エピネフリン(アドレナリン)の効能・作用・副作用

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エピネフリンについての基本情報

エピネフリンの効能・作用……効能は『気管支けいれんの緩寛(気管支喘息・百日咳)・局所出血・粘膜の炎症や腫れ・開放隅角緑内障・急性低血圧やショック時の補助治療(蘇生術)・表面部の局所麻酔の作用延長』です。エピネフリン(米名)はアドレナリン(英名)のことであり、自律神経系の交感神経を興奮させて、血管を拡張させたり心拍数を増加させたり目の瞳孔を散大させたりする作用があります。エピネフリンは『合成副腎髄質ホルモン(合成ステロイドホルモン剤)』であり、交感神経を刺激することで気管支筋を弛緩させたり皮膚の末梢血管を収縮させることで、薬剤としての効能を発揮します。

気管支筋を弛緩させることで、気管支喘息や百日咳による危険な『気管支けいれん』を緩和させることができ、皮膚の末梢血管を収縮させることで『局所の出血』を止血して、『鼻・口腔粘膜の充血・腫れ』を抑制することができます。心臓では末梢血管とは逆に、洞房結節の刺激発生を速くして心拍数を増加させ、心筋の収縮力を強めて血圧を高めるので『強心作用』を期待して用いることもあります。強心作用は、心肺停止状態の危険な状態にある患者を蘇生させるために用いられることがあります。しかし血圧を高め心拍数を多くすることで心臓に大きな負担がかかるので、気管支喘息の吸入剤の場合には『過度・頻繁な吸入』に留意する必要があります。

眼科で処方される点眼薬は、房水の流出を促進して眼圧を下げる効果があり、開放隅角緑内障の治療に用いられます。アデニリ酸シクラーゼを賦活してサイクリックAMPを増加させることで、肝臓・筋肉のグリコーゲン分解を促進するので(結果として血糖値が上昇するので)、糖尿病患者のインスリンショックによる低血糖を改善するために投与されることもあります。

エピネフリンの商品名……ボスミン(第一三共)

平均的な用法・用量……気管支喘息における気管支けいれんでは、1日に1回吸入。ネブライザーという機器を用いて吸引する。緑内障・目の充血治療のための点眼剤は、1回1滴を1~2回点眼。救急救命医療・蘇生術では、1回0.2~1mgの皮下注射・筋注射を行う。脳出血・心室細動を防ぐため1回0.25mgを超えない量を生理食塩水で希釈してゆっくりと静脈注射をする。蘇生術で心拍・呼吸が回復しないケースにおいては、必要に応じて5~15分ごとの注射を試みることもある。

副作用……気管支喘息の吸入剤では動悸・血圧上昇・顔面紅潮・蒼白・頭痛・吐き気・手足の振るえ(振戦)・過剰発汗・神経過敏・過敏症(発疹)など。眼科の点眼剤では、結膜・眼瞼・眼の周囲の過敏症(かゆみ・発赤・結膜の充血)、頭痛、眼痛など。

他の薬剤との飲み合わせ(相互作用)では、イソプロテレノール(イソメニール・プロタノール)などカテコールアミン製剤との併用で、動悸・不整脈の副作用がでるリスクがある。精神安定剤(ブチロフェノン系・フェノチアジン系など)や高血圧・排尿障害に用いるα‐遮断薬との併用で低血圧を起こすリスクがあり、これらの相互作用を起こす薬剤との併用は禁忌になっている。

重大な副作用(発症頻度は低い)……眼類天疱瘡・肺水腫・血清カリウム値の低下。蘇生術における心室細動や脳出血。呼吸困難・心停止。

エピネフリンの注意・禁忌……『注意を要する人』は、本剤で過敏症を起こしたことがある人、高血圧、甲状腺機能亢進症、肺気腫、心疾患、動脈硬化症、糖尿病がある人、妊婦。

『処方してはいけない禁忌』は、抗精神病薬(メジャートランキライザー)、カテコールアミン製剤、α‐遮断薬、エピネフリン作動薬を服用している人、眼圧上昇の素因がある人。MAO阻害薬や三環系抗うつ薬、分娩促進薬と併用すると血圧が上昇するリスクがある。

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