株式とは何か?株式投資と日本の株式市場

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株式投資・株式会社の仕組み
日本の株式市場

株式投資・株式会社の仕組み

株式市場のある資本主義経済(市場経済圏)では、大企業の殆どが『株式会社(Stock Company)』という企業形態を取って経営(事業活動)を行っています。株式会社では、企業(会社)の『経営』『所有』が分離されており、法律的には企業の所有権は経営陣や従業員ではなく、企業が発行する株式(株)を所有する『株主』にあります。株式会社は『株主(出資者)・経営者・従業員』によって構成されますが、株主は社団の構成員として『社員の地位』を持ち、具体的には保有する株式数(株式単元数)に応じた『会社所有権・経営参加権(議決権)・配当金の受取権』を持っています。

株主が持つ権限の大きさや現経営陣が経営権を奪われるM&A(企業の買収・合併)のリスクを考えると、会社創設者にとって自分の会社を株式会社にするメリットが乏しいように思えるかもしれませんが、株式会社には『返済義務のない無利子の事業資金(出資金)』を株式市場を通して大量に集められるという他の企業形態にはない大きなメリットがあります。株式や社債を発行して企業が事業資金を集めることを『直接金融』といい、銀行からお金を借りる『間接金融』と比較すると、直接金融のほうは集めたお金の返済期限がなく利息を払わなくてよいという明確なメリットがあるわけです。

株式会社設立の歴史は、1602年3月20日に設立されたオランダ東インド会社にまで遡ると言われますが、株式会社とは株主(出資者)から出資金を募り、その出資額に応じて有価証券(株券)を発行して、会社の利益に応じた配当金を株主に還元する仕組みのことです。株式市場とは、証券市場に上場している『株式会社の株券』が流通している自由市場のことであり、市場全体の『マクロ要因』と個別企業ごとの『ミクロ要因』によって絶えずリアルタイムで株価が変動しています。

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個人(家計)から見ると株式という有価証券は、出資した『元本(元金)』が保証されていない『リスク資産』ですが、株価の値動きが激しい分、大きなリターン(配当金・株価売却益)を得られる可能性のある資産です。株式投資は一般的に『ハイリスク・ハイリターン』の金融投資(資産運用)だと言われますが、元本保証の安全資産である銀行への『預貯金』よりも、インフレリスク(物価上昇・貨幣価値の下落)に強いという強みがあります。株価を決める株式市場は物価を反映して上下するので、自動的に物価水準に合わせた資産価値になりやすいのですが、預貯金は物価とは無関係に『貯金した金額のまま』なのでインフレリスクに対して弱いという短所があるのです。

とはいえ、個人(家計)の金融資産の大部分をハイリスクな株式で持つのは危険であり、家計の『リスク許容度・短期的に必要なお金(必要な生活資金)・期待する利率・投資の目的』に合わせて、複数の金融商品に『分散投資』するのが賢明でしょう。一般的に金融商品への投資では、リスク(資産の評価額が減少する危険)が高いほど期待されるリターン(利益率)が大きくなりますが、『普通預金・定期預金→債券(国債・公社債)→投資信託(国内・海外・株式・債券・REITの組み合わせでリスクは変動)→株式投資→先物取引』の順番で予測されるリスクが上がっていきます。家計で金融投資をする場合には、短期的に必要となる生活資金・教育資金を『預貯金』で安全に確保しながら、それぞれのリスク許容度とリターン期待度に合わせて『株式・債券・投資信託』などに分散投資していくことが望ましいと考えられています。

株主の責任は出資した金額の範囲内での『有限責任』なので、株式投資(株式取引)のリスクは、お金を証券会社から借りる『信用取引』をしない限りは、『出資金の範囲内のリスク』に留まります。つまり、最悪のケースで株式投資した株式会社が倒産しても、有価証券の株券が紙くずになるだけでそれ以上の借金を背負うようなリスクはないということです。一般投資家が売買できるのは『上場企業の株式』だけですが、上場審査基準を満たしている大企業だけを投資対象にすることで、投資のリスクを軽減することが出来るとも言えます。

株式投資から得られる利益には、『キャピタルゲイン(株価売却益)・インカムゲイン(配当金)・株主優待(その企業の商品・サービス・金券などによる株主への利益還元)』がありますが、企業によっては株主優待がないというところもあります。自分の好きな商品(食品のメニュー)やサービスを取り扱っている企業を応援する気持ちで株式投資をする人もいますが、その場合には、年に一回貰える株主優待を楽しみにしているという株主も多いでしょう。特に、外食産業や旅行会社、食品企業では魅力的な株主優待を準備していることが多いようですが、株主優待制度の恩恵を受けるためには『割当基準日に株主名簿に記載されていること』『企業が定める一定数以上の株式を保有していること』が必要です。

