独身期のライフステージとキャッシュフロー

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独身期のライフプランとお金の運用計画

中学を卒業してすぐに職人の世界に飛び込む人もいれば、高卒で会社員や販売員として就職する人もいて、大卒で専門職や公務員になってキャリアを積み重ねようとする人もいますが、一般的に学生時代が終われば、自分で何らかの仕事をして経済的自立の原資となる『所得』を得るようになります。ここでは、結婚する以前の独身期のライフステージ(人生の段階)における人生計画(ライフプラン)と人生計画に沿ったお金の運用計画について考えてみます。

正規雇用(正社員)にせよ非正規雇用(派遣社員・フリーター)にせよ、自分ひとりだけの生活を支えれば良い独身期というのは、基本的にはお金を貯めやすい時期ですが、『将来、自分がどのような人生を送りたいのか?』という漠然とした人生計画(ライフプラン)によってお金の動かし方や使い方を工夫する必要があります。独身期は結婚期に比較するとお金の『収入』に比べて『支出』が小さいことが多いのですが、独身であっても実家に多く仕送りをする必要がある人や高額商品の消費、娯楽・レジャーの出費が多い人であればお金は貯まりにくくなります。

また、独身期には正規雇用と非正規雇用の給与待遇格差によって『所得』『社会保険の保障』に差が生まれ、実家から職場に通っているのか一人暮らしをして職場に通っているのかによって『支出(家賃・食費・光熱費・水道代)』の大きさが変わってきます。お金の運用(ファイナンシャルプラン)というとお金を増やしていく『利殖(預貯金・金融商品や不動産への投資)』にばかり目が行きがちですが、お金の運用で一番重要なことは『自分の人生計画に必要なお金を、必要とする時期に準備できていること』であり、起業や投資をするなど特別な場合を除いて『出来るだけ利子の付く借金(負債・ローン)を抱えないこと』です。

特に、後者の『利子の付く借金(ローン)を抱えない』というのは重要なポイントであり、絶対に今すぐ欲しい商品以外は極力お金を貯めてキャッシュ(現金)で購入するようにしましょう。車や家など資産価値のある高額商品をローンで購入する場合には、『所得からローンを引いた金額』から一定の預貯金や投資が可能かどうかを検討してみてください。ローンを支払うとギリギリの生活しか送れず余剰資金がなくなるという場合には、ワンランク安い車を購入したり、家の購入時期をずらしたりしたほうが良いと思います。耐久消費財である車や家には資産価値がありますが、その資産価値は時間の経過に従ってだんだん減少していきますので、『車両運搬具・機械装置・建物(家)・建物付属設備』減価償却資産と呼ばれます。どんな高級車でも10年もすれば殆ど資産価値を失いますので、独身時代に車を購入する場合には、予算に余裕を持ってローンの支払いを楽に行えるランクの車を買うのが賢いといえます。

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最終的には、老後の生活に困らないだけの保障(年金・配当の支給)と貯蓄(キャッシュ)を得ることが目的となっていきますが、独身期に老後の生活まで十分な心配をすることは難しいですから、独身期には『大まかなライフプラン』を描いて『将来の投資・貯蓄・保険』に役立つお金の基礎知識を身に付けると良いでしょう。『大まかなライフプラン』で特に重要なのは以下の点になります。

独身期には上記の大まかなライフプランを立てて、将来、自分が送りたい人生に必要な資金を準備することが大切です。今現在、交際している恋人(彼氏・彼女)がいて、何年後くらいに結婚したい(子供を持ちたい)という考えが固まっているのであれば、『結婚・出産育児に必要な資金』を貯蓄することが最優先事項となるでしょうし、いつ結婚するか分からない人や結婚しないと決めている人でも、『緊急事態に備える為の防衛資金や医療保険』を準備しておく必要があります。

お金を有効に利用する為の『4つの区分』

お金の運用・投資の計画であるファイナンシャル・プラン(financial plan)というと『何だか難しくてよく分からない』というイメージがありますが、基本的には、銀行・証券会社・保険会社などの金融機関が準備している『金融商品』のメリットとデメリットを比較検討して、『自分の人生計画や利用目的』に合った金融商品を的確に選ぶ作業のことです。自分の目的に合った金融商品を選ぶポイントは『長期金融商品か短期金融商品か・利率が高いか低いか・リスクが高いか低いか』であり、どの金融商品が自分に合っているのか分からない時にはこの3点を思い出してください。

自分の手元にあるお金を適切に管理して資産の現状を分かりやすくするために、家計簿をつけて自分のお金を以下の『4つの区分』に分類しましょう。これは、独身期の人だけでなく既婚者であっても利用できる基本的なお金の分類なので、家計簿をつけたり金融商品の購入を検討したりする時にはこの分類に従って考えると良いでしょう。金融商品を選択する際に一番気をつけることは『自分がお金を必要な時に、必要な金額を引き出せる商品なのか?』ということであり、『短期間で使う予定のあるお金』は中途解約できない定期預金や積立預金などの長期金融商品に預けないようにします。

