塩酸クロミプラミンの効能・作用・副作用

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塩酸クロミプラミンについての基本情報

塩酸クロミプラミンの効能・作用……効能は『うつ病・うつ状態・遺尿症』です。塩酸クロミプラミンは、古典的な『三環系抗うつ薬(第一世代の抗うつ薬)』です。塩酸クロミプラミンは、脳内にあるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど様々な化学物質の受容体(モノアミン受容体)の再取り込みを非選択的に阻害するので、『抑うつ感・意欲減退・興味と喜びの喪失・集中力や思考力の低下・億劫感・焦燥感・絶望感』といったうつ病の様々な精神症状を緩和する効果が比較的強くなっています。

しかし、クロミプラミンは脳内の情報伝達物質(化学物質)の再取り込みに対して非選択的に作用するので、他の抗うつ薬と比べると『口渇・便秘・排尿困難(抗コリン性作用)』などの副作用が強くなりやすいという欠点があります。シナプス前細胞のモノアミン再取り込み阻害作用においては、セロトニンに対して選択的に作用するようですが、セロトニン以外の化学物質の再取り込みも阻害するため、その作用は強めに出やすいと言えます。抗コリン性作用の副作用があまりに強い場合には、クロミプラミンを主体とする薬物治療の継続が困難になってしまうケースもあります。

脳内の神経活動を全般的に活性化させる効果を応用して、子供の遺尿症(おもらし)・夜尿症(おねしょ)・ナルコレプシー(眠り病の情動脱力発作)に対してクロミプラミンが処方されることもあります。アメリカのエビデンスベースドな抗うつ薬治療効果の研究(Montgomery, S.A. et al, 2007)では、クロミプラミンとエスシタロプラム、ベンラファキシンだけが三環系抗うつ薬の中で『科学的根拠のある有効なうつ病治療薬』と言えるとされています。

一般的に、脳内におけるノルアドレナリンの増加は『意欲・気力・行動力』を高めて、セロトニンの増加は『不安感・焦燥感・緊張感』を緩和してマイルドな精神状態を作るとされています。

塩酸クロミプラミンの商品名……アナフラニール(アルフレッサファーマ)

平均的な用法・用量……うつ病・抑うつ症状に対しては、50~225mgを1~3回に分けて分服。初めは50mgから始めて、抗コリン作用の副作用が強くでなければ、短期間で150mg程度まで増量することが多い。『年齢・症状・副作用』を見て適切に調整する。遺尿症に対しては、10~50mgを1~2回に分けて分服。

副作用……口渇・便秘・排尿障害・動悸・頻脈などの末梢性抗コリン作用。眠気、めまい、吐き気・嘔吐、立ちくらみ、起立性低血圧、手の振るえ、アカシジア、発疹、倦怠感、脱力感など。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin)、セロトニン症候群(焦燥感・イライラ・不安感の高まり)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、横紋筋融解症、不整脈(QT延長・心室頻拍)、幻覚・せん妄・けいれんなど。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、排尿困難、心疾患、眼内圧亢進、てんかん、甲状腺機能亢進症の既往がある人。脳の器質的障害、福神髄質腫瘍、肝機能障害、腎機能障害の既往がある人。統合失調症や双極性障害(躁鬱病)の人。重症の慢性的な便秘がある人。妊婦。

『処方してはいけない禁忌』は、緑内障、心筋梗塞の回復期の初期、尿閉、不整脈(QT延長)など。三環系抗うつ薬で過敏症を起こしたことがある人。パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)との併用は、セロトニン症候群を起こす恐れがある。

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