アヘン・トコンの効能・作用……効能は『呼吸器障害における鎮咳(ちんがい)・去痰(きょたん),激しい疼痛に対する鎮痛・鎮静,激しい下痢の改善,手術後の腸管蠕動運動の抑制』です。アヘン・トコンは、強力な鎮痛・鎮静作用を持つモルヒネやアルカロイドなど『アヘン末』と去痰の効果を持つ『トコン末』とが配合されて製剤された薬です。
トコンというのは、ブラジル原産の生薬(アルカロイド)でアカネ科植物トコンの根を乾燥したものであり、去痰や下剤などの効果を持っています。アルカロイドというのは、主に植物体内の各種アミノ酸から生合成される有機化合物で、シュウ酸・リンゴ酸・クエン酸・酢酸・酒石酸などの有機酸の塩の状態で保存されていることが多いのですが、モルヒネ(ケシ)・コカイン(コカ)・アコニチン(トリカブト)・アトロピン(ベラドンナ)など人間にとって有害なアルカロイドも多くあります。コーヒーやお茶に含まれる神経興奮作用のあるカフェインも、アルカロイドの一種です。脳幹の延髄にある咳中枢の神経興奮を抑制することで『鎮咳作用』を、アヘン末の痛み(痛覚)の抑制系を亢進するオピオイド受容体と結合することで『鎮痛・鎮静作用』を、消化管の運動と分泌を抑制して肛門括約筋の緊張を強める作用で『下痢の緩和(止瀉薬)作用』を発揮します。
アヘン・トコンの商品名……アヘン・トコン(第一三共),ドーフル(武田薬品)
アヘン・トコンの平均的な用法・用量……1回0.3gで、1日に1gまでが基準。患者の年齢・症状・痛みのレベルなどによって医師が調整する。
アヘン・トコンの副作用……過敏症(発疹・かゆみ),不整脈,血圧変動,顔面紅潮,めまい,眠気,精神症状(不安・不穏・興奮),視力調節障害,悪心,嘔吐,便秘,口渇,排尿障害,頭蓋内圧の亢進など。用法用量を守らず連用したり大量服用したりすると、薬物依存症のリスクが高まる。眠気やめまいが副作用としてあるので、車の運転や危険な作業などはしないようにして下さい。他の薬剤との併用で、相互作用による副作用が出る恐れがあるので、飲んでいる薬があれば医師・薬剤師に報告・相談するようにして下さい。
アヘン・トコンの重大な副作用(発症頻度は低い)……薬物依存,呼吸抑制,錯乱・興奮,せん妄(妄想を伴う意識障害),気管支けいれん,喉頭浮腫,無気肺,麻痺性イレウス,中毒性巨大結腸。
アヘン・トコンの注意・禁忌……『注意を要する人』は、心機能障害がある人,肝機能・腎機能障害のある人,ショック状態にある人,脳の損傷・器質的障害がある人,代謝性アシドーシスがある人,アジソン病(副腎皮質機能低下症)の人,甲状腺機能低下症の人,薬物依存症の既往がある人,前立腺肥大症の人,器質的幽門狭窄・麻痺性イレウスの人,胆嚢障害(胆石)がある人,ジドブジン(アジドチミジン)を投与されている人、高齢者,妊婦(授乳婦)などです。
『処方してはいけない禁忌』は、気管支喘息の発作がある人,重症の呼吸抑制がある人,慢性肺疾患と関連する心不全,重い肝障害の人,てんかん重積症の人,けいれん発作を起こす疾患がある人,急性アルコール中毒の人,出血性大腸炎の人,本剤で過敏症の既往がある人です。
トップページ> 薬の説明> 薬の事典> 現在位置
心の問題, Encyclopedia
プライバシーポリシー