スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』

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スティーブン・R・コヴィーの人生と成功哲学の概略
スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』

スティーブン・R・コヴィーの人生と成功哲学の概略

アメリカの経営コンサルタントで作家のスティーブン・R・コヴィー(Stephen Richards Covey, 1932-2012)は、ユタ州ソルトレイクシティに生まれて、1952年にユタ大学を卒業し、1957年にハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士号)を取得している。

1976年にはブリガムヤング大学で“Ph.D.”の博士号を取得して、同大学で経営管理学と組織行動学の教授を務めながら、学長補佐としての重責も果たしていた。スティーブン・R・コヴィーは、ユタ州の大多数の住民と同じように敬虔な『末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)』の信者である。そのため、モルモン教の避妊禁止・多産奨励の教義に従って、妻のサンドラ・メリル・コヴィーとの間に9人の子供を設けた。その子供たちが更に多くの孫を産んだため、コヴィーの孫は36人を数える。

スティーブン・R・コヴィーの主著は『成功する人物の7つの習慣』『7つの習慣――成功には原則があった!(邦訳書)』であり、1990年に初版が出版されたこの成功哲学・自己啓発の本は、75ヶ国で32言語に翻訳されて計1500万部以上を売り上げる破格の超ベストセラーになった。

『7つの習慣』の世界的な大ヒットを受けて、英国『エコノミスト』誌でコヴィーは世界で最も大きな影響力を持つ経営コンサルタントに選ばれたこともある。2002年には、アメリカの『フォーブス』誌で『もっとも影響を与えたマネジメント部門の書籍』のトップ10にランクインした。『チーフ・エグゼクティブ・マガジン』誌でも、『20世紀にもっとも影響を与えた2大ビジネス書』の一つに『7つの習慣』が選ばれている。

世界中で『7つの習慣』が愛読されて、経営コンサルタントとしても突出した成功を収めたコヴィーだったが、2012年7月16日に自転車事故で重傷となる大怪我をしてしまい、その傷が悪化してアイダホ州アイダホフォールズの病院で79歳で死去することになった。

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スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』

スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』は、個人の人生とビジネスの二つの領域で成功するための自己啓発書であり、ビジネスや企業経営における課題だけではなく、家庭生活や人間関係の問題状況についても例題を取り上げている。コヴィーは『成功するためには、個人としての有効性と職業(ビジネス)としての有効性をバランス良く備えることが重要だ』と述べており、ただ職業・ビジネスの分野で成功してお金持ちになるだけでは真の成功者とは言えないというバランス感覚のある人間観を持っていた。

コヴィーは『7つの習慣』を執筆するにあたって、アメリカの歴史的な成功哲学や成功者の条件について書かれた書物をリサーチしており、1776年のアメリカ独立からの約150年間の期間は、『成功者の人格の優越・徳性』が重点的に語られていたという。つまり、18~19世紀のアメリカ合衆国においては、人格的に優れた高潔で思いやりのある人物が成功者になれる(成功と名声の土台には優れた人格・道徳がある)という人生哲学が主流になっており、人々に『誠実・謙虚・勤勉・節制・勇気・忍耐・正義感』などの伝統的な道徳や徳性を身につけるように呼びかける内容の書物が多かった。

20世紀に入ってからのアメリカでは、『人格主義・道徳観念の人生哲学(成功哲学)』から『実用主義・テクニック中心の人生哲学(成功哲学)』への転換が起こったという。つまり、相手から自分がどのように見られているかを調整する“自己イメージ”の重視、社会的に自分がどのような属性やステータスを持つ人間のように見られたいかを制御する“社会的イメージ”の優先が起こり、人格・道徳といった内面的な変化よりも、小手先のスキルやテクニックを駆使した外形的な見せ方の工夫が積極的に行われるようになったのである。

コヴィーは『人格主義・道徳観念』『テクニック・スキル』のどちらか一方だけでは真の成功を実現することはできないと考え、表面的な行動のテクニックの背後には必ず『誠実かつ廉潔な人間性・道徳性』が伴っていなければならないと指摘している。表面的な行動・態度・コミュニケーション・人間関係を用いれば、『短期的・一時的な成功』は得られるかもしれないが、『利己的・非本質的な動機づけ(他者から自分の人間性を認めて貰えないこと)』によって、いずれは人間関係の破綻による不幸・挫折に陥るとした。

スティーブン・R・コヴィーが上げた『7つの習慣=成功者の7つの行動傾向』とは、以下のようなものである。

1.前向きである……環境や条件に責任転嫁することなく、どんな状況・相手であっても自分の主体的な行動に責任と覚悟を持つようにする。

2.物事に着手する時点で最終的な状況を想定している……自分の進むべき未来の方向性を決めており、自分の達成したい目的を把握していて、その未来の方向や目標達成についての最終状況を想定している。自分の生きる指針・基準となるべき思想や信念を持っている。

3.やるべきことから取り掛かる……規則正しい生活リズムを作って、物事に優先順位をつけている。その結果、やるべき作業や課題から率先して取り掛かることができる。

4.全員が勝者となるような解決策を考える……自分だけが利益・報酬を独り占めしようとする強欲さがなく、関係者全員が利益や喜びを得られるような解決策を見つけるために全力を注いでいる。

5.相手から理解される前に自分のほうから理解しようと努める……相手から理解してもらうことばかりを優先せずに、自分のほうから『相手の話の内容+相手の感情や意図』を共感的に理解しようとして努力している。

6.相乗効果(シナジー効果)を生み出そうとしている……自己と他者との差異を『お互いの長所』と考えて、自己と他者との生産的な相乗効果(シナジー効果)を生み出そうとする。自分と他者との差異(違い)を尊重して活用することで、『全体は部分の総和以上のものである』という創発性の効果も生まれてくる。

7.切磋琢磨している……常に学んで実践する姿勢を忘れることがなく、『向上心・改善・革新性』によって自分を前向きに動機づけしている。

コヴィーの7つの習慣は即効性と持続性の両方の効果を併せ持っているとされており、コヴィーはこの7つの習慣を長期的に粘り強く身につけていくことによって、『成功につながる自己変容』を促すことができると主張している。

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