イージーパンツ(easy pants)は必ずしも登山専用のパンツというわけではなく、イージーパンツの一般的な定義は、ウエストをベルトではなくてゴムで締める事によって、楽に動きやすくしたパンツの事である。ジャージや体操服のようなパンツもイージーパンツの一種ではあり、『晴れた低山・厳冬期でない条件』であれば一般的なジャージも登山に適したパンツと言える。登山のパンツ(ズボン)は軽くて動きやすく(足を大きく上げやすくて)、ウエストが締め付けられない事(お腹・胸が苦しくならない事)が重要だからである。
イージーパンツは股の部分が『ギクロッチ』という菱形をした縫製で縫われており、足を大きく広げてもパンツがつっぱらないような作りをしており、生地にはストレッチ性(収縮性)があるので窮屈さを感じることもない。イージーパンツでは、ぐるりとウエストを囲い込む総ゴムでウエストを締めたり、パンツに備え付けのカチリとはめ込むだけで良い『簡易ベルト』でウエストが下がらないようにするが、外付けの一般的なベルトが通せないようになっているものが多い。
ウエストをしっかりと締めたいという人には、ベルトをつけられないのはデメリットにも感じられるが、登山やクライミングでは『バックル付きのベルト』は登攀時にベルトのバックルが岩や木に当たったり引っかかったりするリスクがあるので、基本的にはバックル付きのベルトは締めないほうが良いとされている。
各メーカーが登山用として販売しているゴムでウエストを締めるタイプの『イージーパンツ(ブランド的な名称はさまざまなものがあるが)』は、生地がポリエステルなどの軽量な化学繊維を用いている事が多く、『防風性・速乾性・耐久性(引き裂き強度)』などに優れているのが特長である。
登ろうとする山が冬山・高山でなければ登山ウェアは、上着は乾きやすくて軽い化繊(木綿ではない化学繊維)の半袖・長袖シャツを準備し、ズボンはイージーパンツ型の軽量で動きやすいものを準備すれば良いだろう。防水透湿性のある『レインウェア(ゴアテックス製をはじめとする雨具)』はどの季節・天気でも必携であるが、春・秋の山で寒さが心配な場合は『薄手のウインドブレイカー・ダウンジャケット』などもザックに忍ばせていくと良い。