マレイン酸セチプチリンの効能・作用・副作用

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マレイン酸セチプチリンについての基本情報

マレイン酸セチプチリンの効能・作用……効能は『うつ病・うつ状態』です。マレイン酸セチプチリンは、古典的な『四環系抗うつ薬(第二世代の抗うつ薬)』です。マレイン酸セチプチリンは、特に脳内にあるノルアドレナリンなど様々な化学物質の受容体(モノアミン受容体・α受容体)の再取り込みを非選択的に阻害することで、『抑うつ感(憂鬱感)・意欲減退・興味と喜びの喪失・集中力や思考力の低下・億劫感・無気力・焦燥感・絶望感・悲観』といったうつ病の様々な精神症状を緩和する効果が比較的強くなっています。

特に、ノルアドレナリン(NA)の再取り込みの阻害は、『意欲の増進・活動性の強化』に効果があるとされます。しかし、完全に選択的にノルアドレナリンの再取り込みだけを阻害するわけではなく、セロトニン(5HT)やヒスタミン(H1)の受容体も阻害する働きをしています。

マレイン酸セチプチリンの長所は、脳内の情報伝達物質(化学物質)の再取り込みに対して非選択的に作用しながらも、三環系の抗うつ薬と比べて『口渇・便秘・排尿困難(抗コリン性作用)』などの副作用がかなり抑えられているということです。もう一つの利点として、抗うつ作用に即効性があるため、現時点で厳しいうつ病の精神症状(抑うつ感・絶望感・気分の落ち込み)に苦しんでいる人に早い時点での改善が実感されやすいということです。

同じ四環系抗うつ薬にはミアンセリン(商品名テトラミド)という薬がありますが、マレイン酸セチプチリンはこのミアンセリンを基礎的な化学構造として改良された抗うつ薬です。そのため、セチプチリンは、ミアンセリンよりも少ない量で抗うつ作用を発揮できるという長所も併せ持ちます。臨床試験におけるうつ病・うつ状態に対するセチプチリンの有効率は“59.4%”と報告されていますが、抗うつ薬を飲んだ時の不快な副作用である抗コリン作用が抑えられているので、高齢者・心疾患のある人・緑内障がある人でも、症状の度合いによりますが医師の適切な指導・管理があれば服用することが可能です。

一般的に、脳内におけるノルアドレナリンの増加は『意欲・気力・行動力』を高めて、セロトニンの増加は『不安感・焦燥感・緊張感』を緩和してマイルドな精神状態を作るとされています。

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セチプチリンの商品名……テシプール(持田製薬)、ビソプール(沢井製薬)、セチプチリン

平均的な用法・用量……うつ病・抑うつ症状に対しては、1回1~2mgを3回に分けて分服。

副作用……口渇・便秘・排尿障害・動悸・頻脈などの末梢性抗コリン作用。眠気、めまい、吐き気・嘔吐、立ちくらみ、起立性低血圧、手の振るえ、目の調節障害、アカシジア、発疹、倦怠感、脱力感など。抗うつ薬は、他の抗精神薬との相互作用を起こしやすいので、医師に今飲んでいる薬についての情報を提示して指導を受けるようにして下さい。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin)、無顆粒球症など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、排尿困難、心疾患、眼内圧亢進、てんかん、甲状腺機能亢進症の既往がある人。脳の器質的障害、肝機能障害、腎機能障害の既往がある人。統合失調症や双極性障害(躁鬱病)の人。妊婦。

『処方してはいけない禁忌』は、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)の投与を受けている人、三環系抗うつ薬で過敏症を起こしたことがある人。

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