日本の株式市場

株式市場で株を一定数購入すると、株主は『共益権』『自益権』を手に入れることが出来ます。共益権というのは株式会社の所有者として、『企業の経営』に参加する権利のことで、具体的には『株主総会への出席権と議決権』のことを意味します。大多数の小口の個人投資家は『単独株主権』を持つに過ぎませんが、発行済み株式総数の一定の割合を占める大株主になると『解散請求権(会社の解散を請求する権利)』を含む『少数株主権』を保有することになります。

過半数の株式を保有する大株主(機関投資家=ファンド)になると、実質的にその株式会社の経営権がその大株主に掌握されるという状況になります。自益権というのは株式投資によって経済的利益を受ける権利のことで、具体的には会社の利益の一部を還元してもらう『利益配当請求権』と会社が倒産(解散)した時に残った財産を受け取ることができる『残余財産分配請求権』とがあります。これら『議決権・利益配当請求権・残余財産分配請求権』の三つを合わせて、『株主の三大権利』と呼びます。

株式は証券取引所(株式市場)で売買しますが、個人投資家は『証券会社』を介さないと株式を売買することが出来ません。各種の金融商品は、証券会社・銀行・保険会社といった金融機関で取り扱われていますが、株式取引はインターネットで取引できる『ネット証券』を含む証券会社が専門的に取り扱っています。証券会社が行う業務は大きく分類すると、以下の4つになります。証券会社の仕事を一言でまとめれば、投資家の株式に対する売買注文を仲介して手数料を得ることですが、小口の個人投資家向けの部門を『リテール』、大口の機関投資家向けの部門を『ホールセール』と呼ぶことがあります。外資系金融機関としてよく名前の出てくるゴールドマン・サックス証券やリーマン・ブラザーズ証券、JPモルガン証券、ソロモン証券などは機関投資家向けのホールセールを中心にグローバルな投資事業を手掛けている証券会社です。

日本で実際に株式が売買される証券取引所(株式市場)は、『東京証券取引所(東証)・大阪証券取引所(大証)・名古屋・福岡・札幌・ジャスダック』の6つの取引所ですが、東京・大阪・名古屋の取引所を『三大取引所』と言っています。トヨタやソニー、任天堂、メガバンクなど日本を代表する企業のほとんどが上場している東京証券取引所(約2000社が上場)は、ニューヨーク証券取引所とロンドン証券取引所と並ぶ『世界三大証券取引所』の一つであり、上場するための上場審査基準も相当厳しくなっています。ジャスダック証券取引所や東証マザーズ証券取引所は、新興ベンチャー企業を主要な対象とした市場で、上場審査基準が東証や大証と比較するとかなり緩くなっています。

東証で実際に株式の売買ができるのは『9時~15時』の短い時間帯であり、9時~11時の取引時間を『前場(ぜんば)』といい、12時30分~15時までの取引時間を『後場(ごば)』といいます。前場で取引が開始されることを『寄付き(よせつき)』といい、寄付きでついた株価のことを『始値(はじめね)』、後場の大引け(おおびけ=終わり)でついた株価のことを『終値(おわりね)』といいます。前場と後場の取引が終わることを『引け』といいますが、特に一日の株式取引が終了する後場の終わりのことを『大引け』と呼んでいます。

日本の株式市場(証券取引所)は6つありますが、『三大証券所(東証・大証・名証)』はそれぞれ3つの市場を持っています。東証には『一部・二部・マザーズ』、大証には『一部・二部・ヘラクレス(旧ナスダック・ジャパン)』、名証には『一部・二部・セントレックス』があり、『マザーズ・ヘラクレス・セントレックス』は上場基準が緩い新興ベンチャー企業向けの株式市場となっています。一般的に、三大証券所の一部上場の企業は『株価の変動』が小さいので低リスクですが、その分リターンも小さくなります。反対に、経営状況が不安定で業績・財務の変化が急なベンチャー企業が多い『新興市場(マザーズ・ヘラクレス・セントレックス)』は、株式の流動性が高く株価の変動が大きいので、『ハイリスク・ハイリターンな投資環境』であると言えます。

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