  1. 1ヶ月以内に使う予定のある家賃・食費・光熱費・通信費などのお金(生活資金)
  2. 特定の目的に使う予定のあるお金(耐久消費財の購入資金・入学資金・結婚資金など)
  3. 家族(自分)の病気・怪我・用事など不時の出費に備えるお金(防衛資金)
  4. とりたてて使う予定のない余剰資金(投資資金)

上記の4つの区分を考えると、『1の生活資金』はいつでもお金を出し入れできなければいけないので、銀行や郵便局の普通預金通帳に預貯金しておくようにします。『2の必要資金』は普通預金でもいいですが、特定の目的に使う時期が分かっていれば、結婚・入学の時期に合わせて解約できる3年ものや5年ものの定期預金に預けたり、安全性の高いと判断できる債権を購入するほうが受け取る利子が高くなります。

『3の防衛資金』は普通預金のキャッシュで準備する部分と保険商品の保障で準備する部分があります。普通預金のキャッシュは、突然の失業(解雇)や転職に備えるためのもので、『働かなくても一年間は生活に困らない貯蓄』を一応の目安にしておきます。1ヶ月の生活費に20万円が必要な人(家計)であれば、約240万円の貯蓄があればひとまず安心ということになります。突然の大病や大怪我では予期せぬ高額の医療負担を求められることがありますし、既婚者であれば家計を支えている夫(妻)が死亡した場合に残された家族の生活が心配になります。その為、防衛資金で保険商品の保障を購入する場合には、満期の払戻し金があるかないかなど契約内容をよく読んで自分が必要と思える『生命保険・医療保険・老後保険・個人年金』などに分散投資するようにすると良いでしょう。20代~30代であれば、入院保障がしっかりした保険料の安い医療保険だけでも加入しておくと、不時の病気や怪我の出費にも安心して対応できます。

『4の投資資金』というのは、これがなくなっても生活には困らないという余剰資金のことであり、この投資資金がある人は、リスクが高いがリターンの大きい株式投資や投資信託、外貨預金、FX、ETF、REITなどにコツコツと勉強しながらチャレンジしてみてもいいでしょう。家や車などの大きなローンを抱えている人は、余剰資金を『リスクのある投資』ではなく『ローンの返済』に回すようにします。お金を増やすための投資や家・車を買うためのローンではなく、自分自身の職業的なキャリアアップに役立つ『資格取得・技能習得・語学修得・教養の向上』にお金を使いたいという場合にもこの余剰資金を用いて自己投資するようにします。

給与所得や事業所得を得る本業の仕事以外に、お金を効率的に増やす方法が、各種金融商品や不動産、ベンチャービジネスなどを対象にした『投資活動』です。元本(つぎ込んだお金)を割り込むリスクのある投資は必ず、『なくなっても生活に困らない余剰資金』を用いて行うという原則を守り、(リスクのある投資活動には絶対儲かるという保障はありませんから)本業を維持しながら投資を楽しむというスタンスを守ったほうが安全です。独身期には『4つの区分』に従ってお金を適切に管理できる練習をして、『金利・ローン・税金・社会保障・金融商品・投資活動』の基礎知識を学ぶことが課題となります。

ファイナンシャルプランを実現するための家計の管理

自分が送りたい人生を経済的に実現するためには、お金を計画的に運用するファイナンシャルプランが必要になりますが、そのファイナンシャルプランが上手く計画通りに進んでいるかどうかを知るためには、ライフイベントやお金の出入りを記録したワークシート(家計簿)が必要になります。ライフイベント(life event)というのは、現在から将来に掛けて発生すると思われる『人生の重要な出来事』のことであり、具体的には、結婚・出産・子供の入学や卒業・住宅や車の購入などの出来事のことです。人生の節目に起こってくるライフイベントでは、出産のための入院費や子供の入学金・学費、住宅ローンや車のローンなどの大きな支出が必要になることが多いのです。

家計の管理に役立つワークシートには、家計を支える資産(財産)と負債の細目と合計金額を書き込んだ複式簿記の『バランスシート(貸借対照表)』があります。このバランスシートには、預貯金や株券、外貨預金、投資信託などの金融資産、土地や建物などの不動産資産の時価・売却価格を書き込んでいき、住宅ローンやクレジットカードの借入金といった負債も書き込みます。借方に『資産』を書き貸方に『負債と純資産』を書くという複式簿記なので、バランスシートの借方(左側)と貸方(右側)の合計金額が一緒になるようにします。一般的な家計簿のように現金の出入り(収入と支出)を細かく記録していく場合には、お金の流れを一覧表で確認できるキャッシュフロー計算書を作成します。

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