半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)の効能・作用……効能は『気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔き気などを伴う次の症状:不安神経症・神経性胃炎・つわり・せき・しわがれ声・神経性食道狭窄症・不眠症』です。『ツムラの16番』と呼ばれることもあります。
適応する証(体質)は、『中間証(活動性は中くらい)・虚証~中間証(やや虚弱である)・寒証~中間証(熱感がないか中くらい)・気血水(気うつ)』になります。
半夏厚朴湯は、蘇葉(そよう,シソ)の持つ『理気作用(抗うつ作用)・鎮静作用』が中心になった漢方薬で、『気うつ』と呼ばれる気の停滞を改善することで神経症的な心身症状(特にヒステリー球などののど・胸がふさがった感じの不快症状)を和らげてくれます。精神状態を安定させる鎮静作用があるので、『不安感・緊張感・抑うつ感』に対する効果が期待できるのです。
半夏厚朴湯は漢方の古典『金匱要略(きんきようりゃく)』を参照して生薬成分を配合した漢方薬で、基本的には気の流れが滞ってしまって上手く流れなくなる『気うつ』と呼ばれる状態を改善してくれます。
『気うつ』が生じると、『喉・胸・腹部などにひっかかった不快な感じ』が出てきやすく、具体的な症状としては『抑うつ感・のどの違和感・呼吸困難感・胸の違和感・頭重』などになってきます。半夏厚朴湯には制吐・鎮咳・健胃の作用があって消化器の調子を整えてくれるので、『神経性胃炎・咳・かすれ声・つわり』にも処方されます。
半夏厚朴湯がよく処方される精神疾患としては、『胸につかえがある軽症うつ病・不安障害・ストレス性障害』『のどにひっかかるような違和感のある軽症うつ病・不安障害・ストレス性障害・神経症のヒステリー球』『食欲不振のある不安障害・ストレス性障害』『不定愁訴に悩まされる更年期障害・自律神経失調症』などがあります。漢方医学では、喉に炙った肉がつまったような独特な感じを表現する概念として『咽中炙レン(いんちゅうしゃれん)』という言葉もあります。
漢方薬は西洋薬よりも効果が出るまでに時間がかかることが多く、個人差がありますが経過を見ながら(漢方医の診察・指導を受けながら)2週間以上は飲み続ける必要があります。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)の生薬の組成
漢方薬は自然の草・木・動物から抽出された『生薬』の組み合わせで作られています。
半夏(ハンゲ)……制吐・去痰作用
厚朴(コウボク)……制吐・健胃作用
茯苓(ブクリョウ)……利尿・鎮静・健胃・抗めまい作用
蘇葉(ソヨウ)……発汗・抗うつ・鎮咳作用
生姜(ショウキョウ)……発汗・制吐・健胃・鎮咳作用
平均的な用法・用量……成人は1日7.5gを2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)に服用する。
疾患・年齢・症状に応じて、用量を調整する。
副作用……食欲不振、胃部不快感、吐き気、発疹・発赤、便秘など。
漢方薬は一般に副作用は少なくなっていますが、その人の証(体質・状態)に合っていなければ『誤治(その人に適応していない漢方薬の処方)・アレルギー反応』などの副作用が出ることがあります。
重大な副作用(発症頻度は低い)……特になし。
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