恋人と友人の違い・恋愛と好意の違い

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恋人(彼氏彼女)と異性の友人に向ける感情はどこが違うのか?

Z.ルービンの恋愛尺度・好意尺度:ロミオとジュリエット効果の実証研究


恋人(彼氏彼女)と異性の友人に向ける感情はどこが違うのか?

恋愛をしている人の心的プロセスについて説明しましたが、ここでは恋人と異性の友人に向けられる感情の違いを考えていきます。『恋人と友人の区別』『恋愛感情と友情の違い』は、恋愛心理学においても重要なテーマの一つになっていますが、大学生・高校生などを対象にした統計的調査(質問紙法の調査)では、親しい異性の友人や恋人に特有に見られるいくつかの因子が確認されています。

山本(1986年)は629人の大学生を被検者として、『恋人・異性の友人に対する感情』を調査していますが、その統計調査と因子分析から以下のような『異性に対する感情』の因子が特定されています。

この調査研究では、相手(異性)との親しさの段階を『恋人・親しい友人・友人・顔見知り・好きでない友人』の5段階に分けて回答してもらっています。『恋愛感情』『親近感』は、当たり前の結果ですが男子学生も女子学生も共に『親しい異性の友人になる』ほどに点数が高くなり、『恋人』が最も高い点数になっていますが、男子学生のほうが『恋人と親しい友人との点数の差』が小さく、『恋人だけを特別扱いする傾向』が女性よりも低いことが分かっています。

女子学生のほうが男子学生よりも『恋人と親しい友人との点数の差』が大きく、恋愛感情をより特別な感情として感じている可能性が高く、『恋人だけを特別扱いする傾向』が男性よりも強いことが分かっています。これは『男性の浮気心・気の多さ(良いなと思える異性の範囲が広い)・恋愛感情と親しさの区別の曖昧さ(親しい異性の友達でも何かのきっかけで恋人になりやすい)』を示唆しているとも解釈可能ですが、調査した年代がやや古いので2015年現在においては女子学生も男子学生の恋愛感情の感覚に近づいている可能性(男女差が薄まっている可能性)もあるでしょう。

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異性に恨み・憎たらしさを感じるという『反感』の因子の得点は、女子学生よりも男子学生のほうが有意に高くなっているのですが、特に『恋人・親しい友人に対する反感』が男子学生は高い傾向があり、『親しい関係にあるはずの異性が思い通りに動いてくれないことに対する不満・怒り・憎たらしさ』が男性では強くなりやすいようです。

男子学生のほうがなぜ女子学生よりも『反感』が強くなりやすいのかは、『相手に対する期待の大きさ・依存や嫉妬の強さ』とも相関していますが、特に日本人では恋人・配偶者となった女性に『母親的な役割規範』を期待して自分に世話を焼いてくれることを期待すること(自分の面倒を優しく見てほしいというマザーコンプレックスが強いこと)が、この反感に結びついているとも推測されます。

依存や嫉妬の強さは『男女差』よりも『個人差』のほうが大きい可能性がありますが、異性から浮気をされたり裏切られた時に『激しい怒り・恨み+暴力的な行動』に訴えやすいのは女性よりも男性だとは言えるでしょう。

このページのタイトルになっている『恋人(彼氏彼女)と異性の友人に向ける感情はどこが違うのか?』の分かりやすい答えとしては、『性的な興味や欲求を感じているか?その異性と性的交渉をしても良いと思うか?(キスや性的交渉をしたいと感じるか?)』ということがあります。

しかし、これを恋愛感情に含めた場合には女性よりも男性の『性的関係の許容性(相手が受け容れてくれそうであれば性的関係を持ちたい)』が一般に高いために、男女差が非常に大きくなりやすく(男性のほうが親しい女性の友人に対する性的許容度が相当に高いため)、『男性と女性の間にある恋愛感情・性的欲求の認識の差』が問題になってきます。

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Z.ルービンの恋愛尺度・好意尺度:ロミオとジュリエット効果の実証研究

社会心理学者のZ.ルービン(Z.Rubin)は、“恋人に対する恋愛感情”“異性の友人に対する好意”との違いを調べるために、『自分の彼氏・彼女についての質問項目』『プラトニックな異性の友人についての質問項目』を作成しました。

Z.ルービンがこの質問紙法の調査研究の回答結果をまとめて、因子分析の手法で処理したところ、以下の『恋愛尺度(love scale)』『好意尺度(like scale)』という2つの尺度に分類することができました。この2つの尺度に含まれる因子がそれぞれ、『恋人に対する恋愛感情』と『異性の友人に対する好意』に対応しているということになります。

恋愛尺度(love scale)

○~さんのためなら、ほとんど何でもして上げるつもりである。

○~さんを独り占めしたい。

○~さんが元気が無さそうだったら、真っ先に励ましてあげたい。

○私は一人でいると、いつも~さんに会いたいと思う。

○~さんと一緒にいると、相手の顔を見つめていることが多い。

○~さんなしに生きることは、つらいことである。

○~さんが幸せになることが、私の最大の関心である。

○~さんと一緒にいないと、私はとても寂しくなる。

好意尺度(like scale)

