[逸脱行動(deviant behavior)],[逸脱集団(deviant group)]

このウェブページでは、[逸脱行動(deviant behavior)]と[逸脱集団(deviant group)]の心理学キーワードの用語解説をしています。

逸脱行動(deviant behavior)


逸脱集団(deviant group)

スポンサーリンク

逸脱行動(deviant behavior)

逸脱行動(deviant behavior)

『逸脱行動(deviant behavior)』とは、その人が所属する社会で共有されている各種の規範・常識に違背する行動のことで、逸脱行動を取ることで他者に危害を加えたり損害を与えたりすることが多くなる。

しかし、何が逸脱行動で何が逸脱行動ではないのかという基準については、一般的に通用する絶対的な基準はなく、相対的なものである。その人やその集団が生きている社会の中心的価値観や文化的特性、伝統慣習によって逸脱行動の基準は相対的に変わってくる。

楽天広告

複数の人間が相互作用を繰り返す法治が行き届いた市民社会では、『法規範の遵守』『多数者正常の原則(道徳規範の承認)』『他者危害の原則』が採用されることとなり、逸脱行動とは『法に違背する行動・多数者が承認する道徳規範や常識感覚を破る行為・他人に危害や迷惑を与える行動』を意味することとなる。

一般社会で逸脱行動を取らないということは『社会規範・法規範・道徳律・倫理規範・常識観念』という諸規範に従属するということを意味する。また、『圧倒的多数派が価値承認する同調行動』をとれば、『多数者正常の原則』に違背しない為に逸脱行動を指摘されたり非難される危険が少なくなる。

何が逸脱で何が非逸脱かという判断基準は、上記のように『数の論理』に左右される部分もあるが、近代社会に特有の『マジョリティによるマイノリティの排除』『中心的価値観から逸脱する異質性・異端性の排除』の圧力は先進国では弱まっている傾向にある。

スポンサーリンク

そのため、現代社会で逸脱行動を定義する場合には、『犯罪・非行・暴力など他者の権利を侵害する反社会的行為』『自殺・ギャンブル・売買春・浪費癖・アルコールや薬物への依存症・浮浪行為など自分の心身を傷害する自傷的・自滅的行為』に限定するのが一般的であろう。

他者に迷惑をかけず、自分だけが傷つくことを承知で敢えてその行為を選択する場合に、その行為が社会規範に反するという意味での逸脱行為に該当するのかは議論があって然るべきものだろう。

ラベリング理論を踏まえて逸脱行動を解釈すると、逸脱行動は、その行動を取った時の多数派の他者の否定的反応によって判断され、その否定的反応の反作用によって『反社会的な望ましくない逸脱行動』というレッテル貼りが為されると考えられる。多数派を形成する適応的な一般人が持っている反応特性や中心となる価値観を知ることで、何が逸脱行動なのかは大体判断できる。

スポンサーリンク

逸脱集団(deviant group)

逸脱集団(deviant group)

帰属社会に共有されている規範・常識・秩序に同調して遵守することが出来ない人は、他者から反社会的であると認知され、既存の社会集団から排除されたり差別的対応を受けやすくなる。

こういった既存の社会集団に適応できず、反社会的行動や環境不適応を起こす者をアウトサイダーと呼ぶことがあるが、そのアウトサイダーが集まった社会規範に対立する集団を『逸脱集団(deviant group)』という。

逸脱集団の代表的なものとしては、暴力団・マフィア・暴走族・不良グループなどがあるが、逸脱集団は既存社会や合法的集団から排除されればされるほど一般的に内部での団結を強め、社会や法の外部で独自の文化や規範・風習を作り上げていくこととなる。

逸脱行動の基準は『多数者正常の原則』に従う相対的なものではあるが、法規範を犯して犯罪行為を重ねる集団は、反社会的な逸脱集団であり、一定の法的制裁や行動矯正が課されることとなる。

スポンサーリンク
Copyright(C) 2020- Es Discovery All Rights Reserved