転職したいと考える時、ほとんどの人は「今の職場に何らかの不満があるから転職したい」という理由があるはずです。私自身が転職した時も、「その時の職場・仕事に不満(変えたいところ)があるから」の理由がやはりありました。ポジティブな動機づけに言い換えると、「新しい職場・仕事で現状をより良くするためにチャレンジしたい」から人は転職活動をするわけです。
転職を成功させるためには、不満を抱いている現状の背景にある「自分が何を実現したいのか」を明確にする必要があります。そうでないと、「別の会社に転職はできても不平不満が残ったまま+前の会社と同じ悩みがつきまとい続ける」という本末転倒な結果になってしまいます。この記事では、転職する際に「転職によって何を改善したいのか?何を実現したいのか?」という「転職の軸」を深掘りして考えていきます。
あなたが転職で実現したいことは何ですか?
「転職で実現したいこと」を列挙してみます!この中で自分が「重視すること」を絞り込むことで、「転職の軸」が定まります。転職の軸が決まれば、「どの企業の求人に応募すべきか?」が自ずから見えてくるのです。
1. 年収アップ+キャリアアップを目指す
もっとも分かりやすい転職の動機の一つが「年収アップ」です。「結婚+出産・子育て・子供の教育費や進学費・親の介護支援」など、今までの給料では生活が苦しくなるから転職したいはダイレクトな軸です。他の条件を後回しにしてでもとにかく年収アップしたいという人なら、「転職の軸」はシンプルに決められるでしょう。
「年収アップ」とセットになりやすい理由が「キャリアアップ」です。「今の職場で得られる経験・スキル・役割」にこれ以上は望めない(この職場にいても時間の無駄では?)という限界を感じると、転職したい思いは強まりがちです。「この会社にいくら長く勤めても昇進・未来がない」という不満から、「リーダーシップを取れるポジション+権限があり自己裁量の大きな役職」に就きたいと考えて転職活動を始めるケースも多いです。
キャリアアップを目指す場合、次のポイントに注目してください。
スキル習得(スキルアップ):キャリアプランの次のステップで必要となる「新しいスキル・知識・経験」を得るために、どのような会社・環境が適しているのかを考えてみましょう。
成長の機会:現在の職場では得られない「新しい挑戦の機会+キャリアアップにつながるプロジェクト」に自分が参加できそうかをチェックしてみましょう。
お金(報酬)と待遇:キャリアアップすることが「報酬(収入)・待遇のアップ」につながるかで、仕事に対するモチベーションは大きく変わってきます。
2. ワークライフバランス・希望の勤務地の実現
「キャリアの成功+収入アップ」だけが、転職で実現したいことのすべてではありません。「転職の軸」として、「家族との時間を増やしたい・趣味や自己研鑽のための時間を大切にしたい」という考え方もあります。「遠方への転勤をしたくない・地元就職したい」など勤務地に対するこだわり・個別事情にも大きな個人差があります。
今の職場で長時間勤務・サービス残業が横行していて「仕事だけで終わる一日の繰り返しになるのが嫌」。「家庭・趣味・交遊も重視してより良いワークライフバランスを実現したい」という転職の目標を持つ人は、今の時代ではZ世代を中心に増えています。
ワークライフバランスの優先順位が高いなら、「原則残業なし・リモートワーク・フレックスタイム制」などの柔軟な働き方ができる転職先を探すのも良いでしょう。
毎日残業で長時間労働が常態化している職場を選べば、「ワークライフバランス」を軸にしたい人にはいくら給料が良くても毎日が地獄。また転職になりかねません。
3. 自分の価値観に合った仕事・職種を選ぶ
仕事は単にお金を稼ぐだけの手段ではありません。「自分の価値観・信念」を反映させられる転職ができた時に、あなたの仕事の満足度は格段にアップします。
「顧客満足度・環境問題(SDGs)・社会貢献・クリエイティビティの発揮・従業員の自己実現」など、自分が心から共感できるビジョンやミッションを持つ企業に転職することで「仕事の不満・ストレス」は軽減されやすくなります。
