[ゲシュタルト療法の五つの層(five layers)]

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[ゲシュタルト療法の五つの層(five layers)]

ゲシュタルト療法の五つの層(five layers)

ゲシュタルト(gestalt)とは、ドイツ語で「形態」という意味であり、ゲシュタルト心理学では部分(要素)の総和に還元できない全体性・全体的な枠組みのことを意味する。

ケーラー(Wolfgang Kohler, 1887年-1967年)、コフカ(Kurt Koffka, 1886年-1941年)、ヴェルトハイマー(Max Wertheimer, 1880年-1943年)らによって創始されたゲシュタルト心理学では、部分の総和では説明できない仮現運動(点・線・光の連続的知覚)などをもとにして、人間の知覚・記憶・学習は、部分的要素への還元ではなく全体的構造(ゲシュタルト)の把握であることを重視した。

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ここで説明するゲシュタルト療法の『五つの層(five layers)』は、知覚のゲシュタルト認識の性質や思考・記憶・学習の研究を行った上述のゲシュタルト心理学とは直接の関係はないが、ゲシュタルト療法の起源はゲシュタルト心理学と実存主義、禅宗や瞑想など東洋思想にあるといわれている。

精神科医フリッツ・パールズとその妻ローラ・パールズによって創始されたゲシュタルト療法は、『今、ここ』に起きる心理状態と身体感覚の気づき(洞察)、心身のバランスの取れた統合を最も重視した心理療法である。

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ゲシュタルト療法の目的は、独立した機能的な自己の確立であり、幼児的な依存性や脆弱性を克服して『今、ここ』にある自分を受容してひとり立ちすることである。ゲシュタルト療法における『5つの層』とは、その機能的独立の発達過程と自我の成長の要因のことで、フェイガン(J.Fagan)とシェファード(I.L.Shepherd)が提起した。以下の5つの要因(層)のことをいう。

1.エセの層……真実のありのままの自己を直視せず、他者や環境を操作することで自己の目的や願望を達成しようとする。自己の脆弱性や無力感、社会に対する無知を装うことで他者を操作して支援や協力を取り付けようとする為、自己の能力や成長は阻害されてしまう。

2.恐怖の層……自分が意欲的に目標を達成するような行動を取ると、恐ろしい望まない結果を招くという強い恐怖感がある為、新しい目標や価値ある事柄にチャレンジすることが出来なくなる。

3.行き止まりの層……行動すべきか行動しないでおくべきかを逡巡して優柔不断になり何事も出来ない状態で、まだまだ自我の成長や生活の独立に向かう準備が不十分な状態である。

4.停止の層……優柔不断によって行動できなかった過度の慎重さを反省し、自己の欲求や願望を強く自己規制して無力を装っていたことを後悔して自責感情が高まる時である。この層に至ると、『今まで決断できなかった新たな適応的行動』へとチャレンジしようとする精神力が高まってくる。

5.爆発の層……今まで自己の成長や機能的な生活の独立に向けることが出来なかった精神エネルギーが爆発して、自分本来の能力を発揮し、人生の可能性を自分らしく切り開いていくことが出来るようになる。

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