感覚と知覚の違いと外部・内部の情報処理

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このウェブページでは、「感覚と知覚の違いと外部・内部の情報処理」の用語解説をしています。


感覚(sensation)と知覚(perception)の違い

『感覚(sensation)』とは、環境適応のために感覚器官(末梢神経系)を経由して『外部世界や身体内部に関する情報』を受容するプロセスのことである。外部からの敵の接近を視覚で確認したり、仲間の発する言葉(声)を聴覚で受け取ったり、危険な腐敗物の発する異臭を嗅覚で感じ取ったり、美味しい食物と危険な食物を味覚で区別したりするが、こういった『環境適応・生存維持』のための機能も『感覚』に依拠している。

『知覚(perception)』は、単純な感覚刺激(外部刺激)を受容する感覚よりも『高次の情報処理過程』であると定義されていて、感覚器官から得た単純な情報を『過去の学習・知識・経験』によって編集したり活用したりすると考えられている。しかし、『感覚』を末梢神経系に近い単純な情報処理プロセスと定義し、『知覚』を中枢神経系(大脳皮質)に近い高次の情報処理プロセスと定義するのは便宜的な定義であって、現実には感覚と知覚の情報処理プロセスは連続的で不可分なものになっている。感覚(知覚)と外的刺激の相関関係を、科学的実験を行って調べた心理学分野に『精神物理学(psychophysics)』があり、[ヴェーバー=フェヒナーの法則,感覚の閾値(いきち)]の成果がよく知られている。

感覚というと『五感』の感覚器官‐感覚情報の結びつきがイメージされるが、『視覚・聴覚・嗅覚・味覚・皮膚感覚(触覚)』の五感は主に外部世界の情報を受容する感覚機能であり、これ以外にも生体内部(身体内部)の情報を受容する感覚機能として『運動感覚(自己受容感覚)・平衡感覚・内臓感覚』の3つがある。感覚には『8つの感覚機能』があるということになる。感覚・知覚の研究は、認知心理学(認知科学)や脳科学、神経科学の分野で意欲的に進められているが、認知心理学の研究成果の一部については[認知心理学(認知科学)の研究と理論]のコンテンツも参照してみてください。

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人間の“心理現象・生理現象・脳機能”の相関と心脳一元論

知覚心理学の分野では、脳機能など生理学的基盤を踏まえた人間の知覚メカニズムの解明が目的とされているが、『外部世界・生体内部の情報』を受容して処理する『知覚系』は人間の行動(活動・反応)の生成にも深く関係している。感覚‐運動系では、感覚・知覚による情報処理の内容が『人間の行動を生み出す動因』になっているのであり、『感覚遮断実験の結果』を見ると外部世界(外界)の情報が完全に遮断されると、人間は意識レベルや思考能力を正常に保つことさえ難しくなる。『知覚』の機能は人間の精神と外部の世界をつなぐインターフェース(媒介)の役割を果たしているとされるが、知覚は『記憶・学習・思考・意志・判断』といった高次脳機能を実現する心的機能(神経機構)の基盤となっている。

知覚心理学の研究は[色覚心理学の成果]とも関係している部分があるが、『光に対する視覚・色覚の感度』や『三原色説(四色の反対色説)』などによって色覚の生物学的要素である『3種の錐体細胞(色を識別する神経細胞)』が発見されている。視覚・色覚の事例に関わらず、人間の情報処理過程(知覚‐認知過程)を解明していくためには『生理学的根拠の特定』も必要であり、知覚心理学の知見は生理心理学や脳科学の研究によって根拠づけられていく特徴を持つ。

心理現象と生理現象は密接不可分に結びついているが、脳科学(神経科学)の進歩によって『脳』『心(精神)』の境界線が見えにくくなっているという『心脳一元論(脳還元論)』の問題も指摘される。心脳一元論は、脳器官における情報伝達さえ物理化学的に効果的にコントロールできれば、人間の精神を自由自在にコントロールしてあらゆる心理的問題(精神障害・不適応)を改善できるという『科学至上主義(科学技術で脳機能をコントロールして問題解決を促進できる)』の倫理的問題を内在している。

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