イゴール・アンゾフの『製品・市場拡大マトリクス』

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製品(商品)のライフサイクルとビジネスの衰退

アンゾフの『製品・市場拡大マトリクス』と経営戦略

製品(商品)のライフサイクルとビジネスの衰退

アメリカの経営学者イゴール・アンゾフ(Igor Ansoff, 1918~2002)が、ビジネスの停滞や衰退に直面した企業が更なる成長機会を発見するためのツールとして開発したのが『製品・市場拡大マトリクス』である。製品・市場拡大マトリクスは、『成長マトリクス(成長ベクトル)』『事業拡大マトリクス』と呼ばれることもある。

企業が製造したり販売したりする『製品(商品)』は、主食の米・パンなどを除いて、強い需要のある製品であってもどんな人気商品であっても、いつかは新規性や魅力を失って顧客から飽きられ需要が低下していく。製品(商品)にも生物の寿命に似た誕生から成長、成長から成熟(ピーク)、成熟(ピーク)から衰退といった『製品(商品)のライフサイクル』がある。

ライフサイクルがあるために、企業が長年にわたって同じ種類の商品(製品)を扱っていると、どんな人気商品であっても成長・成熟(ピーク)の段階を越えて、少しずつ売上が落ちていき、『ビジネスの停滞・衰退の問題』に直面することになる。

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I.アンゾフの考案した『製品・市場拡大マトリクス(成長マトリクス)』は、企業が主に商品のライフサイクルを原因とする業績低迷に直面した時に活用できる『成長戦略』としての特徴を持っている。

このI.アンゾフの成長マトリクスでは、企業の成長戦略を『市場』『製品(商品)』を軸にして、既存製品の『市場浸透』『新市場開拓』と、新製品の『新製品開発』『多角化』の4つの戦略に分類している。このうち、『市場浸透』『新市場開拓』『新製品開発』が拡大化戦略であり、『多角化』はそれらとは異なる全社戦略として分類されている。

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アンゾフの『製品・市場拡大マトリクス』と経営戦略

イゴール・アンゾフの『製品・市場拡大マトリクス(成長マトリクス)』を表形式のマトリクスで表現すると以下のようになる。

製品・市場拡大マトリクス(成長マトリクス)
既存製品新製品
既存市場市場浸透(既存市場で既存製品のシェア拡大を目指す)新製品開発(既存市場で新製品開発して新たな利益を求める)
新市場新市場開拓(既存製品を新市場に出して利益拡大を求める)多角化(今までに無かった新製品や新事業で新たな市場に乗り出していく)

製品・市場拡大マトリクスは、ビジネスの構成要素である『製品(事業)』と『市場(マーケット)』の組み合わせを考えることで、更なる企業の成長機会を見つけ出すことが目的になっている。

このマトリクスでは製品(事業)と市場の適応性や関係(相性)から、『四つの象限(市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化)』に分ける形で企業の成長機会を見つけ出せるようになっているのである。それぞれの成長戦略の概略を説明すると以下のようなものになる。

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1.市場浸透の戦略……既存市場で今まで製造・販売してきた既存の商品のシェア拡大や売上増大を狙う戦略である。ヘビーユーザーや常連顧客に更なる購入を求めたり、宣伝・広告などで潜在顧客を掘り起こしたりする。

2.新製品開発の戦略……既存市場で今までよりも優れた新製品(既存製品の改良品)を開発・販売することで、更なる売上増大を狙う戦略である。まったく新しい新製品であることよりも、既存製品を改良したり発展させたりした製品が多い。

3.新市場開拓の戦略……既存製品を新市場に出していくことによって、更なる売上増大を狙う戦略である。店舗販売しかしていなかった商品をECサイトでインターネット通販をするようにしたり、今まで若者向けとしてだけ宣伝していた商品を中高年向きの市場で売るようにしたりする戦略である。

4.多角化の戦略……今までに無いまったく新しいコンセプトや内容・品質の商品を、新市場に打ち出していくことで、新たな利益の源泉を作り出していく戦略である。

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