、『相手のして欲しいことをするコミュニケーション』『相手のして欲しくないことをしないコミュニケーション』を適切に組み合わせていくことが有効です。相手を苦しめる攻撃や執念深い嫌がらせ、憎悪の感情は、長期的に見ると『自分を不幸に追いやる他者からの攻撃・圧力・憎悪』として鏡映的にはね返ってくることが多くなります。

いつ『他人からの憎悪・怒り・反撃』を受けても構わないという好戦的な人であればともかく、お互いに『好意・協力・支援』の感情(行動)をやり取りしながら安定した人間関係を築きたい人は、孔子の『己の欲せざるところ、人に施すことなかれ』の規範が黄金律になるかもしれません。自分のして欲しくないことを自己分析するだけでなく、相手のして欲しくないことを共感的に洞察していくことで、より『他人から嫌われないコミュニケーション』を工夫していくことが出来ます。

4.自分の欲求や感情を率直に表現しよう。

自分の欲しいモノは何か、相手にして貰いたいことは何か、自分の望んでいる状況や展開はどんなものなのかを、『信頼関係のできている相手』に対して直接的に話すことはとても大切なことです。自分の抱えている欲求や感情、不安、疑問について、アサーティブ(自己開示的)に話すことは、自分のストレスや欲求不満を軽減するだけでなく、相手に対する信頼感や愛情のアピールにも役立ちます。自分の内面や気持ちを自然なシチュエーションの中で話してくれる人は、『裏表のない人物・安心できる人物』として好感度を高めやすくなります。

『今寂しいから、側に居てほしい』とか『仕事が忙しくて一人では、あなたの手助けが必要なのです』とか『体調が悪いので、今日は休ませて貰っていいですか』とかいった自分の欲求や気持ちに対してアサーティブな言葉は、自分の心身の健康を守ったり、相手との率直な人間関係を作り上げたりすることに役立ちます。自分の欲求や感情を相手は理解してくれるはずだという思い込みや自分の気持ちを理解してくれない相手が悪いという独断は、時に、恋愛関係や結婚生活を破綻に追いやります。学校の勉強やビジネスの会議(交渉)でも、分からない部分があれば率直に『繰り返しの説明(指示)』を求めたり、納得できない条件があれば『ここはこのような条件にしてもらえないでしょうか』と妥協を求めたりすることは有効です。

相手が自分の欲求を満たしてくれないからといって、不機嫌な態度を取っていじけたり拗ねたりすれば、自分の考えや意見をはっきりと主張できない未熟な人格と見られてしまい、相手の評価や好意が下がることもあります。一般的に、何をして欲しいかはっきり言わずに、機嫌や雰囲気を悪くして『私が何をして欲しいか分かっているでしょう?』という態度を取る人は、相手を不愉快にさせたり苦悩させたりする恐れが高いです。相手を困らせて悩ませることが意図的な計算であったとしても、『あなたが望んでいる状態(言葉・答え・モノ)』が相手の苦しみでない限り、『自分の欲求や感情』を率直に表現したほうが『良い結果(望んでいるモノ)』を手に入れられる可能性が高くなります。もちろん、自分の欲求や感情が相手に否定されることはありますが、『欲求の否定』と『人格の否定』とは異なりますから、自分自身が拒絶されたと思い込んで過度に落ち込む必要はないのです。

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5.相手の『価値ある動機』を積極的に認めて上げよう。

他人を傷つけたり不快にさせる相手の行動・発言にも『価値ある動機』があると考えることで、相手に対する否定的な感情(怒り・憎悪・不快)を和らげることができ、自分の利益や安心につながるコミュニケーションへと流れを変えることも出来ます。日常的に使われるこのtipsは、『相手にもそれなりの事情があったのだから……』『相手の気持ちも分かるけれど……』『相手に悪気がなかったことは知っているけれど……』といった言葉で表現されます。つまり、他人の権利を侵害する行動は容認できないけれど、その行動をしなければならなかった『もっともな動機(価値ある動機)』があるという方向で考えを進めていけば、『他人の不快な行動』を許して建設的な話し合いに持っていく端緒をつかむことができます。

基本的に、ある行動を取った人間の動機(モチベーション)を根源まで突き詰めていくと、その多くは『善意の意図(自分・家族・他者・企業の利益)』から始まっていますので、その善意の意図から発した『価値ある動機』を積極的に認めてあげれば『相手の反発・攻撃・怒り』を弱めることができます。相手の言動を頭ごなしに否定して罵倒したりすれば、そこでコミュニケーションが断絶して非生産的な対立(喧嘩)で終わってしまいますが、一定の譲歩をして『価値ある動機(善意の意図)』を言葉にして認めてあげれば相手の態度が軟化することも十分に考えられます。

