「青い鳥症候群」,「アカウンタビリティ(accountability)」

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このウェブページでは、「青い鳥症候群」と「アカウンタビリティ(accountability)」の用語解説をしています。


青い鳥症候群

『青い鳥症候群』とは、清水将之の著書から生まれた社会不適応の症候群の概念で、一言でいえば『どんなに高い評価や大きな幸せを得ていても、現状の幸福や評価に満足できない為に、一つの職場や仕事に安住できない落ち着かない心理状態や行動様式』のことである。

メーテルリンクの著書『青い鳥』では、貧困で苛酷な家庭環境で育った兄妹のチルチルとミチルが、幸福をもたらすという青い鳥を求めて色々な国や土地を彷徨います。しかし、何処をどれだけ探し回っても、幸福な人生をもたらしてくれる青い鳥を見つけることが出来ませんでした。青い鳥の探索の旅に疲れ果てたチルチルとミチルは、疲労困憊していつの間にか眠りに落ちます。

その眠りから目覚めた時、それまで何処にでもいるような薄汚れたハトが青い鳥へと姿を変えました。これで、今までの貧しく惨めな生活と訣別して、誰よりも豊かで幸福な人生を送ることが出来ると喜んだのも束の間、その幸福の青い鳥はチルチルとミチルのもとを逃れて飛び去っていってしまいました。

このメーテルリンクの歌劇(童話)から生まれた「青い鳥」は、正に『誰も手に入れる事の出来ない理想の幸福の象徴』として描かれている。人間は、偶然の幸運に恵まれてお金持ちになることもあるだろうし、ふとした人間関係の好転から大きな出世を経験することもあるだろう。しかし、資産家には資産家の不満があり、社会的権力者には権力者の不幸があり、幸せに見える結婚や就職にもそれなりの苦労がある。

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人間の社会には、青い鳥が私たちにもたらしてくれるような奇跡的な理想の幸福は実在せず、そこにあるのは自分の現状から実現可能な不完全な幸福である。しかし、幸福な時間を、自分にとってかけがえのない他者と共有することで、その幸福は至高の価値を持つもののように感じられる瞬間がある。

『青い鳥症候群』とは、見果てぬ理想と欲望を徹底的に追求し、自らの自尊心と存在意義を完全に満たす為に、『もっと自分に相応しい素晴らしい職場や仕事があるはずだ』『自分はこの程度の企業の会社員で終わるような小さな器ではない』という理想自我を追求する思いが強くなり過ぎて『今、手に入れている幸せや成功』を過剰に軽視してしまう思考様式だといえる。

人間が健康に前向きに生きていく為には、理想の幸福を追い求める積極性や欲求が確かに必要だが、上を目指す事に疲れてアイデンティティが混乱し始めたときには、自分が今、置かれている環境や人間関係の中からかけがえのない幸せや満足感を見出すことが必要なのかもしれない。

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アカウンタビリティ(accountability)

アカウンタビリティとは、医療、カウンセリング(心理臨床)、行政、法務、商取引、契約行為などの場面で用いられる概念で、一般に『説明責任』や『説明義務・説明責任』と訳される。

医療では患者に対し、カウンセリングではクライアントに対し、行政では有権者に対し、法務では依頼者に対し、商取引や契約行為では顧客に対して、『相手が情報不足を原因として不本意な判断をしないように、的確な判断を下すために必要と考えられる事項や内容の説明を十分にしなくてはならない』というのが説明責任としてのアカウンタビリティである。

医療分野では、インフォームド・コンセント(十分な情報提供に基づく同意の上の治療行為)という言葉が頻繁に使われるようになっている。心理臨床場面でいうアカウンタビリティとは、『クライアントの現在の心理状態や精神症状についての説明と何故、心理療法(カウンセリング)の実施が必要なのかの根拠の説明』がまず必要である。次いで、『大まかな心理療法の技法や進行手順の説明と動機付けの為のメリットとデメリットの説明』『治療計画やカウンセリング計画の概略の説明』などを行うのが望ましい。

心理療法にせよカウンセリングにせよ、そのつらい精神症状や心理状態の改善効果を十分に発揮する為には、『クライアントの明確な動機付け(意欲・やる気・希望)』が必要である。それは、心理療法の効果の少なからぬ部分が、クライアントのモチベーションの高さに依拠している為である。

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悪循環(vicious circle)

一般システム理論において、相互作用する要素(成員)から成り立っているシステム(集団組織)がある場合に、ある要素の反応(行動)が、負のフィードバックを形成して、より目標達成を阻止する方向へと機能すること。その負のフィードバックが円環構造となり、グルグルと悪い相互作用を及ぼしあう状況が継続することを悪循環と呼ぶ。

登校拒否の子どもの心理的問題を解決する為に、子どもの真意や感情に接近する為に共感的で保護的な接し方が望まれるときに、子どもを大声で怒鳴りつけたり、冷たくあしらったりすることによって悪循環が形成されることもある。しかし、こういった不登校やひきこもりの問題でも、無理矢理登校(外出・就職)を促すことで、悪循環が形成されるか、エクスポージャー(不安状況への曝露)による効果が得られるかを事前に予測することは難しいという問題もある。

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