クアゼパムの効能・作用・副作用

クアゼパムについての基本情報

クアゼパムの効能・作用……効能は『睡眠障害(不眠症・熟眠障害・中途覚醒・早朝覚醒)・麻酔前投薬』です。うつ病やパニック障害、不安障害などの精神症状である『不安感・抑うつ感・緊張感・パニック』に対して処方されることもあります。

クアゼパムは、脳内のベンゾジアゼピン1(BDZ1)受容体に作用する『ベンゾジアゼピン系(BDZ系)』の睡眠薬で、強い鎮静・催眠効果を発揮しながらも筋弛緩の副作用が弱いという特徴があり、比較的安全な睡眠薬とされています。クアゼパムは作用時間の長い『長時間型の睡眠薬(血中半減期は30~40時間)』に分類されていますが、寝覚めた時の不快感やだるさが比較的少ないというメリットが指摘されています。

活性代謝産物であるDOQ(N-Desalkyl-2-Oxoquazepam)には、抗不安の薬理効果が認められており、服薬を中止した後に睡眠障害がぶり返す『反跳性不眠』の副作用も抑えられています。クアゼパムには、睡眠の第2相を増加させて、夢を見ることの多いREM睡眠(脳が活動していて身体を休めるタイプの睡眠)を抑制する作用もあります。しかし、30~40時間にわたって長時間作用するタイプの睡眠薬なので、途中で起きて通勤通学をしたり仕事・作業をしたりする必要がある時には処方することができない薬です。

クアゼパムの商品名……クアゼパム(明治製菓・日新製薬・陽進堂・日本ジェネリック・日医工・共和薬品)、ドラール(田辺三菱製薬・吉富薬品)

平均的な用法・用量……1回15~20mgを就寝前に服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。1日の最高量は30mgである。

副作用……眠気、めまい、脱力感、ふらつき、倦怠感、口渇、吐き気、刺激興奮性など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。

食後に服用すると空腹時の2~3倍まで吸収率が上がって効果が過剰に出過ぎるので、食後の服用は避けるようにしてください。アルコールとの併用は禁忌です。効果が長期にわたって持続することがあり、飲み始めてから1~2週間後(高齢者は3~4週間後)に、昼間の眠気・ふらつきが出ることがあるので注意が必要です。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症(本剤は耐性の形成はしづらいとされるが長期連用で依存性が生じることがある)、精神症状、離断症状(急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある)、呼吸抑制(炭酸ガスナルコーシス)、肝臓障害、一過性の前向性健忘など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦、高齢者など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、抗HIV薬のリトナビルの服用をしている人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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