エチニルエストラジオール・レボノルゲストレルの効能・作用……効能は『避妊・月経困難症』です。女性ホルモンの卵胞ホルモン（エストロゲン）と黄体ホルモン（プロジェステロン）の混合剤であり、避妊用途の女性ホルモン剤（ピル）ですが、月経周期の乱れを改善したり、生理痛・生理不順を緩和したりするのにも使われます。脳下垂体に作用して卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌を抑えることで、排卵が抑制され妊娠しにくい状態を作り上げます。子宮内膜や頸管粘液の状態を変化させることで、精子が子宮にまで入りにくくなり受精卵の着床も阻害するので、更に妊娠がしにくくなります。
女性ホルモンの分泌を穏やかにするので、卵巣・子宮の活動性が低下して生理の痛み・不快が軽くなります。そのため、『生理痛・腰痛・頭痛・吐き気・気分の悪さ・憂鬱感・不安感・イライラ・焦燥感』などの症状を伴う月経困難症や月経前症候群（PMS・PMDD)に対しても処方されることがあります。エチニルエストラジオール・レボノルゲストレルは卵胞ホルモンの配合量が少ないので『低用量ピル』に分類されますが、レボノルゲストレルというのは合成黄体ホルモン薬のことを意味しています。
排卵を抑制したり生理を止めたりする避妊の目的で用いられるので、月経が始まった日から『同じ時間帯』に28日間連続で服用し続ける必要があります。飲み忘れた事に気づいたらすぐに服用し、その後は決められた時間帯にもう一錠服用することになるので、飲み忘れると『1日2錠』の服用になります。しかし、2日連続で飲み忘れた場合には、ピルによる月経周期のコントロールと避妊が難しくなるので、いったん服用を中止して次の月経の始まりと同時にもう一度飲み始めることになります。擬似的に生理学的な妊娠状態を作り出すことで、避妊を行ったり月経症状・子宮内膜症を緩和したりするので『偽妊娠療法薬』と呼ばれることもあります。
ピルの副作用で最も危険なものは、血管が詰まってしまう『血栓症』ですので、むくみ・下肢の痛み・激しい頭痛・動悸息切れ・胸痛・急性視力障害などが起こった時には、すぐに服用を中止してかかりつけ医に相談して指示を仰いで下さい。※喫煙者がピルを服用すると心血管系（循環器）に負担がかかりやすくなり、血栓ができやすくなるので、ピル服用中は原則禁煙が強く推奨されています。女性ホルモンの配合量が微量であるため、薬の飲み合わせによって避妊効果が弱まることがあります。歯医者を含めて何かの疾患で病院に行く時には、必ず『低容量ピル』を服用中であることを伝え、飲み合わせに関する医師の判断を仰ぐようにしてください。
エチニルエストラジオール・レボノルゲストレルの商品名……アンジュ 21・28（あすか製薬）、トライディオール 21・28（武田薬品・ワイス）、トリキュラー 21・28（バイエル薬品）
平均的な用法・用量……アンジュ 21・28は、1日1錠を一定時刻に赤褐色錠から順番に服用して28日連続で服用する。29日目からも同じように赤褐色錠から順番通りに服用していく。
トライディオール 21・28……1日1錠を一定時刻に赤褐色錠から順番に服用して21日連続で服用する。その後は、7日間休薬する。その後も、21日間連続で服用して、7日間は休薬するという周期を繰り返す。
トリキュラー 21・28……1日1錠を一定時刻に赤褐色錠から順番に服用して21日連続で服用する。その後は、7日間休薬する。その後も、21日間連続で服用して、7日間は休薬するという周期を繰り返す。
副作用……性器からの不正出血、腰痛、おりもの増加、経血量の変化、眠気、頭痛、嘔吐、吐き気、乳房痛、乳房緊満感、乳汁分泌、食欲の変化、下痢、便秘、むくみ、冷感・熱感、体重増加、倦怠感、疲労感、鼻出血、息切れ、にきびなどが起こることがあります。特別に重い副作用でなければ自然に身体がピル服用に順応してきます。
重大な副作用（発症頻度は低い）……血栓症。
エチニルエストラジオール・レボノルゲストレルの注意・禁忌……『注意を要する人』は、心疾患・肝機能障害・腎疾患などの既往がある人、乳がんの家族歴がある人、喫煙者（循環器系への副作用があるので喫煙は原則禁止）、肥満者、心臓弁膜症、てんかんやテタニー、他の薬を飲んでいる人（飲み合わせの問題）、糖尿病やポルフィリン症がある人など。
『処方してはいけない禁忌』は、本剤で過敏症を起こしたことがある人（過敏性素因がある人），妊婦・授乳婦，エストロゲン依存性の悪性腫瘍（乳がん・子宮がんなど）あるいはその疑いがある人，血栓性静脈炎の人，肺塞栓症，重い肝機能障害がある人，脳血管障害や冠動脈障害の既往がある人。妊娠中に黄疸・妊娠ヘルペス・持続性痒掻症があった人。手術前後や産後の人。35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人、脂質代謝異常、診断の確定しない異常性器出血がある人、片頭痛がある人など。
トップページ> 薬の説明>
薬の事典> 現在位置
心の問題， Encyclopedia
プライバシーポリシー