「企業のビジョン・企業文化」と「自分の価値観・感受性」が一致している時は、シンプルに仕事のきつさが減ってやり甲斐に意識がフォーカスされます。率直に、仕事が楽しいと感じやすくなるのです。
「お金(給料)だけじゃ仕事を選ぶ決め手にならない」。そんな人こそ自分の仕事が社会・他者にどのような影響を与えるかを考えて、「自分の価値観に合った仕事(やりがいを感じられる仕事)」を見極めましょう。
4. 新たなチャレンジと成長の機会を得る
仕事の現状に満足しない人は、「進歩や成長が実感できないルーティンワークの繰り返し」を嫌って転職しようとします。
「新しいスキル・知識を得たい」「新しい業界・職種に挑戦したい」「今のままの仕事の繰り返しで終わりたくない」という気持ちが強まっていたら、「自分の成長曲線を描いた転職」にトライしましょう。
成長重視の「転職の軸」を定めるのであれば、「その会社に学び続けられる環境があるか」や「新しいことにも挑戦できる土壌・企業風土があるか」を事前にしっかりと調べましょう。
仕事を通じて成長を促してくれる上司・同僚が「メンター」として機能してくれる職場であれば最高です。「充実したトレーニング制度・サポート体制」があるかどうかも転職先選びのポイントとなるでしょう。
5. 会社(大企業)のネームバリュ-・安定性(セキュリティ)を求める
転職で実現(獲得)したいものとして、「会社のネームバリュー・ステータス」や「大企業(規模の大きさ)」もあります。特に経済状況が不安定な現代では、Z世代で「公務員志向」が強まっているように「安定した収入+雇用身分の保障」を求める人は増え続けているからです。
一般的な転職活動では、「大企業から中小企業への転職」はしやすいですが「中小企業から大企業への転職」はハードルが高くはなっています。
能力・実績次第で大手企業に転職できるチャンスは多くありますが、「雇用の安定性(セキュリティ)」を重視する人は、「転職先が長期的に雇用を維持できる体制・業績・将来予測を持っているか」を見極めておく必要があります。
安定志向であれば「企業の財務状況・市場ポジション」をリサーチして、経営が安定している企業かどうかを調べて安定性を確認しておくと良いでしょう。
転職できた後の安定性としては、「社会保険・退職金制度・留学支援・家賃補助・家族手当て」など、キャリアや生活をサポートする「福利厚生」が整っているかも大切な要素になってきます。
6. 社風・職場の雰囲気が自分に合っていそうか?
「仕事は友達をつくる場所ではない」「職場・同僚とのやり取りは別に楽しくなくても良い」というのは正論です。
仕事ができて稼ぐタイプにも「オン・オフ切替えの考え方」は多いですが、「今の職場の人間関係・雰囲気が嫌で転職したい」という人は「社風と職場の雰囲気+コミュニケーションのしやすそうな環境か」はチェックしておいたほうが良いでしょう。
「極端なトップダウンで上司の意向にまったく意見も言えない」や「職場の雰囲気がピリピリしすぎている」「職場に同僚間のコミュニケーションや明るい雰囲気が全く無くて重苦しい」などがある場合、職場に一定のコミュニケーションを求める人には不向きな会社であることが多いです。
「転職の軸」とは「実現したいことの優先順位(プライオリティー)」:絶対譲れない条件以外こだわらない
転職を成功させるためには、単なる「現在の会社の不満解消+新しい環境への変化」だけでなく、具体的に「転職で実現したいことのビジョン」を持つことが重要です。
「不満を抱えた現在の自分・仕事状況」と「理想の自分・仕事状況」を比較してみることで、「転職によって何を優先して実現させたいのか?」という「転職の軸」が見えてくるはずです。
「収入アップ・キャリアアップ・ワークライフバランス・自己成長・価値観の共有・大企業のステータスや安定性の確保・職場の雰囲気」といった要素を総合的に考えると、優先順位(プライオリティー)がついてきます。優先順位を確認して「絶対に譲れない条件」以外はこだわりを捨てたほうが、転職による現状改善につながりやすいでしょう。自分にとって最適な次のステップとなる「転職」へ突き進んでください。
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