「愛着(attachment)」,「アイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)」

このウェブページでは、「愛着(attachment)」と「アイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)」の用語解説をしています。


愛着(attachment)

ジョン・ボウルビィ(John Bowlby,1907-1990)は、児童精神医学の領域で、母子のアタッチメント理論を提唱して乳幼児の精神発達を論じた。愛着(アタッチメント)とは、特定の対象(母親など)やモノに対して形成される強い情緒的な結びつきである。アタッチメントは、人間の発達初期において、生存維持と不安軽減のために形成される環境適応的な反応である。それと同時に、アタッチメントは、人間の孤独感を和らげて基本的安心感を育むために必要な行動であり情緒である。

乳幼児は、『泣く・微笑む・発声・後追い』などの情緒的な発信行動で、自分の不快や欲求を養育者(主に母親)に訴える。その情緒的な発信行動に対して、マザリングともいわれる素早く適切な反応(ミルクを与えてくれる・おしめを変えてくれる・スキンシップをとってくれる・優しく抱いてくれる)を返してくれる大人に対して、乳幼児はアタッチメントを形成することになる。乳幼児は強いアタッチメントを感じている発達段階(共生期)から弱いアタッチメントを感じている発達段階(分離個体化期)へと成長していくが、母親や父親は小学生の年代までは安全基地としての心理的役割を明確に示すケースが多い。

ハヴィガースト(R.J.Havighurst)は、発達の順序性(離乳・歩行訓練・トイレットトレーニング・言語獲得)を挙げたが、順調に健康的な心身の発達が成し遂げられる原動力となるのが最も重要な養育者に対するアタッチメントということができよう。アタッチメントがどのような特性と強さをもって形成されているかを確認するための実験的方法として、エインズワース(M.D.S.Ainsworth)が考案したストレンジ・シチュエーション・メソッド(strange situation method)がある。

アイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)

カール・ロジャースのクライエント中心療法でいう『ラポール(ラポート)』と非常に近い人間関係の性質を指し示す概念である。ロジャースが挙げたカウンセラーの基本的態度としてのラポールとは、ありのままの自分がありのままの相手と向かい合い、真摯に語り合うことによって生まれる相互的な信頼関係であり、人間的な温かみや親愛を感じられる関係である。

実存主義的なカウンセリングを志向したブーバー(M.Buber)が提唱したアイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)も、お互いに相手を一人の価値ある人格として尊重できる関係、相手の考えや存在を受容できる関係を意味する。精神的に深い次元での共感や存在的に深い次元での理解をお互いに得るためには、『我―それ』といった相手を客体化する人間関係ではなく、『我―汝』という相手を自分と同じ主体として尊重する対等な人間関係を結んでいかなければならない。

アイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)とは、対象(相手)を客観的に観察して、操作し分析する科学的態度の対極にあるものであり、かけがえのない相手と社会的役割態度を取り払って真摯に向き合う態度や関係を意味するものである。

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