『価値ある動機(相手のもっともな事情)』を認めるということは、『苦しい立場に置かれている○○さんの言い分はよく分かります』『○○さんの行動が、会社全体の利益を考えてなされたことは理解しています』といった形で『相手の善意の意図』に話の焦点を合わせて上げることです。相手の責任や過失、欠点を追及すれば相手はますます防衛的になり感情的になりますが、『相手が本当は善意をもってそれをしたこと』を認めてあげれば、相手は協力的になり一定の譲歩をしてくれる可能性が高くなります。

6.相手の自尊心や体面を傷つけないように気をつけよう。

公衆の面前で相手の名誉を傷つけたり、公的な場面で相手に無礼な態度を取ることは、将来の人間関係に禍根を残し、相手から予期せぬ意趣返し(報復)を受けるリスクを高めます。相手の自尊心に絶えず配慮して相手に恥辱を与えないような言動を心がけることで、自分の評価や人間性を高めることができ、更に相手からの積極的な協力や自主的な援助を期待できるようになります。

相手の尊厳や誇りに配慮して、大勢の人の前で侮辱したり馬鹿にしたりする行為をしないようにすることは大切なことです。特に、複数の部下を率いる経営者や管理者は『部下(従業員)の体面』を不当に傷つけないようにすることで、部下の仕事に対するやる気(積極性)を高め会社に対する忠誠心も高めることが出来ます。

具体的には、部下の言い訳や責任逃れを徹底的に封じ込めて追い詰めるのではなく、部下のミスや失敗に対する寛容な態度を忘れずに『今回は少し上手くいかなかったようだけど、次回の君の働きには期待しているから頑張ってくれよ。過去は過去のこととして、今からどうすべきかを考えていけばいいんだよ』というような言葉をかけてあげることです。相手の自尊心や体面を守ってあげるコミュニケーションを心がけながら必要な指示や注意を与えることで、相手は『この上司の言うことであれば、聴かなければいけない』と思うようになり相互的な信頼感を高めながら仕事をすることが出来ます。

7.相手を批判する場合は、批判から始めて賞賛で終わるようにしよう。

相手にどうしても苦言や注意を与えなければならない場合には、『初めに相手を褒めて、後で批判するというパターン』を取ると、相手の反発や怒りを買いやすくなってしまいます。それは、初めに与えた賞賛(肯定的な刺激)が帳消しにされて、後に言った批判(否定的な刺激)だけが後々にまで尾を引いて記憶に残ってしまうからです。

相手に否定的な注意や批判をする場合には、初めに『相手が苦痛を感じる批判(注意)』をしておいて、その後に相手の良い面に注目してフォローする『相手が喜びを感じる賞賛(肯定)』をしましょう。『良い内容の話→悪い内容の話』の順番で相手を批判する人は怒りや反発、恨みを買いやすくなりますが、『悪い内容の話→良い内容の話』の順番で話を進めて最後に相手の長所や成果に言及する人は、素直に注意や批判を聞いてもらいやすくなります。

色々なテーマにまたがる複数の話題を取り上げてコミュニケーションをしている場合には、記憶の系列位置効果(親近性効果)によって、『一番最後に聞いた話の内容』ほど強く記憶に残りやすくなります。その為、相手に良い印象を与えて真剣に注意(忠告)を聞き入れてもらう為には、話の最後に、『相手を不快にする否定的な内容』ではなく『相手を喜ばせる肯定的な内容』を持ってくるようにします。

8.相手と同じ種類の失敗やミスをした経験を、積極的に自己開示しよう。

相手が認めたくない失敗やミスについて話してもらうために有効なコミュニケーションは、それと同じ失敗やミスをしたことがあるという『自分の体験談』をアサーティブ(率直)に自己開示することです。自分の失敗や落ち度を絶対に認めたくないという心理には二つの理由があります。一つは、『間違いを認めたら、相手から馬鹿にされたり軽蔑されたりするのではないか?』という自尊心の傷つきに対する不安です。もう一つは、『間違いを認めたら、賠償責任を負わせられたり、厳しい罰則を与えられるのではないか?』という厳しい処罰(ペナルティ)に対する恐怖です。

ですから、相手がなかなか話してくれない失敗やミス、落ち度などについて自発的に話をしてもらうためには『自分にもあなたと同じ弱点や欠点がある』ことを示し、『あなたと似た失敗やミスをした経験があること』を話すことが有効です。何故なら、隠しておきたい失敗や欠点について人間が話そうと思えるのは、『それを話しても決して処罰されないこと(責任を問われないこと)』を権威者が保証してくれている時であり、更に、『それを話しても馬鹿にされたり愚弄されたりしないこと』が分かっている時だからです。

