ノルトリプチリン(ノリトレン)の効能・作用・副作用

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ノルトリプチリン(ノリトレン)についての基本情報

ノルトリプチリンの効能・作用……効能は『うつ病・うつ状態』です。ノルトリプチリンは、イミプラミンをプロトタイプ(原型の鋳型)として開発された古典的な『三環系抗うつ薬』である。脳内の複数の種類の神経伝達物質を増やすことで、抑うつ感・不安感・気分の落ち込み・焦燥感・億劫感・無気力などのうつ病の諸症状を緩和する効果を発揮する。初期の三環系抗うつ薬であるため、脳内の神経伝達物質(情報伝達物質)の受容体に対して非選択的に作用するという特徴がある。

2つのベンゼン環が7つの側鎖構造質(7員環)によって結合していることから『三環系』と呼ばれている。ノルトリプチリンは、アミトリプチリンの脱メチル化代謝物であり、側鎖の窒素原子にメチル基を一つ持つ2級アミンである。

非選択的に複数の神経伝達物質の受容体に作用するので、他の抗うつ薬と比較しても末梢性抗コリン作用や心毒性などの強い副作用が出やすい問題があるが、ノルトリプチリンは三環系抗うつ薬の中では抗コリン作用や低血圧の副作用が少ない薬である。特に、アドレナリン(α1)受容体拮抗作用によって発症する『起立性低血圧』の副作用が弱く抑えられているので、三環系抗うつ薬服用による『朝の立ちくらみ・めまい』などの副作用に悩まされている人には適している。

神経伝達物質の再取り込み阻害作用については、安心感・リラックスと関係する“セロトニン”よりも意欲・活力と関係する“ノルアドレナリン”の再取り込みを強く阻害することで、うつ病の抑うつ感・意欲減退・無気力などの症状を緩和する働きをしている。

一般的に、脳内におけるノルアドレナリンの増加は『意欲・気力・行動力』を高めて、セロトニンの増加は『抑うつ感・不安感・焦燥感・緊張感』を緩和してマイルドな精神状態を作る効果があると考えられている。ノルトリプチリンの力価はイミプラミンの約2倍であり、血中半減期はほぼイミプラミンと同じ約27時間である。

脳内にあるノルアドレナリン(NA)の受容体の再取り込みを阻害することで、『抑うつ感(憂鬱感)・意欲減退・興味と喜びの喪失・集中力や思考力の低下・億劫感・無気力・焦燥感・絶望感・悲観』といったうつ病の様々な精神症状を緩和する効果を発現します。

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ノルトリプチリンの商品名……ノリトレン(大日本住友)

平均的な用法・用量……うつ病・抑うつ症状に対しては、1日20~60mg(1錠10mgを2~6錠)を朝・夕の2回に分けて服用する。
あるいは、1日75~150mg(1錠25mgを3~6錠)を朝・昼・夕の3回に分けて服用する。なお、年齢、症状により適宜減量する。

副作用……口渇・便秘・排尿障害・動悸・頻脈などの末梢性抗コリン作用。眠気、めまい、吐き気・嘔吐、立ちくらみ、起立性低血圧、倦怠感、脱力感など。不安感、焦燥感、イライラ、衝動性などの精神症状の副作用が出ることもある。抗うつ薬は、他の抗精神薬との相互作用を起こしやすいので、医師に今飲んでいる薬についての情報を提示して指導を受けるようにして下さい。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、麻痺性イレウス、重症の血液成分障害、重い不整脈、妄想・幻覚・けいれんなど。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、前立腺肥大症(尿がでにくい人)、心臓疾患、てんかん、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症の素因がある人、衝動性の精神症状を持つ人、腸閉塞・腸通過障害のある人、重症の便秘がある人、高齢者、24歳以下の若者(特に10代以下の子供に対しては処方を控えるべきとされる)、希死念慮のある人など。

『処方してはいけない禁忌』は、緑内障、心筋梗塞の回復期にある人、尿閉。禁忌ではないが、セロトニン症候群を発症する危険性があるので、パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)を服用している人は禁忌である。

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