恋人(好きな相手)とのコミュニケーションの特徴と恋愛関係の満足度・結婚の意図

恋人同士で見つめ合う行動・恋人とのスキンシップ行動


公平理論から見る恋愛の主観的満足度・結婚の意図


スポンサーリンク

恋人同士で見つめ合う行動・恋人とのスキンシップ行動

ジョン・アラン・リー(J.A.Lee)のラブスタイル類型論に関連する記事を書きましたが、ここでは恋人や好きな異性との間で見られるコミュニケーション(やり取り)の特徴について解説していきます。

恋人同士はお互いの愛情の深さや関心の強さ、信頼の度合いを確認するためのやり取りをして、お互いに対して心地よい刺激を与えたり、本音のメッセージ・気持ちを伝えたりしています。恋人に向ける代表的な非言語的コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)の一つに『目線(まなざし)』があり、恋愛感情が強いカップルほどお互いに見つめ合う時間が長いことがルービンなどの研究によって分かっています。常識的に考えても嫌いな相手と目を合わせたくはないわけで、ロマンティックで情熱的な気分を感じている好きな異性の目・瞳を、人は長い時間見つめていたくなるものなのです。

恋愛中の交際している男女は、交際をしていない男女よりも、明らかにお互いの目を見つめ合う時間が長いことが分かっていますが、『好きな相手(相手の目)を見つめる行動』には一般的に自分の好意を相手に伝える効果があり、相手からの承認を求めたり相手に好印象を持ってもらいたいという意味合いも含まれています。また好きな人や好意を持っている人を見ると、瞳孔が大きく開いて黒目がちになり目がキラキラしているように見えます。

例外的に、長期の交際期間を経ている男女、結婚して年月が経っている夫婦になると、『相手を見つめる行動』にポジティブな意味だけではなく『ネガティブな意味(不信感・監視・詰問・責任追及など)』が込められやすくなることが大坊(1990)の調査によって分かっています。

夫婦のように人生設計・経済生活を共有するほどの男女関係になると、仲の悪い夫婦ほど『相手を見つめる行動(優しく見つめるのではなく疑い・叱責混じりの目で見つめる)』が増えるというわけですが、それは仲が悪いとお互いの信用が揺らいでいることが多いからで、相手をじっと見ることで『お互いの発言の真偽・自分の言っていることをきちんと理解しているか』をチェックしているのかもしれません。

スポンサーリンク

恋人や好きな異性に対しては、言葉や目線(まなざし)で気持ちをより強く伝えるだけではなくて、身体も接近させて相手に触れようとする傾向が強まります。親しい相手ほど、席に座る時でも立ち話をする時でも近い位置にいるものですが、相手の身体に近づいていけば最終的には相手の身体に触れる『スキンシップ』へと発展していきます。

男女の関係の親密度が高まるほど、スキンシップの接触行動が増えることが分かっています。手を握ったり腕を組んだり、髪や首に触れたりキスをしたり性行為をしたりといった接触行動が増えたり深まったりしていくことは、一般的に男女の関係の親密度の指標(メルクマール)になっているわけです。一般的ではない飲み屋の女性との同伴デート、風俗の女性との性的接触などは、プライベートな関係性の親密度は反映していませんが、そういった仕事としての金銭授受がない男女関係では、お互いに対する接触行動を許すほど関係の親密度は高いと言えます。

日本の恋愛関係では欧米と比べると男女のスキンシップや接触行動は多くないと言われていますが、日本の文化・慣習では『異性の恋人から接触される頻度が少ない』だけではなくて、友人や父母からもあまり身体に触られていないことが多いようです。山根(1987)の研究では、恋人であることを表す記号的な行為として『キスをする・抱擁する・腰に手を回す』などが上げられており、カップルの本人たちだけではなくて第三者の他人から見ても、これらの親密なスキンシップ・接触行動は『恋人であることの証明』のように見られやすいのです。

恋愛感情を持つ男女は一般に言語的コミュニケーションも非言語的コミュニケーションも増えますが、恋人の男女ではなくても好意を感じる相手ほど対話が多くなって、自分のプライベートなことについて自己開示することが増えます。しかしこのコミュニケーション頻度も、長年付き合っている夫婦やカップルでは減ることが多くなり、『沈黙していても緊張しない自然な空間・関係』ができてきやすくなります。

人はこれからその相手と親しくなっていこうとする過程では、『会話が増える・相手をよく見る・笑顔を交わす・距離が近くなる』などの直接的なコミュニケーションの頻度が増えるのですが、長年連れ添っている夫婦・恋人のように親密さが十分に高まりきってしまうと、今度は逆にコミュニケーションの直接性(会話・見つめ合い・身体接触)が下がりやすくなるのです。

