パロキセチン(パキシル)の効能・作用・副作用

スポンサーリンク

パロキセチン(パキシル)についての基本情報

パロキセチンの効能・作用……効能は『うつ病・うつ状態・パニック障害・強迫性障害・社交不安障害(対人恐怖症)・摂食障害・月経前症候群』です。国際的に幅広く処方されている代表的な『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』である。SSRIは三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬に続いて開発された『第三世代の抗うつ薬』である。

脳内で選択的にセロトニン受容体と結合して再取り込みを阻害することで、抑うつ感・不安感・気分の落ち込み・焦燥感・億劫感・無気力などのうつ病の諸症状を緩和する効果を発揮する。パロキセチン(パキシル)の大きな特徴の一つは、うつ病以外にもパニック障害や強迫性障害、社交不安障害(対人恐怖症)などに広く適用を持っているということである。

国内で2番目に承認された選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)であり、セロトニン系神経だけを選択的に阻害して、脳内のセロトニンの量を増やす効果がある。高用量で服用すると、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の再取り込み阻害も発揮することで、意欲の減退や無気力、抑うつ感などの改善作用を示す。

選択的にセロトニン受容体を阻害する特性により、従来の抗うつ薬と比較すれば、口渇・便秘・排尿困難・手の振るえ・心毒性などの副作用がかなり軽減されている。パロキセチンはSSRIの中でも、特に最強のセロトニンの再取り込み阻害作用があり、急な服用中止や減薬をすると憂鬱感・不安感・焦燥感などの精神症状が悪化する『SSRI離脱症候群』と呼ばれる副作用が出ることがある。そのため、医師の指示に従って段階的に減薬・中止を進めていく必要がある。

パロキセチンの抗うつ作用は、三環系抗うつ薬とほぼ同等とされるが、抗ヒスタミン作用や抗アドレナリン作用が弱いので、自殺企図で大量服用(オーバードーズ)をしても致死的な作用は得られにくい。しかし、18歳未満のうつ病患者がパロキセチンを服用すると、有意に自殺リスクや攻撃衝動のリスクが高まるという報告もある。

一般的に、脳内におけるノルアドレナリンの増加は『意欲・気力・行動力』を高めて、セロトニンの増加は『抑うつ感・不安感・焦燥感・緊張感』を緩和してマイルドな精神状態を作る効果があると考えられている。パロキセチンは急激な減薬・中止による副作用(不安・焦燥感・興奮・錯乱・発汗・頭痛・めまい・睡眠障害・パニックなど)がでやすい薬なので、服用を中止する時は医師の管理の下で慎重に減薬(1~2週間ごとに10mg程度ずつ減薬)していかなければならない。

脳内にあるセロトニン(5-HT)の受容体の再取り込みを阻害することで、『抑うつ感(憂鬱感)・意欲減退・興味と喜びの喪失・集中力や思考力の低下・億劫感・無気力・焦燥感・絶望感・悲観』といったうつ病の様々な精神症状を緩和する効果を発現します。

パロキセチンを巡っては、うつ病を『心の風邪』というキャッチフレーズで表現して、抗うつ薬の販売量を急激に増加させようとしたグラクソ・スミスクライン社のマーケティングや臨床研究データの隠蔽などが問題になったこともある。

2008年には、WHO(世界保健機関)とその関連機関が、訴訟の制裁措置によって公開されたパロキセチンに関する未公表の試験データを参照して40回(計3704人)からなる二重盲検比較臨床試験を解析して、パロキセチンの抗うつ薬としての真の効果は効果全体の約17%であると結論づけた。うつ病改善効果の残りの部分は偽薬効果(プラセボ効果)と自然な病状の経過によって説明されたが、他の抗うつ薬もパロキセチンと同じく『本来の薬の効果以外の要因』のほうが大きくなっている。

スポンサーリンク

パロキセチンの商品名……パキシル(グラクソ・スミスクライン)

平均的な用法・用量……うつ病・抑うつ状態に対しては、1日1回夕食後に、20~40mgを服用。10~20mgから服用を開始して、1~2週間ごとに10mg/日ずつ増量していく。1日の上限は40mgまでである。
パニック障害に対しては、1日1回夕食後に、30mgを服用。10mgから服用を開始して、1~2週間ごとに10mg/日ずつ増量していく。1日の上限は30mgまでである。
強迫性障害に対しては、1日1回夕食後に、40mgを服用。20mgから服用を開始して、1~2週間ごとに10mg/日ずつ増量していく。1日の上限は50mgまでである。
社交不安障害(対人恐怖症)に対しては、1日1回夕食後に、20mgを服用。10mgから服用を開始して、1週間ごとに10mg/日ずつ増量していく。1日の上限は40mgまでである。
なお、年齢、症状により適宜減量する。

副作用……口渇・便秘・排尿障害・動悸・頻脈などの末梢性抗コリン作用。眠気、めまい、吐き気・嘔吐、立ちくらみ、起立性低血圧、倦怠感、脱力感など。不安感、焦燥感、イライラ、衝動性などの精神症状の副作用が出ることもある。抗うつ薬は、他の抗精神薬との相互作用を起こしやすいので、医師に今飲んでいる薬についての情報を提示して指導を受けるようにして下さい。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、肝機能障害、重症の血液成分障害、重い不整脈、妄想・幻覚・けいれん、横紋筋融解症など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、緑内障、てんかん、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症の素因がある人、衝動性の精神症状を持つ人、出血性疾患、妊婦、高齢者、24歳以下の若者(特に10代以下の子供に対しては処方を控えるべきとされる)、希死念慮のある人など。
炭酸リチウム(リーマス等)やセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)、安定薬(ピーゼットシー,リスパダール等)、三環系抗うつ薬(トフラニール等)、アスピリン(バファリン)、ワルファリン(ワーファリン)など飲み合わせに注意が必要な薬がたくさんあるので、医師に服用中の薬を正確に伝えるようにして下さい。

『処方してはいけない禁忌』は、セロトニン症候群を発症する危険性があるので、パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)を服用している人は禁忌である。重い不整脈が起こるリスクがあるので、精神安定薬のピモジド(オーラップ)を服用している人も禁忌である。

スポンサーリンク
Copyright(C) 2014- Es Discovery All Rights Reserved