このウェブページでは、[一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery:GATB)]と[逸話記録(anecdotal record)]の心理学キーワードの用語解説をしています。
一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery:GATB)
逸話記録(anecdotal record)
一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery:GATB)
一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery:GATB)とは、多分野の職業の中から自分にどの職業や仕事に対する適性があるかを測定する心理検査(心理テスト)のことである。
厚生労働省がアメリカの職業適性検査をもとにして作成した一般職業適性検査では、『一般知能・言語能力・数理能力・書記的知覚・空間判断力・運動共応・指先の器用さ・手と腕の器用さ・形態知覚』の9種の適性を検査する。
実際の心理検査では、11種類の質問紙法・筆記検査と4種類の器具検査があり、総合的な適性尺度によってその人がどのような職業に向いているのかを測定することになる。それらの心理検査の得点結果に応じた職業適性類型と得点ごとの基準表が用意されているのでそれと照らし合わせることになる。
正確なミスの少ない動作と粘り強い根気の継続、勤勉な作業への取り組み姿勢が必要とされる技術系の職種などでは、『内田・クレペリン精神作業検査』などの作業検査を合わせて行うこともある。
内田・クレペリン精神作業検査というのは、一列に機械的に並んだ数字を連続して加算し続ける作業を繰り返すように教示して行う人格検査(パーソナリティ・テスト)の一つである。
単調に繰り返す作業速度の変化を示す曲線(作業曲線)を見て、その被験者の職業適性や勤勉性・持続性・安定性などの人格特性を評価する。作業曲線で評価するところは、加算の誤答率、作業効率の安定性、開始時と終了直前での作業率の変化量、休憩が作業に与える影響などである。
一般職業適性検査を終えて、更に、特定の職種に絞った適性検査を行いたい場合には、書記的適性検査・専門職適性検査・機械作業適性検査など特定職種専用の心理検査を行うこともできる。
逸話記録(anecdotal record)
逸話記録とは、個人の性格傾向や人格構造を理解する為の一つの手段であり、『その人の過去のエピソードを取り出した記録』のことである。
記憶には、大きく分けて宣言記憶(意味記憶)とエピソード記憶(体験記憶)、手続き記憶(ワーキングメモリー,身体動作のやり方の記憶)があるが、逸話記録とは主に、その本人が過去に経験したエピソード記憶にまつわるものになる。
その人の現在の性格が形成されるまでには、先天的要因(遺伝・体質・気質)と後天的要因(環境・親子関係・学習・人生経験)が相互に複雑に作用し合っている。
その人の過去の逸話(エピソード)記録をとることで、現在の精神障害の心因の理解が可能になったり、特異的なパーソナリティ形成の環境要因が明らかになったりすることがある。
精神分析的療法の面接場面では、幼少期の親子関係の葛藤や過去の時期の心的外傷(トラウマ)などを重視するので『逸話記録(成育歴・生活履歴・既往歴・発達段階のエピソード)』を詳細に取っていくことになる。
また、一般的なカウンセリングにおいても、クライエントの心理状態や性格形成過程をより深く理解する為には、その人が今までにどのような人生体験をしてきたか、どんな家庭環境や人間関係の中で成長して何を感じてきたかを知ることが重要になってくる。
親子関係を中心とする成育歴や過去のエピソードの記憶は、その人の性格特性の基盤を形成するだけでなく、基本的価値観の内容にも影響を与えてくると考えられる。
しかし、柔軟な人間理解を旨とすべき心理臨床家は、全ての精神症状や問題行動が、過去の逸話記録から類推できるという予断をもっていてはならない。
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