パリペリドンパルミチン酸(ゼプリオン)の効能・作用・副作用

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パリペリドンパルミチン酸(ゼプリオン)についての基本情報

パリペリドンパルミチン酸の効能・作用……効能は『統合失調症』です。

パリペリドンパルミチン酸(商品名:ゼプリオン)は、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)であるパリペリドン(商品名:インヴェガ)の『持続性注射剤(持効性注射剤)』である。パリペリドンはドーパミン受容体(D2)とセロトニン受容体(5-HT2)と結合する『セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)』である。セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA)は、そのまま『5-HT2/D2拮抗薬』と呼ばれることもある。

統合失調症は脳内の神経伝達物質であるドーパミン(D)が過剰になることで幻覚・妄想などの『陽性症状』が発症したり、逆にドーパミンやセロトニンの分泌が減少・不足することで感情鈍麻・無為・ひきこもり(自閉)などの『陰性症状』が起こったりする精神病である。

パリペリドンパルミチン酸エステルを微細粒子化して、水性溶媒による懸濁液として製造されたものである。パリペリドンパルミチン酸エステルは、筋肉注射すると投与部位で溶解して加水分解されてパリペリドンとなり、数週間にわたって全身循環して組織へと浸透していくことになる。

パリペリドンパルミチン酸は、効果が長時間持続する『持続性注射剤』なので、4週間に1回の注射だけで効果を持続させられる。基本的に、お尻か肩への筋肉注射によって投与される。統合失調症の病識が乏しくて服薬遵守できない患者、服薬が不規則になったり拒否したりの問題がある患者に対して、パリペリドンパルミチン酸のような持続性注射剤が有効とされている。

向精神薬の持続性注射剤は、注射によって直接静脈に薬剤を注入するのでダイレクトに脳に届いて『血中濃度が安定しやすい』というメリットがあり、その結果として副作用が軽減されている。飲み薬のインヴェガと比べて、『陰性症状』の改善効果がでやすい。減薬時も段階的に血中濃度を下げやすいので身体への負担が小さいというメリットもある。

過去にパリペリドンパルミチン酸(ゼプリオン)の投与で死亡者がでて、ゼプリオンはリスパダールコンスタと比較して死亡率が3倍ほど高い(1万例で21例の頻度)という警告文が出されて話題なったが、その後の製薬会社の調査報告では『パリペリドンパルミチン酸(ゼプリオン)が特別に死亡率が高いわけではない』という結果が出されている。

抗精神病薬の処方に習熟した専門医の指示・診察に従って、適切な用法用量を守れば、特別に危険な薬とまではいえない。リスクを減らす対応策として『高齢者には慎重に投与すること・薬剤の投与量をできるだけ減らして他の薬剤と併用しないこと・同じ有効成分のインヴェガ錠をまず処方して安全性を確認すること』が推奨されている。

医師の指示に従って、決められた日に注射を忘れずに受けるようにしてください。注射が不規則になったり突然中止したりすると、離脱症状で副作用が一時的に強まったり、幻覚・妄想などの陽性症状が悪化する恐れがあります。

抗精神病薬(メジャートランキライザー)は一般的に、脳内のドーパミン(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の過剰興奮で発症する『陽性症状』を抑制することができる。セロトニン(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きが活性化されて『陰性症状』を改善することができる。

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パリペリドンパルミチン酸の商品名……ゼプリオン(ヤンセンファーマ)

平均的な用法・用量……成人は、初回150mgを投与し、1週間後に100mgを三角筋に注射する。その後は、4週間に1回のペースで1回75mgを肩か臀部に投与するが、症状の経過や薬剤の受容性によって25mgから150mgまでの範囲で適宜増減する。治療開始の時には、計画書(導入レジメン)を作成する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……めまい、立ちくらみ、口渇、こわばり、手の振るえ、眠気、不安感、吐き気、動悸、便秘、尿がでにくい、目のかすみ、体重増加、依存性など。錐体外路症状(手足のふるえ・体のこわばりやつっぱり、ひきつけ、無表情、よだれ、目の動きの異常、舌のもつれ、そわそわなど)。高プロラクチン血症(生理不順・乳汁分泌・女性化乳房・性機能障害)。

長期服用・大量服用で『遅発性ジスキネジア』の副作用が起こることがある。遅発性ジスキネジアというのは、口周辺のもごもごする異常運動や舌が出たり振るえたりが続く副作用の症状で、一般に難治性である。指が震えたり腕がこわばるなどのパーキンソン病様症状が出ることもある。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin,身体が動かなくなり高熱がでて死亡リスクもある)、遅発性ジスキネジア(まばたき増加・口が不随意運動でもぐもぐ・舌が出やすいなど)、静脈血栓症・肺塞栓症(手足の痛みやむくれ・息切れや呼吸のしづらさ・視力低下や目の痛みなど)、無顆粒球症・白血球減少(免疫低下による発熱やのどの痛みなど)、麻痺性イレウス(吐き気や食欲低下・腹部膨満感・激しい腹痛)、重い不整脈、重い肝臓の症状、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH,だるくてのどが渇く・頭痛や吐き気・けいれん・意識障害)、横紋筋融解症(手足のしびれやけいれん・筋肉痛・歩行困難・赤褐色の尿)など。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業や車の運転もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、心臓疾患、低血圧、腎臓疾患、肝機能障害、脳の器質障害、てんかん、脱水状態の人、寝たきり、高齢者(寝たきりや脱水状態にある人)、妊婦(胎児への悪影響の考慮)、認知症の人など。

他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。リスペリドンとは併用しないでください。アドレナリン(ボスミン)とは併用しないでください。他の安定剤、パーキンソン病の薬(抗コリン薬・レボドパ製剤など)、吐き気止め(ドンペリドン、メトクロプラミド)などとの併用にも注意が必要です。その他にも飲み合わせの悪い薬があるので、必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

『処方してはいけない禁忌』は、昏睡状態の人、重症の心疾患のある人、エピネフリン投与中の人、バルビツール酸誘導体などの中枢神経抑制剤の強い影響下にある人。医師が状態・状況から不適と判断した人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

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