ジップオフとプルオーバー

ジップオフとは何か?

ジップオフとは、『ジッパー(チャック)の着脱』によってロングパンツの丈をショートパンツや七分丈パンツに変更できる仕組み(裾の部分を取り外すことができる仕組み)のことである。ジップオフの仕組みは、ジッパー(チャック)だけではなくボタンのこともあるが、秋・冬の寒い季節には“ロングパンツ(長ズボン)”として使い、真夏の暑い季節には“ショートパンツ(半ズボン)”として使うことができるので便利である。

ジップオフ機構が採用されたロングパンツは、商品名としては『コンバーチブル・パンツ』と呼ばれることも多い。ジップオフ機構を備えたコンバーチブル・パンツのメリットは、上記したように一つのロングパンツで『ロングパンツとショートパンツの切り替え』ができることであり、装備を軽量化することにもつながる。もう一つのメリットは、ジッパーで長ズボンの裾を取り外すだけで、『簡単でスピーディーな温度調節』ができることである。

パンツだけではなく上着のジャケットにもジップオフ機構が採用された製品があり、長袖のジャケットの袖の部分をジップオフで取り外すことで、『半袖(七分袖)』にできるようになっている。

プルオーバーとは何か?

プルオーバーとは、ジャケットのフロントジッパー(前のジッパー)がすべて開くフルオープンタイプ(フルジップジャケット)ではなく、胸の辺りまでしか開かないようになっている被りもののジャケット(パーカー)のことである。フロントジッパーが下まで全部開かない作りなので、羽織って着ることができず、ポロシャツやロングTシャツのように頭から被るようにして着たり脱いだりする。

プルオーバーの形態のウェアの歴史は古く、北米アラスカのイヌイット系の先住民アリュート族が、アザラシなどの『海獣の皮革』で作ったフード付きの防寒ウェアがプルオーバーの起源だとされている。プルオーバーのメリットは、ジッパー部分が短いので軽量化しやすくて保温性が高いということであり、ザックのウエストベルトがフロントジッパーに干渉しないという使いやすさもある。しかし、フルジップジャケットのように気軽に羽織ったり脱いだりができないので、現在の登山者にはプルオーバーの人気はそれほど高くない。以前はプルオーバータイプのジャケットは、『アノラック』と呼ばれることが多かったが、アノラックというのは前述したイヌイットが着ていたアザラシの皮革で作られた防寒着(プルオーバータイプの起源となった上着)の名前である。

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