フルボキサミン(ルボックスなど)の効能・作用・副作用

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フルボキサミン(ルボックスなど)についての基本情報

フルボキサミンの効能・作用……効能は『うつ病・うつ状態・強迫性障害・社会不安障害・摂食障害・月経前症候群(PMS)』です。パニック障害やADHD(注意欠如・多動性障害)、摂食障害、月経前症候群(PMS)にも有効である。

ベルギーの化学会社ソルベイ(医薬品部門は現アボット・ラボラトリーズ)によって世界で初めて開発された『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』で、抗うつ効果が強いだけではなくセロトニン系神経の異常が関係する幅広い精神疾患にも効果が認められている。

SSRIは三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬の後に開発された『第三世代の抗うつ薬』だが、うつ病を対象にしたフルボキサミンと三環系抗うつ薬のアミトリプチリンとの二重盲検比較臨床試験では『同程度の改善率』が確認されている。中等度以上の改善率は、フルボキサミンを服用していた人の改善率は55%(57人/104人)、アミトリプチリンを服用していた人は54%(59人/110人)であり、抗コリンの口渇の副作用も14%と29%でフルボキサミンのほうが少なかった。

脳内で選択的にセロトニン受容体と結合して再取り込みを阻害することで、気分・感情の安定や意欲の増加と関係する脳内のセロトニン濃度を高めてくれる。結果として、『抑うつ感・不安感・気分の落ち込み・焦燥感・億劫感・無気力』などのうつ病の諸症状を改善する効果が期待できる。

フルボキサミンには、選択的にセロトニン受容体だけを阻害するSSRIとしての特性があるので、複数の神経伝達物質の再取り込みを阻害する従来の抗うつ薬と比較すれば、『口渇・便秘・排尿困難・手の振るえ・心毒性』などの末梢性抗コリンの副作用が弱めになっていて、知性(思考力)・記憶と関連する認知機能も低下しにくい特長がある。

フルボキサミンは三環系抗うつ薬よりも、服用初期の不快な鎮静・起立性低血圧などの副作用が少ないが、初期投与量が50mgと多いので初期に一過性の吐き気の副作用がでやすいところがある。また、急な服用中止や自己判断の減薬をすると『憂鬱感・不安感・焦燥感・衝動性・悪心』などの精神症状が悪化する『SSRI離脱症候群(セロトニン症候群)』という副作用が出やすい。そのため、フルボキサミンの服用をやめる際には、医師の指示に従って段階的に減薬・中止を注意深く進めていく必要がある。

フルボキサミンの抗うつ作用は、三環系抗うつ薬とほぼ同等であるが、抗ヒスタミン作用や抗アドレナリン作用が弱いので、自殺企図で大量服用(オーバードーズ)をしても致死的な作用は得られにくい。しかし、18歳未満のうつ病患者がSSRIを服用すると、有意に自殺リスクや攻撃衝動のリスクが高まるという報告もあるので、18歳未満の未成年者への処方には注意が必要である。

一般的に、脳内におけるノルアドレナリンの増加は『意欲・気力・行動力』を高めて、セロトニンの増加は『抑うつ感・不安感・焦燥感・緊張感』を緩和してマイルドな精神状態を作る効果があると考えられている。

脳内にあるセロトニン(5-HT)の受容体の再取り込みを阻害することで、『抑うつ感(憂鬱感)・意欲減退・興味と喜びの喪失・集中力や思考力の低下・億劫感・無気力・焦燥感・絶望感・悲観』といったうつ病の様々な精神症状を緩和する効果を発現します。

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フルボキサミンの商品名……デプロメール(明治製菓)、ルボックス(アッヴィ)

平均的な用法・用量……うつ病・抑うつ状態に対しては、1日2回(1回1錠25mg)に分けて、50mgを服用。50mgから服用を開始して、症状の経過や副作用の程度に応じて用量を調整していく。強迫性障害・社会不安障害に対しては、1日2回(1回1錠50mg)に分けて、100mgを服用。
なお、年齢、症状により適宜減量する。

副作用……口渇・便秘・排尿障害・動悸・頻脈などの末梢性抗コリン作用。眠気、めまい、吐き気・嘔吐、立ちくらみ、起立性低血圧、倦怠感、脱力感など。不安感、焦燥感、イライラ、衝動性などの精神症状の副作用が出ることもある。抗うつ薬は、他の抗精神薬との相互作用を起こしやすいので、医師に今飲んでいる薬についての情報を提示して指導を受けるようにして下さい。

重大な副作用(発症頻度は低い)……セロトニン症候群(発熱発汗・振戦・不安と混乱・興奮と錯乱など)、悪性症候群(Syndrome malin)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、肝機能障害、重症の血液成分障害、重い不整脈、妄想・幻覚・けいれん、意識障害など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、緑内障、てんかん、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症の素因がある人、衝動性の精神症状を持つ人、出血性疾患、妊婦、高齢者、24歳以下の若者(特に10代以下の子供に対しては処方を控えるべきとされる)、希死念慮のある人など。
炭酸リチウム(リーマス等)やセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)、安定薬(ピーゼットシー,リスパダール等)、三環系抗うつ薬(トフラニール等)、アスピリン(バファリン)、ワルファリン(ワーファリン)、トリプタン系片頭痛治療薬(イミグラン等)、L-トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等)、トラマドール(トラマール)など飲み合わせに注意が必要な薬がたくさんあるので、医師に服用中の薬を正確に伝えるようにして下さい。

『処方してはいけない禁忌』は、セロトニン症候群を発症する危険性があるので、パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)を服用している人は禁忌である。重い不整脈が起こるリスクがあるので、精神安定薬のピモジド(オーラップ)を服用している人も禁忌である。 筋緊張緩和薬のチザニジン(テルネリン)を服用している人は、血圧が急激に低下するリスクがある。メラトニンを増やし過ぎる恐れがあるため、睡眠導入剤のラメルテオン(ロゼレム)との併用も禁忌である。SSRIは薬の飲み合わせが難しいので、医師・薬剤師に自分の飲んでいる薬を報告して必ず相談してから服用しなければならない。

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