クロルプロマジン(コントミンなど)の効能・作用・副作用

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クロルプロマジン(コントミンなど)についての基本情報

クロルプロマジンの効能・作用……効能は『統合失調症・躁病・神経症・麻酔前投薬・人工冬眠・破傷風に伴うけいれん・吃逆(しゃっくり),催眠・鎮静鎮痛の効力増強』です。精神活動を落ち着けて鎮静する作用があるので、統合失調症・躁病以外にも不安・緊張・抑うつ・強迫観念・悪心・嘔吐・心的要因のけいれんといった神経症的な症状にも処方されます。

統合失調症は脳内の神経伝達物質であるドーパミン(D)が過剰になることで幻覚・妄想などの『陽性症状』が発症したり、逆にドーパミンやセロトニンの分泌が減少・不足することで感情鈍麻・無為・ひきこもり(自閉)などの『陰性症状』が起こったりする精神病である。

クロルプロマジンは世界で初めて開発されたフェノチアジン系の抗精神病薬(メジャートランキライザー)である。1950年にフランスの製薬会社ローヌ・プーラン社(現サノフィ・アベンティス)が抗ヒスタミン薬として開発していたが、鎮静作用が強すぎて抗ヒスタミン作用が弱いために実用化に至らなかった。その後の1952年に、フランスの海軍外科医・生化学者のアンリ・ラボリ (Henri Laborit, 1914-1995)が精神病にクロルプロマジンの投与が効くことを発見した。

クロルプロマジンはドーパミン(D2)、アドレナリン(α1)、セロトニン(5-HT2A)、ムスカリン(M1)などの受容体を遮断するとされるが、特に強く遮断して精神症状を改善する働きはドーパミン(D2)とアドレナリン(α1)の遮断に依拠していると考えられている。ドーパミン遮断効果によって、吐き気・嘔吐を抑制する効果も期待できる。

主に脳内のドーパミン(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の過剰興奮で発症する『陽性症状』を抑制することができる。セロトニン(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きが活性化されて『陰性症状』を改善することができる。

フェノチアジン系の抗精神病薬であるクロルプロマジンは、現在では古典的な抗精神病薬で、統合失調症の陽性症状(幻覚妄想)を抑える効果は強いものではない。しかし鎮静・催眠の作用が強いため、統合失調症で落ち着かない興奮や不眠がある患者に有効なことも多く、精神運動興奮に対する鎮静作用を得るための処方を行いやすい。錐体外路症状や糖代謝異常などの副作用には注意が必要であり、他の向精神薬との相互作用や血中濃度の変化についても気をつけなければならない。

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クロルプロマジンの商品名……コントミン(田辺三菱)、  ウインタミン(塩野義)

平均的な用法・用量……成人は症状に応じて、1日30~100mgを複数回に分けて経口服用する。精神科・心療内科の統合失調症・躁病・神経症的症状に対する処方では、1日50~450mgを複数回に分けて経口服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……めまい、口渇、こわばり、手の振るえ、眠気、不安感、頭痛、動悸、便秘、尿がでにくい、目のかすみ、血圧低下、体重増加、神経過敏、生理不順、乳汁分泌、乳房がふくらむなど。錐体外路症状(手足のふるえ・体のこわばりやつっぱり、ひきつけ、無表情、よだれ、目の動きの異常、舌のもつれ、そわそわなど)。

長期服用・大量服用で『遅発性ジスキネジア』の副作用が起こることがある。遅発性ジスキネジアというのは、口周辺のもごもごする異常運動や舌が出たり振るえたりが続く副作用の症状で、一般に難治性である。

重大な副作用(発症頻度は低い)……無顆粒球症・白血球減少(免疫低下で風邪のような発熱・咳や痰など)、糖尿病性昏睡・高血糖(異常な喉の渇き、多飲・多食・多尿、脱力感や意識朦朧など)、心筋炎、悪性症候群(Syndrome malin,身体が動かなくなり高熱がでて死亡リスクもある)、遅発性ジスキネジア(まばたき増加・口が不随意運動でもぐもぐ・舌が出やすいなど)、腸閉塞・麻痺性イレウス(ひどい便秘・吐き気・腹痛など)、静脈血栓症・肺塞栓症(手足の痛みやむくれ・息切れや呼吸のしづらさ・視力低下や目の痛みなど)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH,だるくて喉の渇きが出る、頭痛・吐き気・意識障害・けいれん)、横紋筋融解症(手足のしびれとけいれん、脱力感・筋肉痛・歩行困難・赤褐色の尿)、溶血性貧血、重い不整脈、重い血液成分の異常など。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、脳の器質障害、心臓疾患、腎臓疾患、呼吸器の重い疾患、褐色細胞腫、動脈硬化症、寝たきり、高齢者(寝たきりや脱水状態にある人)、妊婦(胎児への悪影響の考慮)、認知症の人、希死念慮のある人など。

他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。アドレナリン(ボスミン)、リチウム(リーマス)、精神安定剤、抗パーキンソン病薬、吐き気止め薬などをはじめ、飲み合わせの悪い薬が多くあるので、必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

『処方してはいけない禁忌』は、医師が状態・状況から不適と判断した人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。必ず医師の判断・指示に従って服用してください

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