アリピプラゾールの効能・作用・副作用

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アリピプラゾールについての基本情報

アリピプラゾールの効能・作用……効能は『統合失調症,不安感・緊張感・抑うつ感などの重い精神症状』です。2006年1月に厚生労働省に認可された第三世代の非定型抗精神病薬(DSS)で、脳内の中脳辺縁系や中脳皮質系のドーパミン神経系に作用して統合失調症の精神症状や強い不安感・抑うつ感を改善する効果があります。脳内の情報伝達物質の分泌を調整して神経活動を正常化することにより、統合失調症の『陽性症状(幻覚・妄想・興奮錯乱)』『陰性症状(無為・意欲消失・感情鈍麻)』のどちらにも効果があるとされています。

神経伝達物質のドーパミンの作用を調整するのが主な薬理機序となっているので、アリピプラゾール(商品名エビリファイ)は『ドーパミン・システム・スタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)』と呼ばれることもあります。精神病の精神症状に対する『維持療法』に適した薬で、即効性の強力な催眠・鎮静作用は弱いので、激しい興奮・錯乱や強い不安感など急性症状が見られる場合には、他の抗精神病薬のほうが第一選択薬になることがあります。旧来の抗精神病薬と比較すると、錐体外路症状(手足の振るえ・排尿困難)や高プロラクチン血症(生理不順・乳汁分泌)、眠気、過鎮静、体重増加などの副作用が少ないのがメリットになっています。

アリピプラゾール(エビリファイ)は統合失調症のドーパミン仮説に基づいて開発された薬ですが、実際にはドーパミン系神経の働きを改善するだけではなくて、セロトニン系神経(5‐HT)にも作用して抑うつ感や意欲低下の症状を改善します。基本的には、『ドーパミンD2』の遮断薬(アンタゴニスト)で脳内のドーパミン系の過剰興奮を抑制する薬なのですが、脳内のドーパミンの分泌量が不足している場合にはドーパミンの作動薬(アゴニスト)として機能することもあります。アリピプラゾール(エビリファイ)は、ドーパミンD2受容体に対してもセロトニン5-HT1Aに対しても、部分的な作動薬として効果を発現するので『パーシャル・アゴニスト(部分的作動薬)』と呼ばれたりもします。

アリピプラゾールの商品名……エビリファイ(大塚製薬)

アリピプラゾールの平均的な用法・用量……成人では、1日6~12mgから処方を開始して、症状の経過・変化を見ながら増薬していくこともある。維持療法では1日6~24mgの処方が一般的な目安であり、最大投与量は1日30mgまでとされている。効果発現まで約2週間の時間がかかりますので、医師から伝えられた用法・用量を守って自己判断で服用を中止しないように注意して下さい。

アリピプラゾールの副作用……神経過敏,焦燥感,不眠症(睡眠障害),手足の振るえ,食欲不振,肝機能障害など。

アリピプラゾールの重大な副作用(発症頻度は低い)……悪性症候群,アナフィラキシー様の症状,横紋筋融解症,糖尿病性昏睡。

アリピプラゾールの注意・禁忌……『注意を要する人』は、心疾患・血管障害のある人,肝機能障害,てんかんなどけいれん性疾患がある人,本人や家族に糖尿病の既往がある人,肥満の人,高血糖の人,高齢者など。

『処方してはいけない禁忌』は、本剤で過敏症を起こしたことがある人,昏睡状態にある人,バルビツール酸系の睡眠薬を服用している人,麻酔のような中枢神経抑制剤を使っている人,エピネフリンを使っている人。

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