○~さんなら責任のある仕事に推薦できると思う。

○~さんはとてもよくできた人だと思う。

○~さんはとても適応力のある人だと思う。

○~さんはみんなから尊敬されるような人物だと思う。

○~さんの判断力には強い信頼を置いている。

○クラスやグループで選挙があれば~さんに投票したいと思う。

○私は~さんのような人物になりたいと思う。

○~さんはとても知的な人だと思う。

○~さんは賞賛されやすい人だと思う。

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『恋愛尺度(love scale)』に含まれている因子の項目は『異性として好きな相手(異性として欲求している相手)に対して抱く感情・考え』であり、『好意尺度(like scale)』に含まれている因子の項目は『人間として好きな相手(人として評価している相手)に対して抱く感情・考え』なのです。

だから、『好意尺度』に当てはまっている人物だからといって、恋愛感情や性的欲求の対象になるわけではないということになるし、『恋愛尺度』に当てはまっている人物であっても、必ずしも社会的信用・職業的能力などの面で高く評価されているわけではない(異性としては好きだけど社会的職業的には無能に近いダメンズもいる・仕事や家庭生活の面ではあまり信用できない好きな彼女もいる)ということになるのです。

恋愛尺度のほうは、『恋愛感情・性的欲求・結婚の意思』などと強く結びついています。好意尺度のほうは、『社会的信用・人間性の評価・判断力や職業上の能力』などと強く結びついています。しかし、恋愛尺度と好意尺度は全くの別物というわけではなく、やはり好意尺度が高いほうが恋愛尺度も高くなりやすいという『一定程度の相関関係』は見られます。

『恋愛尺度』と『好意尺度』の相関関係は、女性(0.39)よりも男性(0.60)のほうが高い傾向が見られ、男性のほうが女性よりも『恋人に対する気持ちと親しい異性の友人に対する気持ちの混同(曖昧化)』が起こりやすいということが推測されます。女性は『恋人に対する気持ち=恋愛感情』と『異性の友人に対する気持ち=好意』との区別がはっきりしやすいのに対して、男性は恋愛感情と好意の両者を混同しやすい傾向があるのです。

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『恋愛尺度の得点の高さ』『相手の顔を見つめる時間の長さ』との間にも強い相関関係が見られ、恋愛尺度の得点が高い恋人同士ほど、相手の顔を見つめている時間が長いことが分かっています。Z.ルービンの恋愛尺度には、『親和・依存欲求』『援助傾向』『排他性と熱中』の3つの構成要素が含まれているとされます。

親の反対や周囲からの妨害があるほど、恋愛関係はロマンティックかつ情熱的に燃え上がるという効果を、恋愛心理学ではシェイクスピアの古典からの連想で『ロミオとジュリエット効果』と呼んでいますが、この効果もドリスコールら(1972年)『愛尺度』『信頼尺度』を用いた心理学研究で明らかにされたものです。

『愛尺度』というのはZ.ルービンの『恋愛尺度』に相当するものですが、『異性として相手が好きとか必要としているとか陶酔しているとかいった項目』になっています。『信頼尺度』というのはルービンの『好意尺度』に相当するもので、『人として相手が好きとか信用できるとか頼ることができるとかいった項目』になっています。

ドリスコールらはこの『愛尺度の点数』から『信頼尺度の点数』を引いたものを『熱愛度・ロマンティックラブの尺度(点数)』として定義して、『親が反対している恋愛・周囲から邪魔されている恋愛』において特にこの熱愛度・ロマンティックラブの点数が上がりやすいという相関関係を発見したのでした。この相関関係が、いわゆる『ロミオとジュリエット効果』の心理学的根拠になっているのです。

日本の楠見(1987年)の研究では、どういった目的でその恋人と恋愛をしているのかによっても、『恋愛尺度の点数』が変わってくることが確認されています。この研究結果は直感的な印象と同じく、『結婚を意識した恋愛(結婚志向群)』のほうが『今が楽しければ良い恋愛(刹那的快楽群)・一人だと寂しいや相手がいると便利という恋愛(功利主義群)・ただ相手が好きという恋愛(単純好意群)』よりも、有意に恋愛尺度の点数が高くなっています。

興味深いのは、『結婚を意識した恋愛(結婚志向群)』に続いて恋愛尺度の点数が高かったのが『片思いの恋愛(片思い群)』だということです。純粋な片思いをしている人は、相手を理想化しやすかったり嫌な部分が目に入らなかったり、一切の見返りがなくても恋愛感情を維持できるほどに好きだったり(片思いでも相手の姿を一方的に見つめ続けていたい思いが強かったり・片思いだからこそ一切妥協しない相手を選んでいたり)ということで、『結婚までは意識していない適当な恋愛(都合の良い恋愛・刹那的な恋愛)をしている群』よりも、恋愛尺度の点数が高くなっているのではないかと推測されます。

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