ロラゼパム(ワイパックスなど)の効能・作用・副作用

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ロラゼパム(ワイパックスなど)についての基本情報

ロラゼパムの効能・作用……効能は『不安障害(神経症性障害)の不安感・緊張感・抑うつ・易疲労性など』『心身症における身体症状と精神症状の不安感・緊張感・抑うつ感・易疲労性・睡眠障害など』です。

ロラゼパムは、効き目のマイルドな低力価のベンゾジアゼピン系の抗不安薬であり、各種精神疾患(不安障害・うつ病)と心身症の『不安感・緊張感』を緩和する効果を持っています。心気症的な心臓神経症や自律神経失調症などの心身症に伴う精神症状(不安・緊張・抑うつ・睡眠障害)にも効き目があり、『抗不安作用・鎮静作用・睡眠作用・抗けいれん作用』のいずれも持っていますが、それほど薬効が強いわけではありません。マイルドな効き目であるために副作用も少なくて、高齢者にも処方しやすい抗不安薬と言えます。

ロラゼパムは中時間型に分類される抗不安薬で、血中濃度半減期は“約12時間”とされています。ロラゼパム0.5mgとジアゼパム2.0mgを用いた『二重盲検比較臨床試験』では、不安障害の不安症状に対しては同程度の作用を持ち、抑うつ感や心気症の症状に対してはロラゼパムのほうが優れているとの結果が出ています。

一般的なベンゾジアゼピン系の抗不安薬の特長として、抗うつ薬やセロトニン作動性抗不安薬と比較して、抗不安の効果発現が早いということがあります。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は『短時間型』のほうが鎮静・催眠の効果の持続時間は短くなりますが、その反動として長期間服用した後の減薬・中止が難しく『離脱症状(禁断症状)』が出やすいという問題もあります。

ロラゼパムの持続時間は『中時間型』で、血中濃度半減期は“約12時間”であり、低力価で作用がマイルドなタイプの抗不安薬である。

ベンゾジアゼピン系の薬剤は、大脳辺縁系に分布していてリラックス感・眠気に関係する『GABA-BZ受容体』に作用する。大脳の神経活動を抑制する『GABA神経系』の働きが促進されることで、『催眠誘導・抗不安(抗緊張)・抗けいれん・筋弛緩』などの薬理効果が発現することになる。不安の発生・消去に関する動物実験モデルから、特に『脳内の縫線核・海馬・扁桃体・視床下部』に対してベンゾジアゼピン系の薬剤が作用すると推測されている。

心身症の症状形成メカニズムの仮説モデルには、主に『神経解剖学的モデル』『生理学的モデル』の二つがある。

神経解剖学的モデルでは、高次脳機能(思考・計画・創造・判断・理性)を担当する『大脳皮質』と本能的欲求・喜怒哀楽の情動機能を担当する『大脳辺縁系』との間のバランスの崩れによって心身症が発症すると仮定されている。生理学的モデルでは、急性の精神的ストレスがかかることで大脳辺縁系の機能が異常を起、脆弱な器官(内臓)に負荷がかかって心身症が発症すると考えられている。

ベンゾジアゼピン系のマイナートランキライザーは米国では薬物依存症が問題になっており、心身症治療での服用に当たっては医師の指示指導を受けながら、『精神療法・環境調整・生活指導』と併用していくことが望ましい。

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ロラゼパムの商品名……ワイパックス(ファイザー),ユーパン(沢井製薬)

平均的な用法・用量……成人は、1日1~3mg(0.5mg錠:2~6錠, 1mg錠:1~3錠)を2~3回に分けて服用する。

疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。

副作用……副作用は比較的少なく、安全性の高いとされる薬です。人によっては、眠気やめまい、ふらつき、注意力の低下、倦怠感、脱力感、翌日への眠気の持ち越し、口渇といった副作用が出ます。運転・危険な機械の操作をする前には服用しないようにしましょう。

他の向精神薬との相互作用にも十分な注意が必要である。中枢神経抑制薬(フェノチアジン系・バルビツール酸系)、MAO阻害薬、オメプラゾール(消化性潰瘍治療薬)の作用を増強することがある。シメチジン(消化性潰瘍治療薬)と併用すると、フルトプラゼパムの血中濃度が上昇しやすくなる。

重大な副作用(発症頻度は低い)……一過性の前向性健忘、依存症(耐性形成で効きにくくなる)、呼吸抑制、刺激興奮。依存症と関連する離脱症状として、『イライラ、不安、不眠、ふるえ、けいれん、混乱』などの症状が出ることがある。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業もしないようにして下さい。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、脳の器質障害、心臓疾患、腎臓疾患、呼吸器疾患、高齢者、妊婦(胎児への悪影響の考慮)など。しかし、ロラゼパムの特長として、高齢者・肝障害のある人にも処方しやすいということがあります。

中枢神経抑制の相乗効果によって副作用が強まる恐れがあるので、アルコールとの併用は避けて下さい。コーヒー、緑茶、紅茶に含まれるカフェインは、本剤の効き目を弱める可能性があります。他の向精神薬と併用すると、薬の効き目が強くなりすぎたり、副作用が強まったりすることがあります。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症の人、急性狭隅角緑内障の人、重症の気管支喘息の人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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