[異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)],[異文化間心理学(cross-cultural psychology)]

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異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)


異文化間心理学(cross-cultural psychology)


異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)

異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)

異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)とは、ある特定の文化圏で生活する個人や家族が、異文化での生活環境に移行した時に感じやすい不適応やストレスに対処する為のカウンセリングであり、支持的療法と教育的療法を適切に組み合わせて行うことが多い。

ヒト・モノ・サービス・お金がグローバルに行き交うグローバリゼーションの進行によって、一般の人たちでも、異文化に長期間接触したり、外国に移住する機会が増えており、異文化への適応や順応に関係する心理的ストレスが大きな問題になってきている。

アメリカの最先端科学が学べるシリコンバレーの大学に進学する高校生は、学力を向上させ言語力を高めるだけでなくアメリカの文化や食事、常識感覚をうまく日常生活に取り込んでいく必要がある。

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留学によってヨーロッパの歴史ある名門大学に行く大学生も、イギリスやドイツ、フランスの歴史を学び言語を習得し、宗教や民族の問題にも関心を払って、多様な国籍や文化を持つ人たちと良好な人間関係を築いていかなければならない。

就職、転勤、結婚などのライフイベントによって異なる文化圏で生活を送ることが決まった時には、異文化に上手く適応できるかという不安や心配があるが、同時に今まで行った事のない外国でどんな出会いや発見があるのだろうかという大きな期待や希望もある。

新たな外国での生活が始まったばかりの時期には、『言語・宗教・慣習・風俗・常識・異性関係など文化的特性の差異』に衝撃を受けるカルチャー・ショックを体験しやすいが、親密な外国人の知人が出来て滞在期間が長くなるにつれて、自然に異文化理解が進み、言語能力が高まることもあって外国の生活環境にうまく適応出来るようになることが多い。

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異文化間カウンセリングが必要とされる心理的問題の筆頭には、外国人との人間関係の困難や常識感覚のズレの悩みが挙げられる。また、個人の能力の優秀性や旺盛な競争心、強烈な自己主張に象徴される欧米の個人主義の文化に適応できないという日本人が多い。

集団内での協力や周囲との調和を重んじる自己主張が苦手な日本人は、個人主義が中心の文化では評価が低くなりがちだが、異文化間カウンセリングでは自己主張訓練やロールプレイを通して、どのようにすれば自分の長所や利点をうまく外国人にアピールできるのかを体験を通して学んだりする。

支持的技法以外にも、異文化の特徴の説明と教授、具体的なアドバイス、ロールプレイングからのフィードバック、ケースワーク、集団カウンセリング、エンカウンターなどを異文化間カウンセリングで取り入れていくとより大きな多文化への適応効果が期待できる。

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異文化間心理学(cross-cultural psychology)

異文化間心理学(cross-cultural psychology)

異文化間心理学(cross-cultural psychology)とは、複数の異なる文化圏を調査研究することによって、人類一般に普遍的な心理法則や行動原理を帰納的に確立しようとする心理学の一分野である。

それぞれの文化には、固有の行動様式・生活形式・社会通念・社会制度・伝統慣習・価値観などがあり、各文化には明確な差異がある。しかし、その一方で各文化には他の文化と通底する特徴や類似した要素があり、民族アイデンティティや国家アイデンティティの特性にも各文化間に共通性が見られる。

世界中の文化特性や文化の構成要素を調査して、各文化間にある差異性と共通性に着目することで研究を進めていく。複数の文化圏にまたがるフィールドワークと文献研究、実験調査を通して、人類全般の心理・行動を普遍的に説明できる一般理論・普遍法則を明らかにしようとするのが異文化間心理学なのである。

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世界には、南北アメリカ大陸・ユーラシア大陸・アフリカ大陸・オーストラリア大陸、そして、日本やイギリスのような島嶼部に人が住み着いていて、民族・部族・家族などの単位で共同体(国家)を構成し、独自の文化・習慣を歴史的に形成している。その無数の文化圏を統合的に理解できる一般理論を構築し、複数の文化圏にまたがる人々の行動原則や心理法則を作り上げようとする意欲的な学問分野として異文化間心理学がある。

異文化間心理学は、比較的新しい学問で、その歴史はあまり長くない。類似した名称を持つ心理学の分野に、比較文化心理学や交差文化心理学の分野があるが、具体的な研究方法や研究目的は大きく異なっている。文化心理学という世界の文化現象を主要な研究対象とする分野もあるが、異文化間心理学は、文化現象そのものを取り扱うのではなく、文化現象から類推できる心理現象と行動様式を取り扱う学問分野である。

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異文化間心理学は、『異文化間調査(cross-cultural research)』を基盤にして発展してきた学問であり、1953年頃からこの心理学分野に対して研究者の関心や注目が集まり始め、1970年に専門機関誌が刊行され、その翌年には国際学会組織も作られる運びとなった。

この分野の最も著名なテキストとして、トリアンディス(H.C.Triandis)の6巻組のテキスト「Handbook of Cross-cultural Psychology」がある。異文化間心理学には、異文化への適応促進やカルチャーショックの緩和を目的とする異文化間カウンセリングなどの臨床心理的領域も含まれている。

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