楽天AD

公平理論から見る恋愛の主観的満足度・結婚の意図

アダムスが提唱した『公平理論(衡平理論)』では、男女の恋愛関係の損得(利益と損失)が数量的に評価されて、その恋愛関係が公平(お互いが概ね同程度に得している関係)であるか不公平(一方だけが得している関係)であるかが判定されます。恋愛関係では二人の間でさまざまなモノ(贈り物・金銭)やコト(イベント・共同の行動・時間消費)、感情(喜怒哀楽)がやり取りされており、その特定の相手と付き合うことによって好むと好まざるとに関わらず利益と損失が生まれてきます。

アダムスの公平理論では、二人の恋愛関係を続けるために自分が費やしたさまざまなモノ・コトを『投入(input)』、相手との関係から得ているプラスのモノ・コトを『成果(output)』と呼んで、二人が自覚している投入と成果が釣り合っている『公平な状態』の時に二人の関係は自然に長続きしやすいとしています。

反対に、二人が自覚する二人の恋愛関係(結婚関係も)を維持するための投入と成果のバランスが大きく崩れている時には、『自分だけが損(得)をしているという不平不満・怒り・被害感情・緊張』が生じやすくなり、その不快な緊張感を解消するために相手と喧嘩をしてでも別れたり、(無意識であっても相手ばかり得をするのは不公平と感じて)相手のためにする行動を抑制するようになってしまいます。

楽天AD

アダムスの公平理論は、社会的交換理論(釣り合い理論)や認知的斉合性理論を統合した分かりやすい理論ですが、恋愛関係や結婚生活が上手くいかなくなって二人の関係が緊張してきた時には、この公平理論でいう『どちらかだけが得(損)をしていると主観的に感じている不平不満の状態』が背後にあることが多いのです。

井上和子(1985)の主観的満足度に関係する恋愛心理学の研究では、公平理論における利得の大きさの観点から『恋愛関係における主観的な満足度・幸福感・結婚の意図の強さ』をリサーチしています。恋愛関係のある男女各50名を対象にした調査でしたが、公平理論における不公平の度合いに応じて『(相手から受け取っている利得が)かなり多い・やや多い・公平である・やや少ない・かなり少ない』の5つのグループに分けて調べています。

この調査の結果、相手から受け取っている利得が『やや多いと感じているグループ』が、恋愛関係における主観的な満足度・幸福感が高いことが分かっています。相手から受け取っている利得が『かなり少ない・やや少ないのグループ』は恋愛を通した主観的な満足度・幸福感は低くなっていますが、『かなり多いグループ』は『やや多いグループ』よりも満足度・幸福感が低くなっていました。この結果は相手からあまりに多くのものを受け取って自分だけ『得』をし過ぎている不公平な関係では、『こんな不公平な関係は長続きしないのではないかという不安感・自分は何もしてあげられていないのに申し訳ないという劣等感』が高まるからではないかと推測されています。

『結婚の意図』については、相手から受け取っている利得が『かなり少ないグループ(自分ばかり損している)・かなり多いグループ(自分ばかり得している)』で低くなっており、『やや多いグループ(自分が少し得している)』がもっとも結婚の意図が強くなっていて、それに『やや少ないグループ(自分が少し損している)』が続いています。また不公平なグループで結婚の意図が低くなっているだけではなく、もっとも不快な緊張感が少ないとされる『公平であるグループ』でも結婚の意図が低くなっているという興味深い結果が得られています。

相手から受け取っている利得が『やや多いグループ』と『やや少ないグループ』で結婚の意図が高くなっており、この理由としては気後れなく自分が少し得をできそうな結婚生活がイメージしやすいこと、あるいは少しだけ不満のある相手を努力させたり成長させたりしてより公平な結婚に行き着く現実的な可能性が見えていることなどを考えることができます。

『公平な恋愛関係』で結婚の意図が低くなってしまうのは、完全に公平だと自分や相手が今よりも成長して変化する必要性を感じにくく、恋愛特有の刺激や緊張がないためにかえって結婚につながる感情が高まらないのかもしれません。公平理論を前提とした恋愛関係における満足度・幸福感・結婚の意図の研究では、自分が受け取っている利得が『やや多いグループ』がもっとも満足度が高くて結婚の意図も強いという結果が出ているのです。これは公平な夫婦関係を望みながらも、自分のほうが相手よりも少し得をできそうな関係が好まれるという一般的傾向を示唆していると言えるでしょう。

スポンサーリンク
Copyright(C) 2017- Es Discovery All Rights Reserved