9.気難しい相手には、どのような接し方をすれば良いか、本人に率直に質問しよう。

どんなに気を遣った質問をしても相手が怒り、どんなに丁寧な話し方をしても相手が機嫌を悪くしたりすることもあります。そういった気難しい相手とコミュニケーションをしなければならない時には、自分であれこれと悩んでストレスや不満を溜め込むよりも、相手に直接『どのような話題を好まれますか?私のどういった部分がダメなのでしょうか?』と聴いてみましょう。

そういった直接的でオープンな質問に対して、気難しい相手は不愉快な表情をするかもしれませんが、『私にはどのような対応をして良いか本当に分からないので、あなたの価値観や考え方について是非教えていただけないでしょうか?』といった丁寧な質問をされれば、いつまでも相手に対して冷淡で高圧的な態度を取り続けることは難しくなってしまいます。

気難しい相手とのコミュニケーションに限らず、何となく話しかけにくい相手や気を遣いすぎてしまって疲れる相手(繊細な感受性を持っていて傷つきやすい相手)に対しても、『自分の率直な気持ちや気がかりな点』について率直に話題にしたほうがコミュニケーションが上手くいくことが多いです。

10.相手の怒りや傷つきの可能性を、積極的に取り上げてケアしよう。

『この間はあなたを怒らせてしまったけど、私はなぜ、あなたがあんなに怒ったのか本当に理由が分からないので教えて欲しいんです』というような発言は、相手の気持ちが分からないのに分かったふりをして適当に合わせて話すコミュニケーションよりも、将来のトラブルを未然に抑えることが出来ます。

いつも些細な事で怒っている相手と冷静な話し合いを持つことは難しいですが、もし、そういった相手に嫌な報告をしなければならない時などは、『君を怒らせてしまうと思ってなかなか正直に言えなかったんだけど、今、君に話しても大丈夫かな?』というようにまず相手の機嫌を質問してから本題に入るほうがトラブルが少なくて済みます。本人が『俺はそんな小さなことで怒るような人間ではないから、何でも正直に話してくれたほうが嬉しい』と言えば、嫌なことであってもそれが事実である限り、不当な怒りや攻撃性を相手にぶつけることが難しくなるからです。

相手を傷つける可能性のある話題でどうしても伝えなければならない話(交際中の相手に別れを告げる場合・従業員本人にリストラの候補に挙がっていることを伝える場合など)についても、『あなたを傷つけてしまうと思って、正直に言うことがためらわれるのですが……』という風に切り出すとその後のコミュニケーションが進みやすくなります。誰かの怒りや傷つきと無縁で人生を過ごすことは至難ですが、どうしても相手の怒りや傷つきを避けることが出来ない時には、相手の怒りや傷つきに言及してケアする配慮(気遣い)を見せることが必要になります。相手の怒りや傷つきを完全に無視するよりもある程度それに言及して気遣いするほうが、円滑に本題の話を進めることができるでしょう。

コミュニケーションの目的と対人関係の問題

コミュニケーションの目的は『時・場所・状況・相手』によって変化するので、コミュニケーションの目的を一つに絞り込むことは出来ませんが、コミュニケーションの持つ役割を考えると『双方向的な意思疎通によって心理状態・問題状況の変化を起こす』という目的を考えることが出来ます。コミュニケーションを行って、相手に何らかの反応(フィードバック)を返したり相手からの反応を受け取ったりすれば、自分の心理状態や相手の心理状態に必ず何らかの変化が生じます。

逆に、長期間にわたって相手とのコミュニケーションを行わない場合にも、『興味・関心・好意の喪失』など暗示的(無意識的)なメッセージを相手に伝えることがあります。一度知り合った知人に対して、言語的・非言語的なコミュニケーションをすれば『自分と相手の関係性の質』が変容しますが、知人との言語的・非言語的なコミュニケーションを減らしたり断絶した場合にも『自分と相手の関係性の質』は大きな変化を見せます。

どれくらいの頻度(量)で、相手に興味や好意を示して話しかけるかによって『相手の心理状態(好意・信頼・親近感)』は大きく変化しますので、相手との良好な関係を維持したければ『適度なコミュニケーションの量(回数・時間)』を確保する必要があります。どんなに強い愛情で結ばれている夫婦や恋人であっても、数年間にもわたって『濃密なコミュニケーションの断絶(中絶)』があればその愛情や信頼は弱まってしまいますから、『コミュニケーションの質(相手との絶妙な距離感)』を維持するためには『コミュニケーションの量(相手と親密に話す回数)』をある程度大きくしていかなければなりません。

