ハロペリドール(セレネースなど)の効能・作用・副作用

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ハロペリドール(セレネースなど)についての基本情報

ハロペリドールの効能・作用……効能は『統合失調症・躁病』です。

ハロペリドールはドーパミンD2受容体の選択性が強い『第一世代の定型抗精神病薬』であり、ドーパミンD2受容体と結合することによって精神病で起こる『精神運動亢進(幻覚・妄想の陽性症状)』を抑制する。

統合失調症は脳内の神経伝達物質であるドーパミン(D)が過剰になることで幻覚・妄想などの『陽性症状』が発症したり、逆にドーパミンやセロトニンの分泌が減少・不足することで感情鈍麻・無為・ひきこもり(自閉)などの『陰性症状』が起こったりする精神病である。

ハロペリドールはブチロフェノン系の古典的な抗精神病薬で、鎮静作用はそれほど強くないが特に『陽性症状(幻覚・妄想)』に対して効果が出やすい薬とされている。ハロペリドール開発の歴史は、1957年にベルギーのヤンセン社の薬理学者ポール・ヤンセン(Paul Janssen)が、アンフェタミン(覚せい剤)による精神運動亢進に拮抗するブチロフェノン系の薬物として発見したことに始まる。

現在では、セロトニン受容体の拮抗作用を加えて『陰性症状』にも効くように改良された『第二世代抗精神病薬』が使われることが増えて、ハロペリドールの処方は減少している。ハロペリドールはドーパミンD2受容体だけを遮断するので、『陽性症状』には効果がでやすいが、『陰性症状』にはほとんど効果がないという短所がある。

統合失調症だけではなく、躁うつ病、せん妄、ジスキネジア、ハンチントン病、トゥレット障害など様々な精神運動亢進を伴う精神疾患・運動障害に対して処方されることがあるが、興奮した気分を落ち着けて精神的な混乱を緩和する効果が期待できる。成人で1日0.75~3mgから始めて1日20mg程度まで増量することが可能だが、大量投与すると抗ヒスタミン作用による副作用(眠気・ふらつき・焦燥感・イライラなど)が目立ちやすくなる。

抗精神病薬(メジャートランキライザー)は一般的に、脳内のドーパミン(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の過剰興奮で発症する『陽性症状』を抑制することができる。セロトニン(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きが活性化されて『陰性症状』を改善することができる。

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ハロペリドールの商品名……セレネース(大日本住友製薬)、 ハロステン(高田製薬)、 リントン(吉富薬品・田辺三菱製薬)、 レモナミン(共和薬品)

平均的な用法・用量……成人は1日0.75~2.25mgから始めて、徐々に増量する。維持量として1日3~6mgを経口服用するが、最大20mg前後まで増量可能とされている。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

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副作用……めまい、立ちくらみ、口渇、こわばり、手の振るえ、眠気、不安感、吐き気、動悸、便秘、尿がでにくい、目のかすみ、体重増加、依存性など。錐体外路症状(手足のふるえ・体のこわばりやつっぱり、ひきつけ、無表情、よだれ、目の動きの異常、舌のもつれ、そわそわなど)。高プロラクチン血症(生理不順・乳汁分泌・女性化乳房・性機能障害)。

長期服用・大量服用で『遅発性ジスキネジア』の副作用が起こることがある。遅発性ジスキネジアというのは、口周辺のもごもごする異常運動や舌が出たり振るえたりが続く副作用の症状で、一般に難治性である。指が震えたり腕がこわばるなどのパーキンソン病様症状が出ることもある。

重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群(Syndrome malin,身体が動かなくなり高熱がでて死亡リスクもある)、遅発性ジスキネジア(まばたき増加・口が不随意運動でもぐもぐ・舌が出やすいなど)、静脈血栓症・肺塞栓症(手足の痛みやむくれ・息切れや呼吸のしづらさ・視力低下や目の痛みなど)、無顆粒球症・白血球減少(免疫低下による発熱やのどの痛みなど)、麻痺性イレウス(吐き気や食欲低下・腹部膨満感・激しい腹痛)、重い不整脈、重い肝臓の症状、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH,だるくてのどが渇く・頭痛や吐き気・けいれん・意識障害)、横紋筋融解症(手足のしびれやけいれん・筋肉痛・歩行困難・赤褐色の尿)など。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業や車の運転もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、心臓疾患、低血圧、腎臓疾患、肝機能障害、脳の器質障害、てんかん、脱水状態の人、寝たきり、高齢者(寝たきりや脱水状態にある人)、妊婦(胎児への悪影響の考慮)、認知症の人など。

他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。アドレナリン(ボスミン)とは併用しないでください。他の安定剤、パーキンソン病の薬(抗コリン薬・レボドパ製剤など)、吐き気止め(ドンペリドン、メトクロプラミド)などとの併用にも注意が必要です。その他にも飲み合わせの悪い薬があるので、必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

『処方してはいけない禁忌』は、昏睡状態の人、重症の心疾患のある人、エピネフリン投与中の人、パーキンソン病の人、バルビツール酸誘導体などの中枢神経抑制剤の強い影響下にある人。医師が状態・状況から不適と判断した人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。必ず医師の判断・指示に従って服用してください。

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