人間の喜怒哀楽を豊かな言語表現で語り合い感じ合う事の大切さ:アレキシシミアと心身症

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人間の喜怒哀楽、憂鬱と発揚、興奮と鎮静、絶望と希望などの『能動的な感情表現』と『受動的な感情表出』は、実に多種多様なものである。

人間の生きる意味や価値は、理性的・論理的な思考に基づく知的把握のみでは十全に味わいつくす事はできない。

知的理解の限界は、実存的な暗く深い虚無感につながる深淵を前にして『私が今、ここに生きて在る意味』を毅然として言い放つ事が出来る水準に至らないところにある。

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私たちが、唯一無二のこの生命をこの世界において享受して生きて在る意味を実感的に洞察して味わう為には、どうしても知的位相を超えた感情的体験や感覚的洞察が必要となってくる。

つまり、知的な幸福や快楽の説明や記述は、どうしても過去の肯定的な体験を想起したり、空想的な充実感を思い浮かべて言語に置きなおす作業を必要とする『二次的な幸福の記述的説明・論理的解釈』に過ぎないという事となる。

私たちが、真正の幸福を我が身の上に陶酔感や恍惚感と共に感じる時、その感じる場所は言語的世界ではなく感情的世界なのであり、愛し信頼できる他者と共に時を共有する歓喜を体感している正にその瞬間に心地良い感覚が生きる価値となって体得されるのである。

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文字や記号への置き換えを必要としない生理学的あるいは現実感覚的な体験としての実存的意味は、パラドキシカルな事にその意味を他者に伝達する為には一旦、言語に置き換えて会話したり記述しなければならない。

そういった感情生活の多種多様な文字による表現方法とその表現による感情の強度を分析したのが、ロジャーズの指導を受けてヘルピング理論を提起したR.R.カーカフである。

自分が今抱いている感情や情緒を他者に上手く伝達できない、感情を表現する為の言語化がスムーズに行えないなどの心理状態を、精神医学者シフネオス『アレキシシミア(失感情言語症)』と呼んだ。

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このアレキシシミアの状態が長く続くと、自分自身の感情生活を過度に抑圧して現実状況に適応するだけの無味乾燥な人生になりやすく、情動の抑圧が自律神経系などを障害して、消化性潰瘍や狭心症、本態性高血圧などの心身症を発症するリスクが高まる。

カーカフが、分類定義した感情表現の言葉や感情の強度は、万人に普遍的に通用するものではないが、個別差を考慮しつつも、自分の感情を表現する為の言葉を多く使いこなせるようになることは、感情を無視して抑圧しがちな性格傾向の人には良い心理的効果をもたらすことになるだろう。

カーカフの感情表現の分類と強度

幸福の感情

【強度】
狂喜乱舞する。
歓喜する。
有頂天になる。

【中等度】
陽気になる。
上機嫌になる。
気分が良い

【軽度】
嬉しい
満足する。
まあまあである。

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悲哀の感情
【強度】
絶望する。
憂鬱になる。
落胆する。

【中等度】
周章狼狽する。
悲嘆する。
残念に思う。

【軽度】
気落ちする。
気分がすぐれない。
気が重い。

憤慨(怒り)の感情
【強度】
激怒する。
憤激する。
憤慨する。

【中等度】
欲求不満になる。
いらだつ。
やきもきする。

【軽度】
頭にくる。
腹をたてる。
癇に障る

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恐怖・不安の感情

【強度】
戦慄し恐れおののく。
恐怖する。
怯える。

【中等度】
胸騒ぎがする。
不安になる。
懸念する。憂慮する。

【軽度】
落ち着かない。
びくびくとする。
臆病になる。

強気(自己肯定感)の感情

【強度】
全能感・万能感を持つ。
自信に満ち溢れている。
活力が横溢している。

【中等度】
自信満々
意気揚々
得意になる。

【軽度】
確信している。
泰然自若
揺るがない。

弱気(自己否定感)の感情

【強度】
圧倒される。
無力感
感傷的で傷つくやすくなっている。

【中等度】
自信喪失
孤立無援
情緒不安定

【軽度】
動揺する。
気力が弱まる。
ぐらぐらと揺らぐ。

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混乱の感情

【強度】
茫然自失となる。
困惑する。
身動きがとれない。

【中等度】
支離滅裂となる。
無様な恰好になる。
混乱している。

【軽度】
迷惑に思う。
優柔不断になる。
慣れない。

元記事の執筆日:2005/04/27

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