「アイデンティティ・ステイタス」,「アウェアネス(awareness)」

このウェブページでは、「アイデンティティ・ステイタス」と「アウェアネス(awareness)」の用語解説をしています。


アイデンティティ・ステイタス

アイデンティティ・ステイタスとは、マースィア(J.E.Marcia)が提起した概念で、青年期の発達課題であるアイデンティティ確立に向けて、どのように対処して克服しようとしているかの行動類型である。私たちはアイデンティティを確立するための様々なアプローチを行うが、そのアプローチを構成する要因は大きく『クライシス(crisis)』『コミットメント(commitment)』に分けることが出来る。

クライシスとは、自分が何になりたいのか、自分はどういった人生を生きるべきなのかといった発達課題を達成するために行う『試行錯誤の体験』であり、その『探索行動を促す危機感』のことでもある。コミットメントとは、社会的役割の獲得や人生の目標の達成のために行う実際的な行動・努力のことであり、『自己投入・自己参画』と訳される。

自己同一性を確立するためには、『自分は何者であるのかに迷い、何をしたいのかを探索するクライシス』を体験し、『具体的な目標や職業を定めて、それに向かって努力するコミットメント』を積極的に行っていく必要がある。

1.『クライシス(自己探索のための試行錯誤)』を行わずに、あっさりと他者の決めた基準に基いて『コミットメント(自己投入)』して、自分の生き方や職業を選択してしまうことを『フォークロジャー(foreclosure,早期完了・権威受容)』といい、これは自分の本当の希望や判断と向き合っていない不全感の残りやすいアイデンティティ確立である。

2.現在、自分が何になりたいのか、どういった職業に就きどのような人生を歩んでいきたいのかを模索している状態を、『積極的モラトリアム(社会的選択の猶予期間)』と呼ぶ。

3.自分が何をしたいのか分からなくなり、人生指針の方向感覚を喪失し、アイデンティティ確立に向けた実際的な行動や努力が出来なくなっている状態を『アイデンティティ拡散』といい、『消極的モラトリアム』ともいう。この拡散状態が、長期間にわたって長引くと『モラトリアム遷延(せんえん)』といった慢性的なアイデンティティ形成不全状態となり、ひきこもり、NEET、就職忌避などの非社会的問題行動が起こってくることもある。

『自分の心理的な選択・判断』が『社会的な立場・地位・職業の選択』につながってくるとき、人はそうそう簡単に判断を下すことが難しくなる。この優柔不断や不決断の状態である『モラトリアム』が長引くと、社会活動全般に対する意欲や興味の減退を特徴とするスチューデント・アパシー(意欲減退症候群)や学業不振、留年などの問題が目立ってきて、ひきこもりなどへと遷延していくケースがある。

アウェアネス(awareness)

一般的なカウンセリングの主要効果がアウェアネスであり、『気付き』『覚知』と訳される。アウェアネスは、精神分析でも重要視されるが、精神分析の場合の気付きは、覚知よりももう一段階深い無意識レベルのものを意識化するものであり、『洞察(insight)』と呼ぶほうがより正確であろう。

アウェアネスは、自己一致したありのままの自分で、カウンセリング場面に臨むことによって得られる『今までに気付かなかった感覚であり感情』である。アウェアネスは、知識として理解したり、情報として認識したりすることではない。一人の人間として今、直面している生活状況の中で自分が何を感じているのかを感じ取ることである。今、置かれている対人関係の中で、自分がどういった感情を抱いているかという情的理解によって内面から湧き起こってくる『気付き・覚知』をアウェアネスといい、アウェアネスを体験したときには自然に自分がどのように行動すれば良いのかが分かってくる。

IPRトレーニング(InterPersonal Relationship Training)

1970年に早坂泰次郎が考案した、ST(感受性訓練)の一種で集団療法的な側面を持つものである。個人対個人の人間関係の軋轢の原因を探り、個人対集団組織の適応的な問題の本質を探る為に利用され、擬似体験的な対人関係状況を通して問題の原因を吟味していく事となる。

IPRトレーニングの実施形態としては、基本的な合宿形式の基礎トレーニング(4泊5日)と、その数ヵ月後に行われるフォローアップのための1泊2日のトレーニングがある。

Copyright(C) 2004- Es Discovery All Rights Reserved