バラクラバ

バラクラバとは何か?

バラクラバという言葉は聞き慣れないという人が多いと思うが、簡単に言えば、頭からかぶって顔をすっぽりと覆ってしまう『目出し帽』のことである。目出し帽といってしまうと、古典的な刑事ドラマにでてくるような銀行強盗がかぶっているイメージが湧くかもしれないが、バラクラバは厳冬期の高山登山や極地でのアクティビティに欠かすことのできない防寒着の一種である。

零下の気温で強風が吹いているような山岳地の過酷な環境下(体感温度はマイナス何十度にもなることがある)では、剥き出しになっている身体の部位が『凍傷』になるリスクがある。人間の身体で最も凍傷(血流停止の壊疽)になりやすい部分は、血流量が低下しやすくいったん体温が下がると上がりにくい『先端部分(末端部分)』であり、特に手と足の指が凍傷になりやすい。ヒマラヤやヨーロッパアルプス、南極のビンソンマシフなど世界の名だたる高峰を登っている著名な登山家・冒険家には、凍傷によって手や足の指を切断することになってしまった人も少なくない。

手や足の指に次いで凍傷になりやすいとされる部位が『鼻先(鼻の先端部分)』であり、目以外の顔全体をすっぽり覆ってくれるバラクラバは鼻先の凍傷防止にも役立つ。バラクラバという名前の由来は、1854年に勃発したイギリス軍とロシア軍が戦った『バラクラバの戦い(クリミア戦争の中の戦い)』に因んだものであり、イギリス軍の兵士が東ヨーロッパの寒冷な気候に適応するために被った『手編みのウール帽(ニット帽)』がバラクラバの起源なのだという。現代の登山用装備としてのバラクラバは、『ウール(毛糸)』ではなくストレッチ性や肌触りに優れた『フリース』で作られたものが多い。

バラクラバは頭からすっぽりと被る標準的な使い方だけではなく、折り畳んでニット帽のような形で被ることもできるし、首の周囲に巻きつけてネックウォーマー(ネックゲイター)としても使うことができる応用性の高さも魅力である。

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