SCPモデル:未来の成長産業の発見モデル

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SCPモデルとは何か?

魅力的な成長産業を発見するための分析手法

SCPモデルとは何か?

企業の収益力は『産業構造の変化・時代のトレンド』によって大きな影響を受け、『産業の時代適応的な魅力・成長力』によって規定される側面が強い。産業構造や産業の種別・適応が企業の収益を左右することから、『魅力的で将来有望な産業分野』を発見することそのものが収益最大化の戦略になるのである。

将来の成長性のある魅力的な産業を発見することによって、企業の収益力を高めていく経営戦略のことを『SCPモデル』という。SCPモデルというのは、以下のようなモデルである。

S(Structure:産業構造)……供給者の数、需要者の数、参入障壁、コスト構造、時代のトレンド性、製品の差別化、技術的な難易度などを総合的に分析する。

C(Conduct:企業行動)……価格戦略、製品戦略、宣伝・広告、販売戦略、設備投資、研究開発コスト、ブランド力などを総合的に分析する。

P(Performance:企業業績)……当該産業分野の各企業の業績が全産業の平均より上回っているかどうかを分析する。

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SCPモデルは、企業の行動(Conduct)が産業構造に大きく制約されることを前提にしている。産業構造は『産業全体の収益性』だけではなく『個別企業の利益率』にも影響を与えるので、より将来有望で魅力的な産業分野に事業モデルの基軸を移していくことが経営戦略になるのである。

SCPモデルが目標にするのは、企業が『同じだけの経営資源(資本・人材・設備・技術など)』を投入する時に、より迅速に効率良く利益が得られる魅力的な産業分野を発見することである。SCPモデルとは言い換えれば『効率的な投資戦略(非効率的な無駄な投資をしない戦略)』でもあり、同じだけの資本や設備、人材を投入する時に、より大きな利益を期待できる産業分野を探す時に役立つ理論モデルになっているのである。

将来の成長が期待できる魅力的な産業分野を発見・分析するためには、SWOT分析のような『自社分析』だけをしても意味がなく、“S(産業構造)”と“C(企業行動)”と“P(企業業績)”に代表される『外部の環境要因の分析』を細かく丁寧に行っていく必要がでてくる。

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魅力的な成長産業を発見するための分析手法

将来の成長や発展が期待できる成長産業を発見して、その分野に集中的に経営資源(経営リソース)を投入することができれば、企業はスピーディーに効率的な利益を上げることができ、結果として営業利益や利益率が大きく高まりやすくなる。このストーリーに基づく成長戦略が『SCPモデル』と呼ばれているのである。

特定の産業の将来の成長性や発展可能性を分析するためにまず参考にできるのは、『産業構造の分析』である。供給者の数が少ないのに需要者の数が多い産業、すなわち『慢性的な商品・サービスの供給不足が起きている産業』がもっとも将来の成長可能性がある産業になってくるだろう。だが、効率的に運営されている市場ではその種の産業はこれから伸びてくる『新規産業(産業構造の転換期)』に限られやすい。

法規制や資格・免許制度、大規模設備の必要性、(テレビ局など)枠数が決まった既得権などの『参入障壁・参入コスト』に守られている産業も、その参入障壁をクリアすることさえできれば大きな利益率を上げやすい産業として考えることができる。『S(産業構造)の分析』では、需要と供給のバランス、参入障壁や生産コスト、製品の差別化の可能性などを総合的に分析していくことになる。

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自動車の産業は競争優位になれば『グローバル市場における巨額の利益』が見込める魅力的な産業かもしれないが、現実には『規模の経済・初期投資や経営コストの大きさ・技術的な難易度の高さ・専門的な人材とノウハウの獲得困難・ブランド力(車の信用性)・貿易収支の不安定さ(為替)』などの観点から、資金だけを持っている新規参入者が簡単に参加できる産業分野ではない。

他業種のどの会社も簡単には参入できないからこそ、トヨタやメルセデスベンツ、ホンダなどをはじめとする自動車産業のトップメーカーは巨額の利益を上げ続けている(為替・景気・ブランド力・労働賃金下落などの影響で利益が大幅に減ったり赤字になることもあるが)のである。

『C(企業行動)の分析』では、価格競争がどのくらい激しく行われているか、製品戦略でどのくらいの差別化・新規化が行われているか、宣伝・広告にどのくらいのコストを割いているか、研究開発のための資金や人材がどれくらい必要かなどの『個別企業の経営戦略』が分析されることになる。

『P(企業業績)の分析』というのは、シンプルにその産業分野の各企業の業績が全産業平均よりも上か下かを分析するのである。魅力的な成長可能性のある産業に参入したい時に、自社に新規参入するためのノウハウや人材・技術がないこともあるが、資金力のある企業であれば『M&A(企業の合併・買収,Mergers and Acquisitions)』によって参入することも可能である。

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