血圧検査・心電図検査(基本検査)

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血圧検査・血圧測定

暴飲暴食の食生活、運動不足、喫煙習慣、過度のアルコール摂取など生活習慣全般の乱れから起こってくる生活習慣病の中で、最も致命的な疾患に発展しやすいのが心筋梗塞や脳卒中、動脈硬化症といった循環器系の疾患です。血圧を定期的に測定することで、心臓の機能の異常が発見しやすくなり、高血圧によって発症リスクが高まる各種の循環器疾患を早期に治療できるようになります。

血圧測定は、被検者の上腕部にカフと呼ばれる駆血帯を巻き、ポンプで空気をカフに送って上腕部を締め付け、少しずつ空気を抜きながら測定します。ポンプは昔ながらの手動のものだけでなく、コンピュータ制御で空気を送り込んで抜いてくれるポンプもあり、家庭用のデジタル式血圧測定器などはこの自動で空気を送り込むポンプを採用しています。

血圧には、心臓が収縮して血液を大動脈や肺動脈に送り出す際に血管にかかる圧力である『最高血圧(収縮期血圧)』と血液が大静脈や肺静脈を通って心臓に戻ってくる時に血管にかかる『最低血圧(拡張期血圧)』とがあります。血圧の数値を決定する主要要因は、心臓が動脈へ送り出す血液量と血管壁の抵抗値ですが、一般に血圧が高すぎると、血管に過剰な負荷がかかり血管壁が柔軟性を失って硬くなる動脈硬化症の原因となります。

動脈硬化症は、血液の流れを滞らせ、血栓を生じやすくして、心筋梗塞や脳卒中、狭心症といった危険な心臓疾患のリスクファクター(危険因子)となりますし、体内の有害物質や老廃物を濾過する腎臓にも高血圧は負担を掛けます。

血圧の数値による国際的な健康度の判定基準として、WHO(世界保健機関)やISH(国際高血圧学会)が定義した基準がありますが、日本では、欧米人と日本人の体質・平均血圧の差異、心疾患や血管障害の病態の違いに配慮する必要があり、日本人の血圧基準として日本高血圧学界が作成した『高血圧治療ガイドライン2000年版』が参照されることが多くなっています。

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『高血圧治療ガイドライン2000年版』に基づく日本人の成人の血圧の判定基準は、以下のような数値になっています。

日本の成人の血圧判定基準
血圧の健康度の分類血圧の数値
理想的な至適血圧最高血圧120mmHG未満 かつ 最低血圧80mmHG未満
正常血圧最高血圧130mmHG未満 かつ 最低血圧85mmHG未満
正常高値血圧最高血圧130-139mmHG または 最低血圧85-89mmHG
軽症高血圧最高血圧140-159mmHG または 最低血圧90-99mmHG
中等症高血圧最高血圧160-179mmHG または 最低血圧100-109mmHG
重症高血圧最高血圧180mmHG以上 または 最低血圧110mmHG以上
収縮期高血圧最高血圧140mmHG以上 かつ 最低血圧90mmHG未満

高血圧と判定されても大部分が原因が特定できないか、曖昧な精神的ストレスや生活習慣のバランスの乱れが原因であるかであり、そういった原因不明の内因性・心因性の高血圧を『本態性高血圧』といいます。本態性高血圧以外には、それ以外の身体疾患や薬物の副作用に付随して起こる二次性高血圧もあります。高血圧は原因を問わず、動脈硬化を促進して、心筋梗塞や狭心症、大動脈瘤など心臓疾患の原因となり、脳梗塞や脳出血のリスクファクターとなります。

先ほど述べたように、高血圧は腎不全など腎臓疾患のリスクファクターでもあり、早期発見と早期治療(昇圧剤などの薬物療法・生活習慣と食習慣の改善・塩分摂取を一日7g以下・禁煙・適度な運動・精神的ストレスのコーピング)が重要になってきます。高血圧以外の心血管疾患のリスクファクター(危険因子)として、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙習慣、高齢、心血管疾患の家族歴などがあります。高血圧によって何らかの身体疾患が発症しているかを確定診断する為には、血液生化学検査や心電図検査、尿検査などを合わせて行っていきます。

心電図検査(ECG)

心電図検査(ECG)というのは、心筋が血液を送り出すため収縮する時に発生する「微弱電流」を測定する検査で、その検査結果である心拍数や心臓の収縮リズムは波型のグラフとして記録されます。心臓の微弱電流は、刺激伝導系の「洞結節」「心房結節」から発生します。心電図検査によって、心臓の動きの特徴やリズム、心臓疾患の有無を診断することが出来ます。不整脈や狭心症、心筋梗塞、高血圧由来の心肥大などの診断の参考となり、病態の経過を観察したり、各種の医学的治療の効果を判定する場合にも使われます。

心電図検査では、筋肉や神経の回路を伝導する電流の変化を波形として心電図計に記録しますが、心電図検査を受ける被検者は、検査の前に血管を拡張させ血圧を変化させる作用のあるカフェインやアルコールを摂取しないようにしましょう。身体につける電極は、胸部に6ヶ所、両手両足に1ヵ所ずつになっています。

心臓の1回の動き(収縮)は、心電図計に3つの波形として記録されますが、3つの波形とは『P波・QRS波・T波』のことを指示します。P波とは「心房の収縮」、3つの点(Q・R・S)で作られるQRS波とは「心室の収縮」、T波とは「心室の回復(収縮期から元に戻る)」を表す波形です。PとQの間の距離であるPQ時間で「心房から心室に電気刺激が伝わる時間」が分かり、QRSのS点からT点までのST波で「心室の興奮の終わり」が分かります。心臓疾患の専門医であれば、3つの波形を見て、頻脈・徐脈などの不整脈や狭心症、心筋梗塞、心肥大、心膜炎、高血圧などを診断することが出来ます。

安静時の心電図だけでは病態や異常を判定できないという場合には、被検者に運動負荷を掛けて心電図を計測する『負荷心電図検査』というものもあります。負荷心電図検査には、階段昇降運動をして心電図を取る『マスター法』、ランニングマシーンのようなベルトの上を歩いて心電図を取る『トレッドミル法』、サイクリングマシーンのような自転車のペダルを漕いで心電図を取る『エルゴメーター法』などがあります。

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