ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』

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ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』と自分を変えるための自己原因論
ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』と自分(人格)を作る思考の力

ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』と自分を変えるための自己原因論

イギリスの哲学者・自己啓発の思想家であるジェームズ・アレン(James Allen,1864-1912)は、38歳からロシアの作家レフ・トルストイに触発されて作家活動を始めたという大器晩成型の思想家であり、『強く思うことは実現する(思考が実現する)』という極めてシンプルな成功哲学のフレームワークを提示した。

1902年に出版した二冊目の著作『「原因」と「結果」の法則(As a Man Thinketh)』は、ナポレオン・ヒルやデール・カーネギー、アール・ナイチンゲールらにも大きな影響と感銘を与えた自己実現・成功哲学の原典であり、キリスト教の『聖書』に続いて多くの人に読まれているとも言われる超ロングベストセラーになっている。日本においても、『「原因」と「結果」の法則』は50万部を超えるベストセラーになっており、“すべての事柄は自分の内面(思考)によって原因が作られる”というシンプルな成功哲学が評価されている。

ジェームズ・アレンの“思考の影響力”を核とする成功哲学は、『気高い思いは気高い人を作り、低俗な思いは惨めな人を作る』というものであり、端的には『自分の思いが自分の人格と自分の人生を作る原因になっている』と考えるのである。J.アレンは、レフ・トルストイのロシア文学やプロテスタント自由主義、仏教の東洋思想(縁起の因果論)などに思想的な影響を受けたのではないかと言われている。

私たちが今までに考えてきたことが『原因』となって、現在の人格や環境、健康といった『結果』が生み出されているという“自己原因論(自己責任論)”がそこにはあるが、この自己啓発思想の本質は『自分の不幸や挫折を他人・社会・環境のせいにしても問題は解決しない(解決しないどころか余計に自分の人格や人生が悪い方向に追いやられていく)』ということなのである。

J.アレンは『原因と結果の法則』について、『結果としての成功も失敗も、その原因は心の奥底にある思いにあり、原因こそがまず改善されなければならない』と語っており、欲望を抑制して目標達成や利他的行為に向けた『高潔な思い』を持つことによって、自分をより幸せな人生や環境、人格へと変えていくことができるとしている。

心理療法の認知行動療法の治療メカニズムと同じように、『変えることができない結果(ネガティブで非適応的な気分・感情・行動)』にこだわるのではなく、『変えることができる原因としての認知・思考(ポジティブで適応的な考え方・捉え方』に意識と行動を向け変えていくというのがJ.アレンの自己啓発の思想なのである。

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ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』と自分(人格)を作る思考の力

ジェームズ・アレンは、自分の心の中にある『思い(思考)』が原因となって、良い結果と悪い結果が必然的に生み出されるという因果論を提唱した。自分の思い(思考)が自分の人生と人格・人間性を創りだすだけではなく、『成功と失敗・富裕と貧困・健康と病気・喜びと悲しみ』を分ける原因になってしまうというのがJ.アレンの成功哲学の骨子になっている。

人が成功や喜びを手に入れるためにはどうすれば良いのか。J.アレンは高潔な理想や夢を掲げて目標を設定することの大切さを説き、ただ自分自身が利己的に成功したいとか快楽を得たいとかいう欲望に囚われるのではなく、自分も他人も幸福になれるような『利他的・公的な目標』を立てて、それを実現するための思考と行動を続けなければならないとした。どんなに困難に見える夢や目標であっても、『自分はそれを必ず達成できる』という信念・意思を持つことが、必然的な目標達成へと自分を近づけていくというのである。

自分こそが自分の人生・人格・環境の創造主であるとするJ.アレンは、『心は、創造の達人です。そして、私たちは心であり、思いという道具をもちいて自分の人生を形づくり、そのなかで、さまざまな喜びを、また悲しみを、みずから生み出しています。私たちは心の中で考えたとおりの人間になります。私たちをとりまく環境は、真の私たち自身を映し出す鏡にほかなりません』と著作で述べている。

自分だけが成功や快楽を手に入れようとするエゴイスティックな欲望に対しては批判的であり、『人間は、もし成功をめざすならば、自分の欲望のかなりの部分を犠牲にしなくてはならないのです』や『気高い夢を見ることです。あなたは、あなたが夢見た人間になるでしょう。あなたの理想は、あなたの未来を予言するものにほかなりません』といったメッセージを残している。

J.アレンの自己啓発思想のエッセンスは、『人は自分が考えた通りの人間になる・人は自分が考えていたままの人生を生きることになる』というものであり、人はすべてこの『原因と結果の法則』に従うしかなく、結果としてそれぞれの人は『必然的な結果』を生み出しているというものである。シンプルな自己決定論や自己責任論としての特徴を持っており、人生の選択や結果に偶然が関与することはないという『強い決定論』を前提にしている。

J.アレンの『原因と結果の法則』は、20~21世紀の自己啓発・成功哲学の原典として位置づけられている著作であり、自分自身の思いと行動こそが自分を強く束縛して自分の運命のあり方を決定しているという『自己原因論・決定論』に立脚しているのだが、アレン以後の自己啓発・成功哲学の著作の大半は『アレンのシンプルな自己啓発思想の焼き直し・装飾化・複雑化』に過ぎないという見方もある。

成功哲学の巨人と認識されているナポレオン・ヒルやデール・カーネギーにも影響を与えた、この古典中の古典とも言えるアレンの『原因と結果の法則』はシンプルかつ説得的な自己啓発の内容によって、現代の悩めるビジネスマンや創作者たちも強烈なインスピレーションを与え続けているのである。2003年4月にサンマーク出版から新しい翻訳で出版された『「原因」と「結果」の法則』も、30~50代のサラリーマンを中心にして売れて人気となった。

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