対人関係の相互作用を研究する社会心理学では、『単純接触仮説』というものが実験的に検証されていて、頻繁に相手と会ってコミュニケーションをする頻度(回数)が多いほど『相手に対する好感度(親近感)』が上がることが分かっています。一般的に、ビジネスでも恋愛関係でも友人関係でも『実際に会って話(交渉・相談・雑談)をする相手』に、より信頼感や好感度を抱きやすい傾向があります。電子メールよりも電話、電話よりも面談(実際に会って話すこと)のほうが『相手の行動・感情・態度』を変化させる効果的なコミュニケーションにつながりやすいのです。自分の誠実な態度や真剣な愛情、相手への関心を効果的にアピールして問題を解決していく為には、『コミュニケーションの量(頻度)』『コミュニケーションの質(内容)』を適切に結びつけてお互いの意見や欲求(感情)をぶつけ合う必要があるのです。

お互いの意見や欲求(感情)を率直にぶつけ合うコミュニケーションには、『問題解決に効果的なコミュニケーション』と『問題解決に非効果的なコミュニケーション』の二つがあります。 問題解決に役立たないコミュニケーションとは、『相手との違い』を見つけて口論したり相手の発言を打ち負かして自分の要求を相手に強引に押し付けるコミュニケーションのことです。相手の意見(価値観)を否定するこの種のコミュニケーションで『短期的な利益(その場限りの問題の解決)』を得られることはあっても、長期的にはその相手との人間関係が破綻する可能性が高く予期せぬ裏切りや反撃に遭うリスクが高くなります。

問題解決に役立つコミュニケーションとは、『相手との違い』を見つけて否定するのではなく、自分の主張と相手の要求との間に『相互的な利益を実現できる妥協点』を探すコミュニケーションのことです。相手の意見(価値観)を肯定するこの種のコミュニケーションを心がければ、相手からの『自発的な協力・支持・援助』を引き出すことができるだけでなく、自分からも相手に対する『自発的な協力・支持・援助』を出来るようになってきます。

相手の持つ権力や財力によって強引に奉仕(貢献)させられれば人間は敵意を抱いて反発しますが、相手が自分に与えてくれた善意や協力に感謝(感激)して、自発的に協力(応援)したいと思えるようになれば『長期的な信頼関係の基盤』となっていきます。相手の好意(協力)には好意(協力)を返したいと思い、相手の悪意(攻撃)には悪意(攻撃)を返したいと思うのが人間心理に備わった自然な『好意・悪意の返報性』ですから、長期的な安定した恋愛関係(交友関係・ビジネス関係)を維持したい場合には、相手に対する誠実な好意や積極的な協力をアピールすることが最も効果的です。しかし、相手が短期的な利益や利己的な目的を最優先する人物(組織)である場合には、このコミュニケーション戦略は通用しませんので、シビアな競争関係や情報戦の最中にある経済環境では『しっぺ返し戦略』や『騙し討ち戦略』のほうが有効なこともあります。

コミュニケーションには企業部門で行う情報連絡のように単純な情報の伝達やタスク(仕事)の指示だけを目的としたものもありますが、家族・恋人・友人などの間で行うプライベートなコミュニケーションの目的は、情報伝達よりも感情交換や相互承認にあります。コミュニケーションとは、『自分の意志・要求・感情』を相手に伝達して『相手の意志・要求・感情』を自分が受け取る『意志疎通のプロセス』のことであり、コミュニケーションの究極的な目的は『自分と相手の期待するダイナミックな変化を実現すること』にあります。

自分の欲求と相手の欲求を同時に満たせるダイナミック(動的)な変化が起こることがコミュニケーションの理想ですが、自分の欲求を満たす為に相手を一方的に利用するようなコミュニケーションや相手の欲求を満たす為に自分自身を犠牲にするようなコミュニケーションの形態もあります。自己の欲求と他者の欲求をぶつけ合いながら人間関係を変化(維持)させようとするプロセス、あるいは、複数の人間(集団組織)の間に存在する問題を解決しようとするプロセス(過程)が、現実社会で行われているコミュニケーションなのです。目標の達成や問題の解決につながるようなダイナミックな心理状態の変化を引き起こせるコミュニケーションが『良いコミュニケーション』であり、自分の目標を挫折させたり問題状況を複雑にしたり、相手(自分)の気持ちを傷つけたりするコミュニケーションが『悪いコミュニケーション』であると考えることができます。

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